アニメ・マンガが切り開く新潟の未来

先日、開志専門職大学アニメ・マンガ学部の早川千絵教授が監督を務めた長編映画『ルノワール』が、世界三大映画祭の一つであるカンヌ国際映画祭のコンペティション部門にノミネートされました。惜しくも受賞は逃しましたが、世界最高峰のカンヌ国際映画祭で賞を競う舞台に立ったことは大きな快挙であり、早川監督の今後のさらなる活躍が期待されています。本作は、6月20日から全国で公開される予定です。カンヌ国際映画祭へのノミネートという朗報に接し、改めて大きな喜びとともに、誇らしく感じています。

専門性とビジネス感覚を兼ね備えた人材を育成

早川教授には、今春から開志専門職大学アニメ・マンガ学部において、「脚本・プロデュース・編集領域」の教授を務めていただいています。授業を通して学生たちに“物語創造力”の根幹となる思考法や視点を指導してくださっています。この学部では、「多様な表現力」「物語創造力」「自己プロデュース力」を兼ね備えた人材の育成を、長期的な目標に掲げています。特に、“物語創造力”の育成に重点を置き、映画や演劇といった隣接領域との横断的な学びを通じて、アニメ・マンガ業界の未来を担う多様な人材の輩出を目指しています。

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(開志専門職大学 アニメ・マンガ学部の学び)

以前のコラムでもご紹介しましたが、開志専門職大学は「専門職大学」という新しい高等教育機関の一つです。従来の大学や専門学校の長所を併せ持ち、冒頭でご紹介した早川教授をはじめとした実務家教員による授業や、「企業内実習」を中核に据えたカリキュラムを展開している点が特徴です。アニメ・マンガ学部では、専門性を磨くだけでなく、習得した技術をビジネスへと展開する力を養うことにも力を入れています。600時間を超える企業内実習を必修とし、学生が在学中からプロの現場を実際に体験できる貴重な機会を提供しています。さらに、実習先での対話や業務を通じて、職業理解を深め、自らの将来の働き方を具体的に思い描くことができる点も大きな魅力だと思います。

社会で輝く、第一期生たちの活躍

この春、開志専門職大学アニメ・マンガ学部は、初めての卒業生を社会に送り出しました。就職先はアニメ制作会社やデジタルコンテンツスタジオなど多岐にわたり、職種としても動画スタッフ、イラストレーター、制作進行など、様々な分野に進んでいます。4年間の学びで培ったスキルを、それぞれのフィールドで存分に発揮してくれることを期待しています。在学生や卒業生の中には、最前線で活躍されている方もいます。たとえば、ペンネーム「国木田くにお」さん(在学生)は、先日、「第1回ビッグコミックスペリオール新人作家大賞」において見事「大賞」を受賞、本誌掲載とともに単行本化権を獲得しました。また、卒業生の米山和希さんが制作した短編映画『白昼夢(DAYDREAM)』は、アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア 2025(SSFF & ASIA 2025)」のU-25プロジェクト部門に出品されました。今後も、在学生・卒業生のさらなる活躍が期待されます。

新潟の可能性を広げるアニメ・マンガ産業

NSGグループでは、開志専門職大学アニメ・マンガ学部に加え、アニメ・マンガ人材の育成に取り組む学校や事業を複数展開しています。2000年に開校し、今年25周年を迎えたJAM日本アニメ・マンガ専門学校もその一つです。企業では、アニメ制作スタジオの株式会社新潟アニメーション、アニメ・マンガ・コスプレイベントの企画やマンガのコンテンツ開発などを手掛ける株式会社ガタケットが挙げられます。NSGグループでは、各学校や企業が連携し、アニメ・マンガ分野における人材育成ネットワークの構築に取り組んでいます。さらに、「にいがたマンガ大賞」や「新潟国際アニメーション映画祭」、新潟国際アニメーション映画祭開催中に行う「新潟アニメーションキャンプ」などのイベントにおいても、NSGグループの各部門が実行委員会や事務局として積極的に参画し、新潟のアニメ・マンガ関連イベントを通じて地域を盛り上げたいと取り組んでいます。

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(左:「新潟国際アニメーション映画祭」のポスター 右:映画祭開催中に実施している「新潟アニメーションキャンプ」の集合写真)

アニメ・マンガを成長エンジンに、地域経済の活性化を目指す

2024年12月、開志専門職大学と株式会社野村総合研究所による共同事業が始動しました。そのキックオフとして、「新潟アニメ・マンガ・バレー構想 有識者会議」が開催され、構想に関する議論が行われています。アニメ・マンガ関連産業が、新潟の新たな可能性を切り開き、文化と経済の振興に寄与することが期待されています。
NSGグループはアニメ・マンガ分野における人材育成を基盤に、産業の活性化と地域経済への貢献を目指しています。新潟から世界へ羽ばたくクリエイターを輩出すべく、人材育成ネットワークの充実を図りながら、アニメ・マンガ産業を通じた地域の未来づくりに貢献できるよう、今後も微力を尽くしてまいります。    〆