「好き」を表現できる場所を、次の世代へ ~ガタケット185を終えて

先日、朱鷺メッセを会場に「ガタケット185」が開催されました。約1,350サークル、1,600スペース。会場を移して初めての開催で、過去最大級の規模となりました。

 ガタケットは、漫画やアニメなどの創作作品を持ち寄り、発表し、交流する同人誌即売会です。作品を販売するだけではなく、イラストやグッズ、コスプレなどを通じて、それぞれの「好き」を表現し共有する場として、新潟で40年以上続いてきました。

今回の開催を機に、改めて考えたのは、規模の大きさ以上に、この場が40年以上途切れることなく続いてきたことの重みでした。

「ないなら、自分たちでつくる」から始まった

ガタケットの始まりは1983年の有志によるボランティア活動でした。当時、アニメやマンガのイベントは東京が中心で、新潟では参加の機会も限られていました。「楽しめる場がないのなら、自分たちでつくろう」。その思いが出発点です。

 やがて運営体制が整い、法人化を経て現在に至ります。NSGグループが関わるようになったのも、一つのイベントを事業として引き継ぐためではありません。地域で育まれてきた創作文化と、その「場」を次へつないでいくためでした。

地域にないものは、自分たちでつくる。私たちグループの歩みとも、どこか重なる出発点です。ただ、文化も地域の活動も、始めること以上に続けることが難しいものです。

変えてきたこと、変えずに守ってきたこと

続けるには、変わることも欠かせません。
ガタケットも、申し込みのオンライン化など、時代に合わせて運営を見直してきました。コロナ禍には参加者が減り、開催そのものが危ぶまれた時期もあります。その後、リアルな場への参加意欲が戻り、東京の同人誌即売会との連携も重なって、県外からの参加者が増えていきました。

 一方で、変えずに守ってきたものがあります。それは、サークル参加者も一般参加者も、単なる「お客さま」ではなく、一緒にイベントをつくる参加者だという考え方です。

多様な人が集まる場では、当然ルールも必要になります。ただ、何か問題が起きるたびに禁止事項を増やすのではなく、「どうすれば楽しめる場を守りながら、続けていけるか」を考えます。その姿勢が、自由な表現を支えているのではないでしょうか。

何を変え、何を変えないのか。その見極めは、組織の運営にも通じるものがあります。

新潟に「好き」を楽しめる場所がある意味

SNSによって、同じ趣味を持つ人とつながることは以前より簡単になりました。それでも、実際に同じ場所に集まり、作品を手に取り、言葉を交わすことには、オンラインとは違う価値があります。

以前は会場で初めて出会っていた人たちが、今ではSNSでつながり、そこから会場で実際に会って交流を深めています。時代によって手段は変わっても、「好きなものを誰かと共有したい」という思いは変わっていません。

地方にこうした場があることも重要です。創作を楽しむために、誰もが東京へ行けるわけではありません。新潟で作品を発表し、反応を受け取れる場所があるから、創作を続けられる人がいます。

かつての参加者がプロの漫画家となり、今もガタケットを訪れるという話も聞きます。立場が変わっても、好きなものを楽しむ場所として戻ってこられます。それもまた、40年以上という時間が育ててきた価値の一つでしょう。

ガタケット185、その先へ

初めて作品を並べる人にとって、ガタケットは挑戦の舞台です。手に取ってもらえた喜びも、思うように届かなかった悔しさも、次の作品へ向かう力になります。分野は違っても、人が育つ過程には、挑戦し、それを誰かに受け止めてもらえる場が欠かせません。

 続けることは、過去をそのまま守ることではありません。変えるべきところは変えながら、次の世代が「好き」を表現できる場所を残していくことです。朱鷺メッセという新たな会場での開催は、その一歩でした。

40年以上にわたり新潟で育まれてきた、「好き」を共有する文化。これからも、その場を支え、次の世代へつないでいきたいと思います。 〆

NSGグループ  https://www.nsg.gr.jp/
ガタケット  https://gataket.com/