女子野球の新時代を新潟から。開志学園高校と新潟医療福祉大学の挑戦

日米のプロ野球で活躍し、7月にアメリカ野球殿堂入りを果たしたイチロー氏率いる「イチロー選抜KOBE CHIBEN」と、高校野球女子選抜との通算5回目となるエキシビションマッチが8月31日(日)に行われました。その女子選抜のメンバーに、NSGグループの開志学園高等学校 女子硬式野球部3年生の関本陽菜投手と本田莉乃内野手が選ばれ、出場を果たしました。試合はバンテリンドームナゴヤで行われ、YouTubeでもライブ配信されました。女子野球の選手の皆さんがあのイチロー氏や松井秀喜氏らと対戦し、溌剌とプレーする姿を見て、私自身も元気をもらいました。

女子硬式野球部創部からの軌跡――開志学園高校・新潟医療福祉大学

開志学園高校女子硬式野球部は、2013年に東北・北陸地方で初の高校女子硬式野球部として創部されました。当時、女子が硬式野球に取り組める場は全国を見渡しても限られており、創部そのものが新潟県はもとより近隣の地域にとって画期的な一歩となりました。
創部から9年目となった2021年には、全国高等学校女子硬式野球選抜大会で悲願の初優勝を果たし、翌年には全国高等学校女子硬式野球選手権大会で準優勝の結果を収めました。今年は選手権大会で決勝トーナメントに進出し、全国ベスト16の成績を収めました。

2024年4月には、同じくNSGグループの新潟医療福祉大学でも、新潟県内では初、全国15校目となる女子硬式野球部を創部しました。現在、2年生15名に今年4月入学の新入生11名を加え、26名で活動しています。部員の中には、小中学校は男子に混じってプレーしていた選手もいます。高校では女子の野球部がなかったためマネージャーを務め、大学入学後に選手として野球を再開した部員もいます。
5月に開催された第11回全日本大学女子硬式野球選手権高知大会では、8強入りを果たしました。
練習環境も充実しており、全天候型の屋内練習場、ナイター設備付きのブルペン、トレーニングセンターなどが整備されています。学業と競技を両立しながら、創部メンバーが在学中の2027年度までに全国制覇を成し遂げることを目標に挑戦を続けています。

こうした中、10月に中国・杭州で開催される「第4回 BFA 女子野球アジアカップ」侍JAPAN女子日本代表メンバーに、開志学園高校の卒業生、鈴木はな内野手、小川舞内野手が選出されました。小川選手は新潟医療福祉大学女子硬式野球部の部員でもあります。お二人が日本代表として世界の舞台で活躍されることを心から応援しています。

(侍JAPAN女子日本代表メンバーに選ばれた新潟医療福祉大学の小川舞内野手)

継続して競技に取り組める環境づくりを目指して

全日本女子野球連盟によると、女子硬式野球に取り組む中学生以上の女子は、2015年度と比較して2024年度には3,083名と倍増しています。しかしながら、そのうち大学生は約260名にとどまっています。背景には、女子野球部を持つ大学が全国的に少ないことがあります。また、女子野球に限ったことではありませんが、競技と将来の進路との両立が難しいことなどもあり、高校卒業を機に野球から離れる選手が少なくありません。
一方、新潟県内では、中学生以下の女子部員数が2008年度の3名から2023年度には95名まで増加し、競技人口の裾野が着実に広がってきています。今年4月には新潟県上越市の関根学園高等学校が県内2校目となる女子硬式野球部を創部されました。女子野球選手の活躍の場は確実に広がりをみせています。こうした流れを支えるためには、高校に加え、大学でも継続して競技に打ち込める環境がますます重要です。
こうした現状を踏まえると、地域における持続可能な競技継続の受け皿づくりがますます重要になってきます。新潟医療福祉大学は医療・福祉・スポーツ分野を幅広く学べる大学として、学業と競技の両立を可能にする体制を整えています。部員の中には、看護師や理学療法士、視能訓練士、管理栄養士、鍼灸師などを目指している部員も多く、将来の専門職を目指しながら競技に取り組むことができる点も大きな特徴です。
高校だけでなく大学にも女子硬式野球部が存在することは、女子野球選手にとって大きな支えとなり、これから野球を始める子どもたちにとっても心強い励みになるはずです。私たちNSGグループは、開志学園高校と新潟医療福祉大学が連携し、地域における女子野球の裾野拡大とさらなる発展に貢献できるよう力を尽くしてまいります。    〆