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日本の農業を変える。
そんな気持ちで
今ここに立っている。

#コンサルか銀行か
#経営者への近道
#農業×IT

経営の力で、農業を進化させる。

株式会社ベジ・アビオ
山﨑 瑶樹

株式会社ベジ・アビオ勤務。IT技術を駆使したスマート農業による高糖度トマト「とマとマとマと」を中心に事業展開を進める。営業、企画、広報、人事、経理・財務を広く担当。新潟大学経済学部卒。2018年入社。学生時代には数々のビジネスアイデアコンテストに入選。経営者への道を歩むべく経営者養成コースを選択。

あえて望んだ小さな組織は、経営者になる夢への第一歩。

経営者になる。そう決めたのはいつ頃だったろうか。鉄工所を営む父の背中を見て育った。大学時代はビジネスコンテストに次々と入賞。クラウドファンディングで資金調達し、事業を立ち上げたこともあった。コンサルか、銀行か、商社か。たくさんの選択肢の中でNSGの経営者養成コースを選んだのは、夢に一番近い道だと直感したから。入社後は各種能力試験を取り扱う株式会社サーティファイで様々な資格試験や検定の営業を経験し、3年目に異動を希望。「ヒト・モノ・カネ・情報の全体を把握できる小さめの規模の組織を経験したい」。それがここだった。

株式会社ベジ・アビオは、最新の農業技術とITを駆使したスマート農業を展開する日本でもまだ少ない農業法人。IT技術者出身である社長、社員2名とパート7名の小さな組織だ。現在の主力商品の「とマとマとマと」は、自社調べながら県内随一の糖度を誇る。また、秋から春のオフシーズンにも糖度を維持したまま生産できる。ITによる緻密な計算と繊細な管理技術が生み出すこの高付加価値トマトは、しかしながらまだほとんど世に知られていない。さて、どうする?自ら望んだ場所ではあったが、課せられた責任の重さに身が震えた。

営業、企画、広報、人事、財務。ときどき農作業。

まずはこのトマトの価値を知ろう。いろんな料理を作ってみた。確かにおいしい。甘くて濃厚。友人たちのウケもいい。わざわざ電話で感想を伝えてくれる方もいる。「うちの子はこのトマトだけは食べてくれるのよ」「昔ながらのトマトの味がするね」。お客様の声が自信になった。スーパーや遠方の直売所など新規開拓先のリストを作る。「一度食べてみてください」。電話をしてサンプルを送る。反響は大きかった。今度は生産が追いつかない。安定供給できなければ信頼を失う。ハウス用靴を履いてハウスに立ち、作業内容を洗い出す。作業路の上部に番号を書いて、誰が、何時間で、何番から何番まで、どんな作業をしたかをデータ化する。個人ごとに得意と不得意がわかれば、作業分担や教育で対応できる。

農作業を経験したことで、商品への愛情がさらに強くなった。生鮮食品は時期によって売れ残りが出る。C品と呼ばれる市場に出せないトマトもどうにかしたい。調べると消費量世界一のトルコではトマト加工品が多いことがわかった。いろいろと試作する。トマトペーストはどうか。「やってみよう」。社長のOKも出た。味は?パッケージは?値段は?試行錯誤を重ねた商品が、まもなく市場に出る。

つながりの中で夢が生まれ、夢がまた人をつなげていく。

最新の農業をやっている人たちのSNSを手当たり次第にフォローした。農業系のオンラインセミナーがあれば時間の許す限り参加した。知らない土地の「スマート農業会議」なるものに勝手に参加して「私、トマトやってます!」とアピールしたこともある。そんな中で、真剣に農業に向き合う人たちとの繋がりができた。県内のIT企業の社長とつながって、「農業×IT」で新潟を盛り上げようというオフ会もできた。ベジ・アビオに来てまもなく1年。少し見えてきたことがある。産業という視点で見た時に、農業の課題の多くは自然という不確実な存在からの影響を免れないことにある。その不確実性に、先人たちは勘と経験で立ち向かってきた。

この農業のボトルネックに、ITの力でメスを入れる。勘と経験をデータ化し、多くの人が利用可能なノウハウにする。労働時間を短縮し、土地という束縛から人々を開放する。生まれた時間をマーケティング活動などに活かすことで、新しい付加価値が創造できる。そうすれば日本の農業人口もきっと増えていくことだろう。この小さなトマトの中に、それだけの可能性が秘められている。今はこのビジョンを追いかけたい。経営ってやっぱりすごい。

※所属表記・記事内容は、取材当時の内容に基づいています。