新潟の“うまい”を未来へ~伝統を守り挑戦する

年の瀬を迎え街は慌ただしく賑わっていますが、この時期は日々の感謝の思いを込めて、親戚、友人、取引先などお世話になっている方々にお歳暮を贈る季節でもあります。NSGグループには、小川屋というお歳暮などの贈答品にぴったりな焼漬けなどの鮭や鱒の加工品を製造販売する、老舗の漬け魚屋さんもあるんです。小川屋の商品は贈り物としてはもちろん、普段使いとしてご愛顧いただいているお客様もいらっしゃいます。今回は、事業承継で2016年にNSGグループに加わった小川屋についてご紹介します。

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「こんな”うまい”ものを孫にも食べさせてあげたい」

小川屋は明治26年に、初代の小川駒吉さんが、私が宮司を務める神社と同じ新潟の古町で創業しました。創業当時の新潟は、稲作に適した気候と北前船の拠点であったことなどから全国で最も人口の多い県でした。この地には人が集まり、美味しい食材も集まるようになりました。特に新潟は日本の鮭鱒遠洋漁業の基地であり、毎年1千万匹もの豊富な鮭が水揚げされていました。また醸造業も盛んで良質な味噌や酒粕、麹があり、鮭鱒や魚卵と醸造を活かした加工品が作られ、地域の人々に親しまれるようになりました。そんな折、初代の小川駒吉さんが、ある食事の席で親しい方から言われた言葉「こんな”うまい”ものを孫にも食べさせてあげたい」。それが創業のきっかけとなったそうです。
その後、小川屋は鮭鱒を中心とした伝統的な名産品を作り続け、皇室へのご献上、新潟土産品としての推賞など、高い評価を受けながら120年以上に渡り商売を続けてきました。しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。二度の新潟大火や戦争による配給制限、新潟地震など大きな試練に見舞われ、「商売を辞めてしまおう」と心が折れかかったことが一度や二度ではなかったそうです。幾度の試練を乗り越えて今日まで商売を続けてくることができたのは、喜んでくださる多くのお客様がいたことと、「親から子へ、子から孫へ。楽しい食卓を通して未来へ受け継がれる”うまい”ものをずっと作り続けていきたい。」という創業以来ずっと変わらない想いを持ち続けたからです。

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伝統を守ること、時代をとらえ挑戦すること

そして、現在、小川屋の伝統を引き継ぎ、経営を担っているのは大橋 祐貴社長です。都銀やファストファッション、ITベンチャーなど、多岐にわたる業界で経験を積んだ後にNSGグループに入社し、30歳の時に代表取締役に就任しました。小川屋は近隣にお住いの馴染みのお客様も多いのですが、お客様とのコミュニケーションスタイルは今も昔も変えていません。「接客を大切にし、お客様との絆を築くことが小川屋らしさでありコアである」と、大橋社長は言います。お客様のご要望にできる限りこたえられるよう柔軟な対応を心掛け、その結果、お客様同士の口コミや紹介を生み出し、新規顧客開拓のきっかけとなっているそうです。
小川屋では伝統を守りながらも、挑戦し続けることを大切にしています。小川屋の社是に「新潟の”うまい”を未来へ」とあります。これは、本当にうまいものであれば、未来へ受け継がれるはずという信念が込められています。商品の味を変更することは容易ではありませんが、味覚や人々の嗜好は時代によって違うため、“うまい”のために味を変えることを恐れていません。時代に合った新しい味覚を追求し、時代にマッチするように味を変えてきました。以前の商品の味付けは、かなり濃かったのですが、今は減塩志向など時代のニーズにあわせて味付けを薄くしました。
しかし、変化させることもあれば、“うまさ”のために頑なに伝統を守り続けていることもあります。例えば魚の加工においては、機械による作業で効率化を進めつつも、敢えて職人による手作業を大事に残している工程もあります。大量生産するためには非効率で不向きな工程ですが、“うまさ”のことを考えてのこだわりです。味を落とす原因となる魚の表面にあるぬめりやくさみを取るための下処理には特別に気を使い、手作業でしっかり時間をかけて行っています。今まで魚は生臭くて食べなかった人でも小川屋の魚ならば喜んで食べられたとのお客様の声が届くそうです。

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丁寧な商品作りと接客で、新潟の“うまい”を未来へ

小川屋の商品は実店舗だけでなくオンラインで新潟県外への販売拡大にも力を入れています。将来的には海外展開も視野に入れています。ただし、どこへ販売するにしても、地元新潟で愛されないものは他の地域で受け入れられるはずはないと考え、昔から受け継がれてきた丁寧な商品作りと丁寧な接客を大切にし続けなければいけません。
一般的に老舗は長年培われた独自の技術とノウハウを持ち、品質への信頼性もあり、文化を継承する役割を果たしています。一方で、変化への対応が難しく、革新性が不足し、リスクを避ける傾向もあります。時代に合わないとみなされ淘汰されないためにも、伝統を守りながらも、時代の変化に目を向け、挑戦することが大切です。創業のきっかけとなった「こんな”うまい”ものを孫にも食べさせてあげたい」という一言を胸に、その時代に愛される“うまい”ものを追い求め続け、親から子へ、子から孫へと未来に受け継がれるおいしい食品を作り続ける小川屋を守っていきたいと思います。そして、新潟で愛される“うまい”を全国や世界に広げていきたいと思います。      〆