不登校の子どもたちに学びの機会を。フリースクール「開志中等部」開校から1年、新たに「高等部」も。

2026.03.26 Thu

大彦学園は、フリースクール「開志中等部」を2025年4月に新潟市に開校しました。そして、2026年4月には「開志中等部」「開志高等部」を上越市に開校します。メタバース教室を活用した新しい学びのスタイルなど、これまでにない教育の選択肢として注目されています。

開志中等部・高等部の運営管理責任者 前田 健吾さんに、開校から1年の取り組みや今後の展望を聞きました。

開志中等部のロゴの前でほほ笑む大彦学園の運営管理責任者の前田健吾氏

 

子どもたちに、多様な学びの選択肢を。

開校の背景にあった思いを教えてください。

前田 開志中等部は、「学校に通うことが難しい子どもたちにも、学びの場を提供したい」という思いから立ち上げたフリースクールです。また2026年4月に開校する開志高等部は、「いま通っている高校への不安を感じている生徒たちへの居場所を提供したい」という思いから立ち上げました。さらに開志高等部には、広域通信制高校である開志創造高等学校のサポート校も併設しています。不登校の児童・生徒の数は全国的に増え続けており、新潟県でも同様の傾向が見られます。人間関係や体調、発達特性、学校との相性など、背景は一人ひとり異なり、学校でもさまざまな支援が行われていますが、学校での支援に加え、別の学びの選択肢が必要な場合もある。だからこそ、子どもたちが安心して学べる選択肢を増やしたいと考えました。

 

日々の学びには、どのような特徴がありますか。

前田 子どもたち自身の興味・関心を軸に、個別に学びを進めていきます。例えば、イラストが好きな子どもたちはそこから学びを広げていけますし、ゲームやプログラミングに興味がある子どもたちもいます。「学びたいことから学びが広がる」というのがこの場所の特徴です。

 

開校から1年、子どもたちにどのような変化が見られましたか。

前田 とある子どもは、通っていた学校で心ない言葉をかけられた経験がきっかけで、学校に行くことが怖くなってしまいました。最初はチャットのみの参加でしたが、チーフが自宅を訪問してプリントを届けるうちに、少しずつ信頼関係が生まれていきました。やがてビデオ通話もできるようになり、今では月に数回、教室にも通っています。教室では友達もでき、「ここに来るのが楽しみ」と言ってくれるようになりました。人と会うことが難しかった子どもが、「行きたい」と考えるようになる。こうした変化を見るたび、この場所をつくってよかったと感じます。

インタビューに応える大彦学園の運営管理責任者の前田健吾氏

 

メタバース教室が支える、一人ひとりの新しい学び。

メタバース教室」ならではの強みを教えてください

前田 まず、遠方に住んでいる子どもたちにも学びが届けられること。次に、リアルの教室にいきなり来るのが難しい子どもたちでも、チャットから始めて音声、そしてビデオへと、段階的に人との関係を取り戻していけることです。

 

多様な特性や状況のある子どもたちにとって、どのような意味がありますか

前田 子どもたちによって抱えている困難はさまざまですが、特に印象的だったのは、対面でのコミュニケーションに大きな不安を抱えていた子どものケースです。その子どもにとって、自宅から参加できるメタバース教室はとても貴重な存在でした。リアル登校が前提のフリースクールでは参加が難しい子どもたちも、メタバースがあることで学びの機会が広がる。そこに大きな可能性を感じています。

インタビューに応える大彦学園の運営管理責任者の前田健吾氏

 

学校とつながる、出席認定と支援体制。

在籍校との連携や出席認定の仕組みについて教えてください。

前田 フリースクールは、子どもたちが通った記録や学習状況を月末にまとめて在籍校に提出します。最終的に、在籍校の校長先生が出席として認めるかどうかを判断します。開志中等部では、フリースクールでの学びを学校の成績評価につなげる取り組みも行っています。例えば、フリースクール内で在籍校の定期テストを実施し、その答案を在籍校に提出して成績に反映してもらっています。このような形で、学校連携の強化に努めています。

