贈ることから始まる支援──SDGsギフトによる就労支援

12月はお歳暮の季節です。個人間の贈答は以前ほど盛んではありませんが、取引先や関係者への贈り物は、感謝を伝える文化として今も息づいています。NSGグループの株式会社NSGソシアルサポートでは、障がいのある方々が制作に携わり、新たな雇用を生み出す価値を贈答文化に重ねた「SDGsギフト」を発案しました。取り組みに賛同いただく企業も少しずつ増えてきました。
SDGsギフトは、季節の贈り物としてだけでなく、障がい者雇用に取り組む企業姿勢を自然に伝える役割も果たしています。CSRを重視する企業にとって、「社会課題の解決に参加する贈り物」という位置づけが広がりつつあり、身近な贈答文化を通じて障がい者の働く場を支える新しい選択肢として、採用いただく機会が増えています。贈り物は「モノ」以上に、相手への感謝やこれからの関係への想いを伝えるものだと感じます。SDGsギフトが、その想いを後押しできれば嬉しく思います。

切れ目のない就労支援体制

こうした日常に根差した取り組みは、障がい者雇用を取り巻く現状と課題を考えるうえでも大切な視点を与えてくれます。厚生労働省の調査によると、今年6月1日時点で、民間企業における障がい者の雇用者数は約68万人となり、21年連続で過去最高を更新しました。一方で、法定雇用率を達成できていない企業が半数近く存在するなど、就労支援には依然として大きな課題があります。
NSGグループは、こうした状況を踏まえ、障がいのある方々が力を発揮できる環境を整え、雇用促進と社会貢献につなげるために、2020年に「特例子会社」として株式会社NSGソシアルサポートを設立しました。
※以前同社を紹介した記事はこちらよりご覧ください。

特例子会社とは、一定の基準を満たすことで、親会社の雇用率に障がい者の雇用人数を算入できる制度に基づく仕組みです。
NSGソシアルサポートでは、一人ひとりの状況に応じて自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援B型、相談支援といった“切れ目のない支援体制”を整える福祉部門を中心に取り組んでいます。あわせて、障がい者理解の促進や企業向けコンサルティングを行うインクルージョン部門、教育機関での清掃業務やWEB制作などを請け負う受託部が連携し、地域や企業とともに雇用促進と環境づくりを進めています。

“得意”を仕事に~SDGsギフトの現場~

SDGsギフトは、障がい者の就労機会を広げる取り組みの一つとして、福祉部門とインクルージョン部門が連携して進めています。県内福祉施設で手づくりされた焼菓子などをもとに、商品選定からラベル作成、検品、箱詰め、発送までを一貫して行っています。
なかでも検品工程は、知的障がいのある方が特性を活かしやすい作業です。「ないものを見つける」「わずかな違いに気づく」といった強みが品質保持に直結し、丁寧で正確な作業が品質を支えています。自分の得意分野を活かして働けることは、自信の獲得にもつながり、働く意欲を高める重要な要素となっています。

12月11日には、「自分のトリセツづくり」セミナーを開催しました。自己理解を深めることで、「何が得意か」「どのような環境で力を発揮しやすいか」を整理でき、結果として就労後の定着率向上につながります。さらに、古町商店街での清掃活動や小学校での講話、月1回の交流イベントなど、地域とつながる機会づくりにも継続的に取り組んでいます。

(「自分のトリセツづくり」セミナーの様子)

贈り物から広がる未来

SDGsギフトは、障がいのある方々の就労の機会の一つです。ギフトそのものの価値に加え、制作工程を通じた就労の場の創出であり、働く経験が自信や生活の安定につながる点でも意義があります。
NSGソシアルサポートは、福祉部門による就労前後の支援、受託部による業務の創出、インクルージョン部門による企業・学校・地域との連携を組み合わせ、誰もが力を発揮できる社会を目指しています。
これからも、SDGsギフトをはじめ、日常の中で自然に参加できる仕組みを増やし、地域や企業と連携しながら、障がいのある方々が安心して働き続けられる環境づくりに取り組んでまいります。     〆