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超高齢社会に国内外から注目されている骨形態計測。「新潟骨の科学研究所」が世界を繋いで創立20周年記念WEBシンポジウム開催

2019.06.27 Thu

高齢化が進む世界に向けて発信

 

「高齢化は日本だけでなく世界共通の問題となっています」と言うのは、現在の研究所所長で新潟リハビリテーション病院院長でもある山本智章先生。そこで、20周年記念のシンポジウムは、インターネットで世界を繋ぐ形で開催することにしました。このWEBシンポジウムには、インディアナ大学、ケンブリッジ大学、南デンマーク大学、コロンビア大学、香川大学などの大学や、新潟市民病院、佐渡総合病院などの病院、画像解析や計測などを行うラトックシステムエンジニアリング株式会社など、国内外、多方面の研究者50名以上が参加。研究成果を各国の研究者の先生方と共有し、有意義な意見交換が行われました。
「超高齢化社会の現代では骨折から寝たきりになってしまうなどの事例も多く聞かれます。研究・臨床・啓発の3つの業務で医療を支えながら、社会の役に立つべくこれからも頑張っていきたいですね」と山本先生が話す通り、同研究所の研究成果はダイレクトに臨床に繋がっています。また、新潟リハビリテーション病院を通じて健康指導や講習会、パンフレットやポスターなどによる一般市民の啓もう活動にも取り組んでいます。さらに、山本先生はNPO法人日本脆弱性骨折ネットワークを設立、骨粗しょう症性骨折予防の第一人者として活躍しています。
世界に先駆けて超高齢化社会を迎えている日本と、これから高齢化が進む諸外国とで課題を共有し、共に研究を発展させ、その対策を考えようという取り組みを新潟から世界へ発信することは、学術研究による地方創生にもつながっていくことでしょう。

ケンブリッジ大学に勤めるトリスタン・ウィトマーさん(左)と山本智章所長(右)。「この研究所はどこよりも標本が充実しているので、見せていただけて大変勉強になっています」とウィトマーさん。

 

IoT時代に向けてさらなる進化を

研究所創立から20年、骨の研究が「量」から「質」へと転換し、多様なシーンでますます骨形態計測の必要性が増している昨今ですが、今後の課題として髙橋先生は次のように語っています。
「標本を解析するいくつかの段階では、どうしても人間の判断力が必要になります。ただ、増える一方のニーズにできる限り応えていくためには、AIやITといった技術の導入も考えていかないといけないと考えています。また、標本の三次元化も視野に入れています。二次元だったものが三次元になることで、さらに多くの情報が得られることでしょう。世界の医療、社会に役立つ技術を、さらに追求していかなければと考えています」。
また、研究所長・病院長として多方面で活動されている山本先生は、「骨格の健康は、さまざまな疾患との関わりが指摘されるようになり、患者さんを多職種でケアしていこうという方向になってきています。新潟リハビリテーション病院では院内骨折予防チームの活動、附属のメディカルフィットネスロコパークでは予防医療や治療後のサポートなどを行い、相互に連携し合ってより良いケアを工夫しています。効果的なノウハウやデータを積み重ね、広く紹介していきたい」と考えています。
「骨」から世界の医療や社会を見つめ、変化に対応してきた同研究所、創立20年を経て、さらなる進化が期待できそうです。

(写真左から)髙橋榮明、島倉剛俊、山本智章、田邉春美、トリスタン・ウィトマー各氏(敬称略)。

 

新潟骨の科学研究所
〒950-3304
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 FAX 025-388-3010
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