起業を目指す人にとって、「お金の問題」は避けて通れない現実です。
十分な自己資金がある人もいれば、なるべくお金をかけずにスタートしたいという人もいるでしょう。でも共通して言えるのは、「お金をどう使うか」「どう回すか」の戦略を持っているかどうかが、事業を継続出来るかどうかのカギになるということです。
計画段階では見えていなかった「意外な出費」や、「想定より足りない売上」などに直面し、事業を止めてしまうケースも少なくありません。だからこそ今回は、事業立ち上げ期における資金運用の基本と、注意すべきポイントを具体的に整理していきます。
起業初期の資金は、いわば“限られた燃料”です。
それをどこに使うかによって、前に進むか、空回りするかが大きく変わります。
よくある失敗例:
・ブランド力を上げようと、名刺・ロゴ・ホームページ制作に数十万円使ってしまう
・広告を先に出してみたが、まだ商品やサービスが整っていなかった
・とりあえずオフィスを借りたが、顧客との接点はまだなかった
これらはすべて、「見た目」や「理想の形」にお金を先に投じたパターンです。悪いことではありませんが、“まだ売れていない”状態で大きくお金を使うことにはリスクがあります。
ポイント:
「準備のための出費」より、「売上や学びに直結する出費」を優先すること。
たとえば、商品の試作・モニター募集・ヒアリングの交通費などは、未来の売上や改善に直結します。最初の資金の使い道は、「学びが得られること」「検証できること」に絞るのが理想です。
事業の成長は思ったより時間がかかるもの。
一方で、毎月必ずかかる「固定費」は、待ってくれません。
たとえば:
月5万円のオフィス代月2万円のツールやサブスク月3万円の外注やサポート契約など売上がない期間にこれが続くと、手元の資金はあっという間に尽きてしまいます。
ポイント:
「固定費は、必要な時に“変動費化”できるものから始める」つまり、「使った分だけ支払う」形にしておくのが安心です。
工夫の具体例:
・自宅開業・コワーキング活用(固定費→日額や時間単位に)
・外注はクラウドワークスや知人経由で“スポット依頼”
・月額制ツールより、無料・買い切り・お試し期間のあるものを選ぶ
お金を使うときに迷うことは多いですが、その判断基準はシンプルです。
「それは、事業を進めるために、何の目的で、どう効果が出るものか?」この問いに答えられるなら、それは「投資」です。答えられないなら、それは「浪費」かもしれません。
例:
・ 商品開発のための試作品 → 顧客から反応をもらえる → 改善につながる → 投資
・デザインがかっこいいから高額なWebサイト → 来訪も購買もない → 浪費
「これは、誰のどんな行動を生み出すための支出か?」を常に確認するクセを持ちましょう。
ここも一番伝えたいポイントです。
起業初期にありがちなのは、「支出を控えて温存する」ことに意識が向きすぎて、「売上をつくる行動」に踏み出せなくなることです。
ポイント:
お金が“動いている”状態を、できるだけ早くつくることが大切。
たとえば:
500円の商品でも、売れることで「誰が買うか」「なぜ買うか」が見えてくる有料相談を始めれば、自分の提供価値が具体化されてきます。お金が動けば、顧客のリアルな声も自然と集まり、改善につながる「お金が流れる」というのは、「売れた」という実績だけでなく、ビジネスとしての信頼や自信を積み上げるという意味でも大きな価値があります。
やること例:
・支出リストを棚卸し
→これから使いそうなお金を10項目挙げ、緊急度/効果で優先順位をつける
・ 固定費チェック
→現時点で「毎月かかっている/これからかかりそう」な固定費を書き出し、削れるものを検討
・売上を生み出す仕組みを1つつくる
→モニター価格、テスト販売、有料相談など「収益が発生する試み」を計画し、実行する
・ 投資 or 浪費の判断トレーニング
→支出のうち3つを選び、「この支出で期待する成果は?」と自分に問い直す
お金は「守る」より「動かす」もの起業初期に資金を守る意識はとても大事です。でも、守るだけでは、ビジネスとしての“流れ”は生まれません。
お金は、「計画を進める力」に変わる資源です。自分なりの戦略を持って使い、動かし、学びにつなげていく――それこそが、“無理なく続く”事業運営の第一歩です。
NSGグループ事業創造本部