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社長になりたい!そんな熱い思いを持って入社。 農業法人の若手女性社長が見据える農業の未来。株式会社ベジ・アビオ / 山﨑 瑶樹
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大学時代は新潟県内の数々のビジネスアイデアコンテストに入選。
「経営者養成コース」でNSGグループに新卒入社し、MBAプログラムを学ぶ。
株式会社ベジ・アビオで2年間、管理・営業・広報など幅広い業務に取り組む。
26歳で社長就任。コラボ商品の開発や販路開拓に励む。
スマート農業で未来の可能性を拡げたい。
26歳で農業法人の社長に就任!愛称は「とまちゃん」。
社長になることが夢だったのですか?
私は、小さい頃から目立ちたがり屋で、身近な父や祖父が鉄工会社の社長だった影響を受け、中学生の頃には「私は社長になる」と将来の夢が固まりました。中学校では生徒会長になり、部活動では部長を務めるなど、リーダー経験を積んできました。
どういった理由でトマトを被った社長が生まれたのですか?
創業した当時の社長は、新しい手法を取り入れた生産技術の面が得意なため、トマトづくりに専念してもらい、農業分野ではあまりイメージがない若手の女性が社長として前面に出ることで、「食べてもらえるきっかけを増やせるのでは?」という思いを抱いていました。
以前、営業先でお客様に「学生さん?」と聞かれることが度々ありました。もしここで私が「社長です」と言えたら、農業×若手×女性、そして「社長」という強いギャップが生まれて、興味をもってもらえるかもしれない。さらに、トマトを熱く語る私がトマト帽子を被れば、唯一無二のキャラクターづくりができると思いつきました。
新潟でトマトを売る社長の「とまちゃん」が誕生しました。
トマト帽子を被り、発信し始めてからは「収穫体験に行きたいです」とSNSを見たフォロワーの方などからお声がけがありました。協業のお話もいただける機会が増え、10社程とコラボレーションさせていただきました。収穫体験に来てくれた子どもたちが、スーパーに並ぶトマトへの関心が強くなったり、野菜嫌いを克服するきっかけになったりしたという嬉しい話も耳にしました。
メディアやSNSで「農業のリアル」を発信。
講演やSNS、テレビやラジオ、情報誌の取材と様々な媒体で発信されていますね。
発信で意識しているのは、私の悩みや挑戦する様子をありのままを伝えることです。
私が会社の顔として露出機会を増やし「今の農業の現状を伝える」ことで、全国の私と同世代の人が農業に興味を持つきっかけになって欲しいです。農業は、農閑期を自分の趣味に使えたり、作業中に音楽を聞くことができたり、一人ひとりの個性やライフスタイルにあった働き方がしやすく、一般的な会社勤めと違う働き方ができる魅力的なお仕事です。若い人が選ぶ職業の中に、農業という選択肢が入り、興味を持ってくれる方が少しでも増えれば嬉しいなという思いで発信しています。
また、農業に対する誤解を解いて、一般の消費者と農業者との意識の乖離や知識の差異も縮めていきたい。例えば、当社は農薬を使っていますが、農薬が危険という情報は誤りです。保育士を目指す学生さんの授業で食育のお話をさせていただく時でも、「人間が薬をのんで風邪を治すのと同じですよ」など農薬を適切に使うことで皆さんに美味しい状態で届けたり、畑を守ることにもつながることを伝えたりしています。
「経営者養成コース」での学びと営業経験が礎に。
社長になるまでの道のりは?
就職活動中に様々な新潟の企業を調べていく中で、NSGグループに「経営者養成コース」という採用区分があることを知りました。
小さい頃から知っていた学習塾や学校、介護施設、病院以外にたくさんのグループ会社があることに驚きました。新しく社長になる人をどんどん育てたいという、NSGグループのビジョンがあることに興味が湧き、「経営者養成コース」を選んだのです。
グループに入社して最初の2年間務めたのは、検定・認定試験を開発し、実施する株式会社サーティファイです。九州地区の担当になり、出張し、営業を重ねることで度胸がつき、社会人の基礎をしっかり学べました。
事業創造大学院大学には、入社2年目から通うことができました。企業の経営者や管理職の方、個人事業主、留学生など様々な方とディスカッションを重ねる中で、思考が柔軟になり、物事を考える時間が増えたのを実感しています。チームで何か一つの成果物を作る経験も刺激的で、新しいアイディアが生まれやすい環境でした。「経営者を育成する文化」はとても面白いと感じています。
また経営者養成コースは3カ月ごとに、勉強会があります。そこは、先輩や後輩と繋がりを持てる場なので、同じ志を持った仲間と今の事業についてディスカッションするのはすごく刺激になります。2021年には、古町糀製造所の糀甘酒とベジ・アビオの規格外トマトを使って、トマトスムージーを商品化しました。
これも経営者養成コースの先輩である、古町糀製造所の小畑社長に相談して、企画が進みました。
※左 経営者養成コースの先輩である古町糀製造所 小畑社長
ベジ・アビオでの挑戦と社長が目指すもの。
もともと農業に興味があったのですか?
入社前はほぼ興味がありませんでした。でも、入社してみて、農業がとても充実している仕事だし、持続していかなければいけない仕事だと感じ、農業の抱えている多くの課題が気になるようになりました。解決するためにもいろいろな事業を作っていかなければならないと感じます。その最初の一つとしてまず社内で初めてトマトの加工品に着手したのです。
うちのトマトは美味しいのに、柔らかくなって規格に合わなくなってしまったものは残念ながら廃棄される運命にありました。時期によっては大量に出てしまう規格外のトマトを「勿体ないな」と感じ、入社1年目にドライトマトを試作しました。2年目からはドライトマトに加えトマトジュースにもチャレンジし、製造販売を開始しました。2021年には約400キロのトマトが、2022年には約1トンがジュースにうまれ変わり、フードロスを削減することができています。ドライトマトの製造はNSGグループの愛宕福祉会の未来ワークサポートさかまちと連携して、生産しています。加工から袋詰めまで委託しており、農福連携を実践しています。
社長になって意識が変わった瞬間はありましたか?
社長になってすぐ、三越伊勢丹新宿店の丹青会で他の高価格帯の商品と並べてトマトを販売した時ですね。その際は、若手女性社長の農業法人とリーフレットも配布させていただきました。
お客様から「あなたのトマト、応援していますよ」という言葉をかけていただき、それが良いプレッシャーになり、背筋が伸びるような、痺れた感覚を覚えました。トマトだけでなく、社長である私自身も応援していただけたことはすごい心に残っていますね。私自身が会社の顔になっているんだと意識が変わりました。
ベジ・アビオの今後の目標は何ですか?
ベジ・アビオの経営を安定させ、継続して発展させていくためには、生産技術を確立させることと、規模の拡大が必要になってきます。日本ではまだ数少ないのですが、規模的なイメージとしては年商10億円規模の農業法人にして、大勢の人に本当においしいトマトを食べて喜んでもらうと共に、未来に向けた投資も行っていける状況を目指しています。
また、栽培には、作物の種類に適した気温や日照時間などが必要です。トマトを1年間通して栽培するには新潟県の冬の気候は不向きです。だからこそ、ベジ・アビオはスマート農業で温湿度・光の調整や灌水といった栽培管理を自動化しています。気候に関わらず、どこの土地でも農業ができる。その可能性を示すことで農業の未来はもっと明るくなると思います。ベジ・アビオが先駆者となって、農業の可能性を示していければと思います。
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