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ガタケット×学生がNintendo Switch™『虧月の夜』制作に参加~原作・主題歌制作の舞台裏
新潟発のクリエイター育成拠点“ガタケット”と、音楽・ダンス・エンタテインメント分野で多くのアーティストを輩出してきた国際音楽・ダンス・エンタテイメント専門学校(SHOW!)。今回、両者がタッグを組み、Nintendo Switch™向けアドベンチャーゲーム『虧月の夜(きげつのよる)』の原作と主題歌制作に挑みました。
企画と制作の背景、そして学生クリエイターたちがどのように作品と向き合い、音楽を生み出していったのか。ガタケット 代表取締役 高橋 大介さんと、主題歌を手がけた学生4名に、その舞台裏と手応えを伺いました。

原案誕生からプロジェクト始動までの歩み。
― 『虧月の夜』は、どのようなゲームですか。
高橋 現代の高校生が昭和初期の大量殺人事件「三十人殺し」が起きた農村に転生し、死とタイムリープを繰り返して真相に迫る、Nintendo Switch™向けサバイバルホラーアドベンチャーゲームです。2026年1月29日に、株式会社エディアから発売予定です。
― 今回、ゲーム『虧月の夜』制作に踏み切った背景について教えてください。
高橋 ガタケットでは2021年にオリジナルIP開発を担うコンテンツ事業部「TOKIFUDE(トキフデ)」を立ち上げましたが、当初は出版社からの漫画編集の受託と、JAM日本アニメ・マンガ専門学校の学生や卒業生の作家デビュー支援が中心でした。ただ、立ち上げ時から密かに掲げていたミッションがありまして、漫画以外の領域、特にゲーム原作にも挑戦したいという思いがありました。
― ガタケットのコンテンツ事業部「TOKIFUDE」にはどのような特長がありますか。
高橋 大きな強みは、NSGグループの学校との連携です。通常は作家探しに時間がかかりますが、ガタケットは在校生・卒業生のデータベースと教員からのフィードバックを活かし、作家候補をすばやく出版社へ提案できます。まさに“原石の発掘からデビューまでを一気通貫で支援できる環境”が整っている点は、TOKIFUDEの最大の特長だと言えます。
― どのように話が具体化していったのでしょうか。
高橋 大きかったのは、以前から親しくしていたアニメプロデューサー・森本浩二さん(株式会社アウローラ 代表取締役)が声をかけてくださったことです。2022年頃、森本さんから「最近はゲーム原作が世界的に盛り上がっている。特にジャパニーズホラーは今、勢いがある。小規模でもまず形にしてみないか」と提案をいただきました。ただその後、タイミングが合わずに一時停滞してしまい…。転機が訪れたのは2024年。前職からつながりのあった株式会社エディアさんが新潟に来訪され、そこで偶然企画書をお見せできたのです。「これはぜひ一緒にやりましょう」と即答していただけ、一気に動き出しました。

学生クリエイターの才能を結集した楽曲制作への挑戦。
― どういった経緯で、楽曲に学生作品を採用することになったのですか。
高橋 「NSGには音楽の専門学校があります。打診してもいいですか?」と相談したところ、「ぜひやりましょう」と快諾いただきました。そこから5月に第一報、6月に候補者選定、7月には曲とアーティストが決定。スピード感のあるプロジェクトでした。
― オーディションはどのように進めましたか。
高橋 まずは作詞作曲担当の学生からデモを提出してもらい、世界観に近い作品を選びました。それから脚本を共有し、物語を踏まえた表現を依頼。最終的にはボーカルも選考し、作詞・作曲・編曲・歌唱のすべてを学生チームで構成する、かなりチャレンジングな選出方法となりました。
ここからは、実際に楽曲制作・歌唱を担当した4名にお話を伺います。
- 小川 拓さん(OPテーマ「Insomnia」作詞作曲編曲/SHOW!卒業生)
― 制作中で印象に残った出来事はありますか。
小川 実は「Insomnia」は、2日間の集中作業で一気に仕上げた曲なんです。もともとはエンディング曲に力を入れて準備していたのですが、「オープニングも応募しよう」という流れになり、急きょ制作をスタートしました。大変でしたが、自分の曲が実際のゲームに採用される機会なんて、学生時代も含めてそうそうありません。だからこそ「絶対にやり遂げよう」という気持ちが強かったです。作品を通して多くの人に届くと思うと、胸が熱くなりました。

- 栞鳳さん(OPテーマ「Insomnia」ボーカル/SHOW!在校生)
― 歌唱で心に残った瞬間はありますか。
栞鳳 先生から「決まりました」と連絡をいただいた瞬間が忘れられません。驚いてスマホを落としそうになりました(笑)。実際のレコーディングでは細かい指示をたくさんいただきました。「このワードはつなげてほしい」「ここはビブラートをしっかり」といった具体的なアドバイスを受けて、それに応えることがすごく勉強になりました。完成した音源を聴いたとき、自分の表現が形になったという達成感がありました。

