起業を目指す際、
多くの人が最初に直面するのが「事業計画を作成にするにあたり、何から始めればよいのか分からない」という壁です。
アイデアはある。やる気もある。
でも、それを実際の“事業”として動かすには、もう少し具体的な設計図が必要です。
その設計図こそが「事業計画」です。
この記事では、これから起業にチャレンジしたい方、あるいは準備中の方に向けて、事業計画とは何か、どのように作ればいいのか、実際にどのように役立つのかを、実務ベースで解説します。
でも実際は、こう思いながらもなかなか動き出せない。理由は人それぞれですが、共通しているのは「何から始めればいいのか分からない」「自信が持てない」という不安です。
事業計画というと、「銀行に提出する書類」「投資家向けのプレゼン資料」といったイメージがあるかもしれません。
しかし、作成初期の段階では、何よりもまず「自分のために作るもの」と捉えることが重要です。
このように、頭の中にあるモヤモヤを言語化・構造化することで、事業の精度とスピードが飛躍的に高まります。
ここでは、起業初期に必要な5つの基本構成を紹介します。
特別なフォーマットは不要です。A4用紙1枚でも、エクセルでもパワーポイントでも構いません。まずはラフにでも「言葉にしてみること」が第一歩です。
① ミッション(事業の目的・存在意義)
ミッションとは、「なぜこの事業をやるのか?」という根本的な問いに対する答えです。
どんな課題を解決し、社会にどのような価値を生み出すのか。自分自身が、何に突き動かされているのか。
たとえば、
・「地方の伝統技術を次世代に継承したい」
・「子どもたちが自由に夢を語れる社会にしたい」
・「働き方に縛られず、自分の価値で生きる人を増やしたい」
というような想いが、それにあたります。
ミッションは、事業の“軸”であり、“背骨”です。
迷ったとき、ぶれそうになったときに戻るべき原点となります。
② 顧客と課題(ターゲット設定とニーズの明確化)
誰の、どんな悩みや課題を解決するのか?
これは、ビジネスの「需要側(マーケット)」を明確にする作業です。
ポイントは、顧客像をできるだけ具体的に描くこと。
たとえば、「20代女性」よりも「都内で働く24歳の一人暮らしOL。趣味は洋服収集。部屋が狭く収納に困っている」の方が、圧倒的に商品設計や訴求がしやすくなります。
加えて、その人が抱える「不満」「不便」「不安」などの心理的背景まで掘り下げると、提供価値の切り口が見えてきます。
③ 提供価値(商品・サービスの内容と特徴)
どのような商品やサービスを通じて、どのような変化や効果を顧客にもたらすのか?
ここでは、「何を売るか」よりも「どう変化するか」にフォーカスすることが大切です。
例:
・✕「透明な収納ボックスを販売します」
・〇「大切なワンピースを、傷めずにスマートに保管できる収納ボックスを提供します」
競合との違い(差別化ポイント)、具体的な提供形態(定額制/単品販売/サブスク など)も整理しておくと、将来のブランディングにもつながります。
④ 収益モデルとコスト構造
ここでは、シンプルに「どのように利益を出すか」を言語化します。
項目例:
⑤ 行動計画(スケジュール・マイルストーン)
事業は、想像以上に“時間との戦い”です。
やりたいことがあっても、**「いつまでに、何をするか」**が明確でなければ、行動に移せません。
行動計画には、以下のような要素を入れると良いでしょう。
例:
よくある悩み |
対処法 |
何を書いていいか分からない |
5項目に沿って、思いつくことをとにかく書き出してみる |
数字に弱い |
業界の相場や、同種サービスの価格設定を調べて参考にする |
具体化が難しい |
他人に話してみると、自分でも気づいていなかった視点が得られる |
完璧を目指して進まない |
まずは「60点の案」でOK。事業計画は“書きながら磨く”もの |
今月は、以下のアクションに取り組んでみてください。
①5項目をA4一枚にまとめてみる(文章でも箇条書きでもOK)
②Excelやスプレッドシートで簡単な収支計算をしてみる
③知人やメンターに話して、反応やアドバイスをもらう
④自分のSNSで、アイデアの一部を発信して反応を見る
⑤1ヶ月以内に「ひとつ行動するタスク」を決めて実行する
事業計画に「完璧」は存在しません。
むしろ、実行と修正を繰り返しながら、磨き上げていくプロセスそのものが計画です。
事業が成長すれば、マーケットも、ターゲットも、提供価値も、当然変化します。
そのときに「どこをどう変えるか」を考えるためにも、土台となる計画が存在していることが大きな意味を持ちます。
最初の計画はラフで構いません。
まずは書き出し、行動につなげる。
それが、起業という旅の“第一章”です。
次回は「資金調達の考え方(自己資金/融資/投資)」についてお届けします。
NSGグループ 事業創造本部