EVバスとZEB導入による先進的な環境配慮型キャンパスづくり。

2025.09.19 Fri

新潟医療福祉大学では、持続可能な未来を見据えた取り組みを進めています。CO₂削減に貢献する電気バス(EVバス)の運行開始や、最新の省エネ技術を備えたZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)仕様の新校舎完成など、環境と教育を両立させる試みが広がりを見せています。

今回は、これらの導入に至った経緯や現在の状況、そして今後の展望について、新潟総合学園 総務部の渋谷 友之さんと、法人企画部の佐藤 裕也さんにお話を伺いました。

EVバスの前に立つ新潟総合学園の渋谷 友之氏と佐藤 裕也氏
渋谷さん(左)と佐藤さん(右)

 

環境配慮と教育効果を両立する導入の意義。

― EVバスを導入されたきっかけを教えてください。

渋谷 理由は大きく3つあります。まず、JRの最寄り駅と大学を結ぶスクールバスの1台が老朽化し、ちょうど更新の時期を迎えていた点です。次に環境配慮の視点です。これまでも本学では環境に配慮した取り組みを進めてきた経緯があり、その延長線上でEVバスはごく自然に候補に挙がりました。そして、コスト削減で優れ、ディーゼルバスに比べて燃料費をおよそ45%削減できる見通しが立ったことも大きな理由です。

 

― ディーゼルバスと比較した際の利点を改めて聞かせてください。

渋谷 環境への配慮が挙げられますが、それだけではありません。アイドリング時の騒音が小さくなり、乗っている学生からも「静粛性が高く、移動中も落ち着いて過ごせる」と好評です。また、非常時には移動型の電源車として活用できる点も大きな安心材料です。災害時にこの機能は心強いですね。さらに、学生が毎日利用するスクールバスがEVになったこと自体が、彼らの環境意識を高める“生きた教材”になっていると感じます。

インタビューに応える新潟総合学園の渋谷 友之氏

 

― 実際の運行状況はいかがでしょうか‎‎。

渋谷 スクールバスの運行は朝7時台から夜11時頃まで続きます。大型バス4台のうち1台がEVバスで、その他にマイクロバスも運行しています。混雑時には観光バスを臨時で手配することもありますが、EVバスは静かで加速もスムーズなため、学生や利用者から「乗り心地がいい」との声を頂きます。新潟県内の教育機関で初めての導入となり、学生の反応が気になりましたが好評を得ています。

 

― 具体的なCO₂の削減効果について教えてください。

渋谷 2025年6月の運行開始から、同等のディーゼル車と比べて年間およそ40トンのCO₂排出を削減できる見込みです。これはガソリン自家用車約20台分に相当します。数字に置き換えると、その効果の大きさが実感できますね。

 

実質消費ゼロを目指すZEB校舎の最新設備。

― 続きまして、この春に竣工したZEB新校舎を紹介してください。

佐藤 ZEBは「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」の略で、省エネによって使うエネルギーを減らし、創エネによって使う分のエネルギーをつくることで、一次エネルギーの消費を実質ゼロに抑えることを目指した建物です。本学の新校舎には太陽光発電設備を備え、BEMS(ビルエネルギー管理システム)を導入しています。これにより、発電量や消費電力量を毎月細かく把握できるのです。設計通りに運用されていれば、日中の電力消費はほぼゼロになる見込みで、環境負荷を大きく減らすことができます。単なる建物ではなく、“発電しながら学びの場を提供する”という、新しいスタイルのキャンパスだと感じています。

新潟医療福祉大学が竣工したZEB新校舎

 

― 具体的にどのように学生の学びに活かしているのですか。

佐藤 2階の共用スペースに大型スクリーンを設置し、太陽光発電の状況をリアルタイムで表示しています。その横にはSNSの情報も並べ、学生が足を止めやすいよう工夫しました。ただデータを見せるだけでなく、「いま自分たちのいるこの建物が、どれくらいエネルギーを生み出しているのか」を日常的に意識してもらうことが目的です。こうした表示が、環境への関心や行動のきっかけにつながればと思っています。

新潟医療福祉大学にある太陽光発電の状況をリアルタイムで表示するスクリーン

 

― 新校舎について、学生の反応はいかがですか。

佐藤 朝から1階のラウンジで勉強する姿や、昼休みに2階の共用スペースで友人同士で過ごす姿をよく見かけます。高断熱・高気密の効果で、冷暖房が効きやすく、一年を通じて快適な空間になっているのも人気の理由ではないでしょうか。こうして人が自然と集まる場所になっているのは、とても嬉しいですね。

インタビューに応える新潟総合学園の佐藤 裕也氏

 

― ZEBやEVバスの投資回収期間はどれくらいを想定していますか。

佐藤 ZEB校舎は、電気代が抑えられることによっておおむね15年ほどで導入費用を回収できる見込みです。

渋谷 EVバスは燃料費の削減により、9年での回収を想定しています。環境負荷の軽減と長期的なコスト削減を両立できるのは大きな魅力です。

 

グループ連携による専門性を活かした協業体制。

― NSGグループ内の連携についてはいかがでしょうか。

佐藤 設計は一級建築士事務所のクレイズプラン、施工は総合建設業の国際総合計画、太陽光発電は電力小売り事業者の新電力新潟と、分野ごとのスペシャリストが関わってくれます。同じグループだからこそ、意思疎通が早く、お互いの強みを活かしやすいですね。

渋谷 EVバスの導入のきっかけは、同じNSGグループの愛宕商事からの提案でした。同社はカーボンニュートラル推進事業部があり環境事業に力を注ぐ中で、国産EVバスの販売代理も手掛けています。EVバスは環境面・コスト面ともにメリットが大きいと分かり、導入の検討を進めました。

 

サステナブルな大学づくりへの継続的な挑戦。

― 大学としての脱炭素への取り組みについて教えてください。‎‎

佐藤 空調設備の高効率化、照明のLED化など、施設面での省エネ化を進めています。階段利用の促進など、日常的にできる小さな取り組みも積み重ねています。こうした積み上げが、確実に未来の成果につながると信じています。

 

― 今後の取り組みと展望をお聞かせください。

佐藤 太陽光パネルの追加設置や空調設備のさらなる省エネ化に加え、公用車のEV化や再生資材を使った備品の導入も検討しています。できることから一歩ずつ、着実に進めたいと考えています。

渋谷 学生が日々利用する施設設備の安全性と利便性の向上、またコスト抑制を意識し取り組んでいきたいと考えています。また、地域の一員として社会に貢献し続けるためにも、環境への取り組みは不可欠です。これからも積極的にサステナブルな大学づくりを進めていきます。

佐藤 学生や教職員が快適に過ごせる環境と、持続可能性を両立させること。それがこれからの大学のあり方だと思います。新しい技術も積極的に取り入れ、CO₂削減にもつなげていきたいですね。

新潟総合学園の渋谷 友之氏と佐藤 裕也氏

 

新潟医療福祉大学
全国でも数少ない、看護・医療・リハビリ・栄養・スポーツ・福祉・医療ITを学ぶ6学部15学科の医療系総合大学です。この医療系総合大学というメリットを最大限に活かし、本学では、医療の現場で必要とされている「チーム医療」を実践的に学ぶことができます。また、全学を挙げて組織的な資格取得支援体制と就職支援体制を構築し、全国トップクラスの国家試験合格率や高い就職実績を誇っています。さらに、スポーツ系学科を有する本学ならではの環境を活かし、「スポーツ」×「医療」「リハビリ」「栄養」など、スポーツと融合した学びを展開しています。

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