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ジュニア・プログラミング検定を開発。
子どもたちの「おもしろい!」を、
前へ進む力に変える仕組みに。

#自分の力を誰かの学びに
#プログラミング教育
#挑戦を肯定する仕組み

検定で学びのカタチをデザインしたい。

株式会社サーティファイ
川上 希望

2010年株式会社サーティファイに入社。大学卒業後は音楽の道を考えるも断念。職業訓練校でパソコンスキルを学び、その後スクールでの教材開発担当や講師として経験を積むなかで、“学びを支える仕組み”に関心を持つ。サーティファイに入社後は、officeソフトや情報処理分野などの検定開発を経て、「ジュニア・プログラミング検定」の立ち上げに携わる。現在は商品開発部のマネージャーとして新たな検定づくりに取り組む。

これまでのキャリア
入社前
大学卒業後、パソコンスクールでの教材開発担当や講師として経験を積む。
1年目
資格や検定の開発・主催などの事業を展開する株式会社サーティファイにて、検定試験・対策教材の開発に従事。
7年目
自ら手を挙げ、小学生を対象とした「ジュニア・プログラミング検定」の開発プロジェクトに参加。
15年目以降
2024年に商品開発部のマネージャーとなり、現在は検定を通して学びの可能性を広げるべく奔走中。

音楽の道から、学びをデザインする仕事へ。

大学時代はクラシックギターにのめり込んでいた。演奏の技術を磨きながら音楽の道で生きていけたらと考えていた。就職活動にはほとんど手をつけないまま卒業を迎えた。いざ社会に出た後は、アルバイトしながらの音楽活動。そのなかでギターだけでは食べていけない現実を突きつけられた。自分が何者でもないという焦り。生きていくためのスキルを身につけたいと思い、職業訓練校に通った。ほとんど初心者だったWord、Excelなどのoffice技能やWeb制作、画像制作を一から学び、少しずつできることが増えていく。修了後、「当校で働きませんか?」と声をかけられた。たった3ヵ月学んだだけの自分に務まるのか。それでも期待に応えたい気持ちが勝った。教材制作担当や講師としてはたらくなかで、かつて自分がつまずいたところをより丁寧に伝えることで、自分の説明に頷いてくれる人がいる。そのことがうれしかった。しばらくして次のキャリアを考え始めたとき、求人情報でサーティファイの名前を見つけた。その瞬間、アルバイト時代にサーティファイの検定対策教材を扱っていた記憶が蘇ってきた。「あの会社だ!」。教育に関わる仕事で、自分のスキルも活かせると感じた。サーティファイに入社して最初に担当したのは、officeソフトの検定開発。自分の力が誰かの学びにつながる。その実感が、次の一歩を支えた。

ジュニア・プログラミング検定。

入社して数年たった頃、営業担当からある開発案件の相談があった。子ども向けのプログラミング教室が増えていて、検定を求める声があるという。すぐに自分から「やってみたいです!」と手を挙げた。使うのは「Scratch」というプログラミング言語。ブロックをつなげるだけでキャラクターを動かせる。文字を打たなくとも、考えたことがすぐに形になる。操作の結果がその場で見え、試行錯誤するたびに発見がある。“考える→試す→動く”のサイクルを体感できる、その直感的な面白さに、可能性を感じた。ただ、当時は子ども向けの検定には賛否があった。「子どもたちの自由な発想を奪ってしまうのでは」。その懸念は自分も理解できた。だからこそ、単なる評価のためではなく、挑戦を肯定する仕組みにしたいと思った。最初の試作版は、数か月で形になった。そこからが本当の始まりだった。プログラミングは自由度が高く、同じ課題でもいくつもの答えがあるのはScratchも同じ。どこを評価すべきか、採点基準を細かく分けて整理した。協力してくれた教室で、子どもたちに実際に受けてもらった。指示が伝わらなかったり、時間内に終えられなかったり。現場での様子を見ながら、問題文を直し、課題の構成を調整した。制限時間や表現のレベルを何度も見直し、試験のかたちを探り続けた。1年近くかかって、ようやく”プログラミング能力に加え、自身のアイディアを表現する力を測る検定”としての形が見えた。

教育の未来を変えていく。

何度も修正を重ねた検定がようやく完成し、2016年に「ジュニア・プログラミング検定」としてリリースされた。最初は一部のパソコン教室での実施から始まった。少しずつ導入する教室が増え、受験者も着実に伸びていった。2025年3月末時点で、累計受験者数は4万4千人を超える。子どもたちが自分の力でつくり、形にする経験。その成果が、検定を通じて“見える”ようになった。先生方からは「子どもたちが目標を持って学ぶようになった」「合格証が次のステップへの励みになっている」といった声が届いた。いまでは、英検などと同じように、一部の私立中学校入試で加点や評価の対象として扱われるようにもなっている。サーティファイにとっても、新しい分野への挑戦が次の開発プロジェクトにつながる大きなきっかけになった。自分の中に、ひとつのビジョンが生まれた。検定をつくるというのは、挑戦する人の努力を支える仕組みをつくること。すなわち、学びを“デザイン”する仕事だと思うようになった。いまでは、検定を単独で考えるのではなく、教材や教育プログラムとあわせて、学びの循環をどうつくるかを意識している。教える人と学ぶ人、その間にあるサポートのかたちを設計しながら、検定の役割はさらに広がっていくはずだ。学びの可能性を広げること。その積み重ねが教育の未来を変えていくと信じている。

※所属表記・記事内容は、取材当時の内容に基づいています。
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