「起業したい」と思ったとき、最初に立ちはだかる大きな壁。
それが「お金の問題」です。
やりたいことがあっても、商品を作るにも、チラシを配るにも、場所を借りるにも、何かしらのお金が必要になります。
このブログでは、はじめて起業を考える方に向けて、「起業資金って、どうやって用意すればいいの?」という疑問に、わかりやすく・具体的にお答えしていきます。
実際の事例も交えながら、起業に向けたお金の準備のしかたを一緒に考えていきましょう。
まずは「起業にはどんなお金がかかるのか」をざっくり整理してみましょう。
よくある費用としては、次のようなものがあります。
・商品や材料を仕入れる費用
・パソコンや道具などの購入費
・チラシ・ホームページの制作費
・場所を借りる場合の家賃およひ保証金
・会社を作るなら、登記や書類の手続き費用
・売上が出るまでの運転資金や生活費
これらの費用は、どんな事業をやるかによって大きく変わります。
【起業の内容と必要な初期費用の目安(注意:諸条件で金額は変わります)】
・カフェなどの飲食店 :300〜800万円(物件・内装・設備など)
・ネットショップ(自宅+ECサイト) :30〜100万円(仕入れ・サイト・宣伝など)
・オンライン講座(英会話など) :5〜20万円(教材・集客費・Zoom環境など)
資金の集め方は大きく3つ
①自分で用意する(自己資金)
②お金を借りる(融資)
③誰かに出してもらう(出資・投資)
① 自分で用意する(自己資金)
もっともシンプルな方法が、自分で貯めたお金や、退職金、貯金を使って起業する方法です。誰にも迷惑をかけず、すぐに動けるのが大きな強みです。
メリット:
・誰にも説明せず自由に使える
・借金ではないので返済不要
・判断も経営もすべて自分の裁量でできる
注意点:
・使えるお金に限りがある
・家計に影響を与える可能性が心理的なプレッシャーが大きくなりやすい
事例:
副業から始めたスイーツ販売Aさんは、会社に勤めながら週末限定で手作りの焼き菓子を販売。材料や包装、出店料など、1回あたり2〜3万円を自己資金でまかないながら、少しずつファンを増やしていきました。「売れる確信が持てた」と感じたタイミングで、開業届を出し、本格的に小さな工房を立ち上げました。
② お金を借りる(融資)
金融機関や日本政策金融公庫などから「起業資金」としてお金を借りる方法です。
条件が合えば、数百万円単位の資金を借りられる可能性があります。
メリット:
・自己資金では足りない部分を補える
・出資と違い、経営権は自分のまま
・公的機関なら金利が低いケースも
注意点:
・審査や面談、書類作成が必要
・返済義務がある(売上がなくても)
・借金=心理的な重さを感じる人も多い
事例:
カフェを開業したBさんは、長年の夢だったカフェを開くため、自己資金200万円と融資300万円を元手にスタート。融資は、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を利用し、年利1.8%・返済5年で契約しました。売上が軌道に乗るまでは不安もあったそうですが、「事業計画をじっくり作ったことで、気持ちが整理されてよかった」と語っていました。
③ 誰かに出してもらう(出資・投資)
応援してくれる人や、ビジネスに可能性を感じた投資家などから、お金を出してもらう方法です。返済義務はありませんが、その代わりに会社の一部(株式)を渡すのが一般的です。
メリット:
・自己資金では足りない部分を補える
・資金以外の支援(アドバイス・人脈)も期待できる
・成長のスピードを早められる可能性
注意点:
・経営に関して相手の意見も尊重する必要がある
・利益や成長スピードを期待される
・出資者との信頼関係づくりが不可欠
事例:
子育てアプリを開発したCさんは、子育て中のママが使いやすいスケジュール管理アプリを構想し、プロトタイプを制作。地域のビジネスコンテストに応募し、個人投資家から100万円の出資を受けました。その後、開発会社と連携して本格リリースし、数千人のダウンロードを達成しました。
さて、どの方法を選べばいいのでしょうか?
【あなたの考えと合いそうな手段】
・小さく始めて、少しずつ育てたい
→自己資金/副業スタート
・ある程度の準備をして、しっかり事業化したい
→融資(公庫など)
・アイデアに自信があり、早く大きく広げたい
→出資・投資また、最初は自己資金で始めて、
途中から融資や出資で事業拡大していく、という段階的な方法も有効
起業の準備で大切なのは、「考える」だけで終わらせず、「小さく動いてみる」ことです。
今月は、次のようなアクションを通じて「起業にどのくらいのお金が必要か」「その資金をどのように確保できるか」「資金を確保する程度のニーズがあるか」確認してみましょう。
・ 起業に必要なお金を項目ごとに書き出してみる
(例:パソコン10万円、チラシ3万円、仕入れ5万円)
・ 自己資金でどこまでできるか、どこから外部の支援が必要かを整理する
・ 日本政策金融公庫や地元の創業支援制度を調べてみる(融資条件・申請方法など)
・ 出資を受ける方法について情報収集する(創業セミナー、起業コンテストなど)
・SNSを使った発信や知人にアイデアを話してみる(共感・応援・フィードバックが得られるかもしれません)。
お金の集め方は“起業の作戦”の重要事項。
起業を成功させるには、「どのくらい情熱があるか」も大事ですが、「どのように現実を組み立てるか」も同じくらい重要です。資金調達の方法を正しく理解し、自分に合ったやり方を選ぶことで、無理のない、持続可能な起業が見えてきます。
お金は“挑戦のための道具”。自分らしいスタートのために、今月は一歩、動いてみましょう。
次回は「小さく始めて確かめる」方法、MVP(Minimum Viable Product:顧客に価値を提供できる最小限のプロダクトのこと)とテストマーケティングの実践についてお届けします。
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