 

連携がスムーズに進んでいる背景には何があるのでしょうか。

前田 開志中等部の永井チーフは元中学校校長で、県内の学校現場とのネットワークも豊富です。学校側と共通の土台に立って話し合えることが、連携を進めるうえで大きな強みになっています。

 

スタッフ間の連携で工夫している点はありますか

前田 発達特性や日々の様子、学習状況をクラウドで共有し、スタッフ全員がすぐに確認できる体制をとっています。少し元気がなさそうだと気づいたスタッフが声をかける。そうした小さな積み重ねが、子どもたちの安心感につながっています。

 

子ども同士の関係性はどのような雰囲気ですか。

前田 東新潟校では小学生から中学生まで同じ空間で過ごしていますが、学年や年齢はほとんど関係ありません。名前も下の名前で呼び合うことが多く、互いの苗字を知らない子どもたちもいるほどです。それでも全員が「同じ場所にいる仲間」という空気が自然に生まれています。違いがあることが前提の場所だからこそ、子どもたちが安心できるのだと思います。

インタビューに応える大彦学園の運営管理責任者の前田健吾氏

 

地域に広がる、新しい学びの拠点。

2校目となる上越校の開校を決めた理由を教えてください。

前田 一番の理由は、上越市における学びの選択肢の少なさです。新潟市や長岡市と比べると、多様な学びの場がまだ十分に整っていません。新潟市での運営を通じて、県内各地から相談をいただくようになり、「上越にも同じような場所が必要だ」という声が特に多くありました。学校に通うことが難しくなったとき、「ここなら通えるかもしれない」と思える場所が地域にあるかどうかは、子どもたちにとって大きなことだと思います。上越校の開校は、そうした子どもたちの学びを支えていくための大切な一歩でした。

 

そのほかに、上越で感じた課題はありますか。

前田 高校進学の選択肢の少なさですね。上越にも多様な高校がありますが、通信制高校など、柔軟な学び方ができる高校となると限られてしまいます。中等部で学んだ子どもたちがそのまま次のステップへ進めるよう、上越校には同じNSGグループの開志創造高校(通信制)のサポート校も併設しています。中学から高校まで、成長を途切れさせずに支えていける仕組みをつくりたいのです。

インタビューに応える大彦学園の運営管理責任者の前田健吾氏

 

学びの可能性を広げる、フリースクールの役割

フリースクールに取り組む理由とは。

前田 やはり学びの可能性を広げたいというのが、大きな理由の一つです。不登校になると、多くの子どもたちや保護者が将来に不安を感じてしまうと思います。でも実際には、学びの道は一つではありません。NSGグループには多様な専門学校や大学、法人がある。小・中学生の段階から将来の進路まで見据えて支援できる環境がある。だからこそ、この取り組みに挑戦できると思っています。

 

最後に、今後このフリースクールをどのような場所にしていきたいか、展望を聞かせてください。

前田 今年は初めての卒業生も送り出しました。卒業生は全員が高校に合格し、それぞれ次のステップへ進んでいます。私たちが目指しているのは、「学校に行けない子どもたちが来る場所」ではなく、「新しい学びのかたちの一つ」になることです。子どもたちがここで自信を取り戻し、自分らしい学び方や可能性を見つけていけること。それが私たちの一番の願いです。

インタビューに応える大彦学園の運営管理責任者の前田健吾氏

 

開志中等部・高等部

2025年4月、NSGグループは新潟市東区で初となるフリースクール「開志中等部」を開設しました。中学生および小学校高学年の児童を対象に、学び方・過ごし方の選択肢を広げる新しい学びの場です。上越校では、小中学生に加え高校生も対象としながら「開志中等部・高等部」として2026年4月より開設します。学校という枠にとらわれず、個性を大切にした学びと育ちを目指す子どもたちに、安心できる“居場所”を提供します。

東新潟校/〒950-0885 新潟市東区下木戸1丁目4番1号 東区役所庁舎3階
上越校/〒943-0824 上越市北城町3丁目1番21号 高助北城ビル1階
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