- Kiaraさん(EDテーマ「夜さりの果てに」ボーカル/SHOW!在校生)
― 今回の経験を振り返って感じることを教えてください。
Kiara 以前、学内制作で作曲したStellaikaさんの曲を歌わせてもらったことがあり、今回も彼女の作品を歌えると知った時は本当にうれしかったです。レコーディングでは歌の世界観を細かく求められ、「Aメロはこういう心情で」「サビはもう少し強く」といった指示を即座に理解し、表現に落とし込む力が求められました。普段の授業で学んできたボーカルテクニックが、そのまま活きた場面でした。“仕事”として歌声を届けたのは初めてで、「アーティストとしての第一歩を踏み出せた」と感じています。

- Stellaikaさん(EDテーマ「夜さりの果てに」作詞作曲編曲/SHOW!在校生)
― どのように曲と歌詞を組み立てましたか。
Stellaika 作曲自体は高校生の頃から続けていましたが、作詞は専門学校に入ってから本格的に始めました。今回の作風は自分があまり経験していないジャンルでもあったので、脚本を何度も読み込んで“作品世界の温度”をつかむことから始めました。歌詞を書いたあとに曲を合わせていきましたが、何度も試行錯誤しました。自分の表現が作品の一部になる責任と面白さを、改めて実感した制作になりました。

“若い感性”が作品にもたらした彩り。
― 学生との協働制作で印象的だったことは何でしょうか。
高橋 学生のみなさんが持つ“若い感性”は本当に刺激的でした。『虧月の夜』は実在の事件を題材にしつつ、そこからオリジナル物語を構築する繊細さが求められましたが、彼らは臆することなく「どうすれば面白くなるか」をまっすぐに考えてくれた。「世界観との親和性」と「聴いたあとに残る余韻」を大切に、物語の入り口と出口に深みを生む─そんな音楽を届けてくれたと思います。
― 完成した楽曲を聴いた時の感想は?
高橋 期待されている水準にきちんと届く仕上がりでした。エディアさんも「学生とは思えない完成度ですね」と驚かれていて。その結果、PVにも学生楽曲を積極的に採用することに決まりました。制作チーム全員が驚き、そして喜んだ瞬間でした。
作品の見どころと、広がる将来構想。
― 2026年1月発売に向け、改めて『虧月の夜』の見どころを教えてください。
高橋 『虧月の夜』は物語を追うだけでも楽しめる一方で、歴史考証や事件背景、舞台となる村の構造など、“深掘りすると面白さが広がる仕掛け”を随所に取り入れています。発見の積み重ねによって、より深く作品を楽しめる構造です。
― 今回の産学連携を踏まえて、今後の展開はどう考えていますか。
高橋 『虧月の夜』自体も続編を見据えた世界観なので、可能性は十分あります。もし次の企画が動くなら、今回のようにオープニングやエンディングだけでなく、劇中BGMも学生と一緒に作れたら面白いと思います。ホラー以外にも、アクションなど新ジャンルにも挑戦してみたいですね。

※Nintendo Switch™は任天堂の商標です。
株式会社ガタケット
同人誌展示即売会「ガタケット」は2023年1月で開催40周年を迎えました。ガタケットはプロ及びアマチュア作家達が自己表現としての作品を持ち寄り集まるイベントです。これからもプロアマを問わない作品発表の場としての役割を続けていきたいと考えています。また、マンガ・イラスト制作ブランド「TOKIFUDE」は出版社からのマンガ制作の依頼受注や企業からの事業紹介用マンガ、イメージキャラクターの制作をしており、クリエイターとクライアントのコーディネートや作品のクオリティコントロールを行っています。新たなクリエイターの発掘や育成にも力を入れ、さまざまなコンテンツを生み出していきます。
新潟市中央区西堀通3番町791番地
TEL:025-228-8718 / FAX:025-201-8113
https://gataket.com
国際音楽・ダンス・エンタテイメント専門学校
新潟にある音楽系専門学校で、歌、楽器、ダンス、K-POP、音楽ビジネス、映像、音響・照明、作曲・編曲、レコーディングが学べる学校です。また日本で唯一K-POPを学べる学科「K-POPエンタテイメント科」があり、全国からK-POPを学びたいという学生が集まっています。
学科
音楽アーティスト科/ダンス科/K-POPエンタテイメント科/音楽ビジネス科/映像デザイン科/音響・照明科/サウンドクリエイター科/総合エンタテイメント科/総合エンタテイメント・大学科/ 研究科
新潟県新潟市中央区古町通7-935 内 NSGスクエア
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