完璧じゃなくていい。
「やってみること」からすべてが始まる起業を目指す人にとって、
「本当にお客さんがいるのか?」「アイデアに需要があるのか?」という不安はつきものです。
この不安を乗り越えるために有効なのが、テストマーケティングとMVP(Minimum Viable Product)開発です。
これらは、「いきなり本格展開する前に、小さく試す」ことで、リスクを抑えながら確かな一歩を踏み出す手法です。
完璧ではないけど試せるカタチMVP(Minimum Viable Product)とは、「必要最低限の機能だけを備えた、試作品」のことです。
つまり、「完璧ではないけれど、実際にユーザーに試してもらえる形で作る」という考え方です。
▷ 具体例で理解するMVP
料理教室のMVP:
まずは自宅やレンタルスペースで3名限定レッスンを開催し、教える楽しさ・顧客の反応・価格設定を確認する
手作り雑貨のMVP:
商品を10個だけハンドメイドして、SNSやハンドメイドマーケットに出品して反応をみる
教育サービスのMVP:
教材を一部だけPDFで配布し、読者の声やダウンロード数をチェックする
最初から完成品を作る必要はありません。まずは「動く試作品」「見せられるモック」などで良いのです。
顧客の“本音”に出会う方法テストマーケティングとは、作ったMVPを市場に出して、実際に使ってもらう・見せて反応を得る活動のことです。
目的は、以下のような“顧客のリアルな声”を集めることです。
・本当に使ってくれるのか?どんな点が魅力に感じられるのか?
・逆に、どこが使いにくい、分かりにくいのか?いくらなら買ってくれるのか?
たとえ「売れない」という結果が出ても、それは貴重な学びになります。
事前に分かる失敗は、成功への材料になるのです。
STEP 1|アイデアを見える形にする
目的:
頭の中のモヤモヤを「他人に伝わる形」にする
やること:
ノートに図を描くパワポやCanvaで簡単なイメージ資料を作る
サービスの流れを4コマ漫画のように書く
具体例:
「アレルギー対応おやつの専門店」をやりたい人なら、商品メニューやパッケージ案、販売の流れなどを図にしてみる
ポイント:
完璧に描く必要はなし。「なんとなく伝わる」レベルでOK!
STEP 2|必要最小限の形をつくる(MVP化)
目的:
ユーザーに見せたり使ってもらったりできる最小限の「実体」をつくる
やること:
実際の試作品やサービス内容をまとめたチラシやWebページを作成
具体例:
「忙しい親向けの子ども服レンタル」→ Excelで商品管理の画面を作成し、手渡しで試してもらう
ポイント:
お金をかけず、手元の材料や無料ツールで始めましょう→ Canva・Googleスライド などが便利
STEP 3|3人に見せて反応を得る
目的:
自分の思い込みを壊してくれる「リアルな反応」を得る
やること:
家族・友人・SNSで意見を聞く「どう思う?」ではなく「使う?買う?いくらなら?」と聞く感想は必ずメモや録音で記録
具体例:
「高齢者向けの散歩サポートサービス」を提案し、60代の親世代に「どんな点が不安か?」をヒアリング
ポイント:
・「いいね」の数だけ見るのは危険(「いいね」だけして購入しないケースは多い)
・購入意欲や使いたさを具体的に確認
STEP 4|価格・ターゲット・メッセージを仮設定する
目的:
「誰に、いくらで、どう伝えるか?」を見える化する
やること:
「誰が使うのか(年齢・職業・悩み)」を具体化「その人は、いくらまでなら払うか」を仮設定SNS投稿や広告文のような「売り文句」を1文作る
具体例:
「子育て世代の共働き夫婦」をターゲットに、「5日間5,000円で食材+レシピ配送」と設定→ メッセージ:「毎日の夕飯、悩まない。食材とレシピをそのままお届け!」
ポイント:
ターゲットがあいまいだと、商品もあいまいに
「自分だったら?」ではなく、「その人だったら?(ユーザー目線)」で考えるのがコツ
STEP 5|テスト実施
目的:
「売れる/使われる/反応されるか」を検証する
やること:
・実際にSNSで投稿・予約受付を開始してみる
・無料 or 少額で先行販売(試験販売)イベント出店やクラウドファンディングを使う
具体例:
以下のようなやり方で先にフィードバック取得
・雑貨やアクセサリー→メルカリ
・教室→Instagram+予約フォーム(GoogleフォームでもOK)
・アプリ系→サービス概要だけでモニター募集
ポイント:
「とりあえず出してみる」ことが大事!
数字(いいね数、問い合わせ数、購入数)を複合的に冷静に見て分析・売れなければ改善するだけ
大事なのは「試した」事実!
小さく試して、大きく学ぶ今月は以下のアクションにチャレンジしてみましょう!
①アイデアを形にしてみる→ノートなどにアイデアをまとめる
②アイデアをMVP化してみる→ スケッチ、試作品、スライドなど、形にしてみましょう
③少なくとも3人に見せてフィードバックを得る→ 良い点・改善点を率直に聞いて、必ず記録しましょう
④似たような商品やサービスをリサーチ→ ネット検索、クラウドファンディング、メルカリなどで探し、競合との差を分析
⑤テスト実施→サービス概要だけでモニターを募集を行い、実際に購入意欲がある人がいるか確認
やるからこそ、見える景色があるアイデアを形にするのは勇気がいります。
でも、実際に形にして、人に見せることでしか得られない“気づき”が必ずあります。MVPとテストマーケティングは、最小の投資で最大の学びを得るための手段です。「試す → 気づく → 修正する」というプロセスを繰り返すことで、事業は確実に磨かれていきます。
ぜひ、「完成していないから出せない」ではなく、
「未完成だからこそ、今出して反応を見よう」
という視点で、一歩踏み出してみてください。
NSGグループ 事業創造本部