健康×データサイエンスを学ぶ新学科が始動~新潟医療福祉大学

2025.11.07 Fri

医療・福祉・スポーツの現場で、あらゆる“データ”を読み解く力が求められる時代。新潟医療福祉大学は、全国でも先進的な学びをスタートさせます。それが、2026年4月に誕生する「健康データサイエンス学科」です。

医療系総合大学として培ってきた知見を融合し、人の“健康”を科学的に支える新たな人材育成に挑む新学科の設立背景と、今後の展望について、新潟総合学園 法人企画推進室 室長 木村 大さんに伺いました。

新潟医療福祉大学で2026年4月に開設される健康データサイエンス学科のイメージ画像

 

医療系総合大学が挑む、新たな学問領域。

― 健康データサイエンス学科を開設する目的や背景を教えてください。

木村 現在、あらゆる業界で“データを活かす力”が求められています。医療や福祉、スポーツの分野も例外ではありません。しかし、データサイエンス人材は国全体で不足しているのが実態です。そこでこれらの分野を軸に、データサイエンスの力で新たな価値を創造できる人材を育てたいと考え、「健康」と「データサイエンス」を掛け合わせた学科を、全国に先駆けて設立することにしました。

 

― 学科の特色について教えてください。

木村 特色は大きく2つあります。まず1つは、データを扱うための基礎教育をしっかりと行うこと。1・2年次ではプログラミングや統計学など、データを扱う力を体系的に身につけます。もう1つは、新潟医療福祉大学の強みである医療・福祉・スポーツの現場と結びついた実践的な学びです。提携病院や施設、強化指定クラブなどで実際にデータを扱う体験を通して、座学だけでなく“現場で活きるスキル”を養うことを重視しています。

インタビューに応える新潟総合学園 法人企画推進室 室長 木村 大氏

― 特徴的な取り組みはありますか。

木村 全国的にも新しい取り組みとして「eスポーツ」を健康の観点から取り入れます。いわゆる選手を育てるためのeスポーツではなく、「健康のためのeスポーツ」を科学的に研究するというものです。例えば、高齢者施設でeスポーツを活用した認知症予防やリハビリテーションの効果を検証するなど、社会と連携した実践的な研究を進めていく予定です。

 

多様な専門家と築く、新しい学びのかたち。

― 教員体制について教えてください。

木村 13名の教員が在籍する見込みです。データサイエンスの専門分野だけでなく、医療・福祉・スポーツなど新潟医療福祉大学の強みを持つ分野からも専門家が集まります。例えば、プログラミングなどを教える教員や、AIを専門とする研究者、企業のデータサイエンティストとして活躍していた実務家、さらにはプロスポーツチームでデータ分析を担ってきた指導者など、多彩な顔ぶれがそろいます。

 

― 入試形態や求める学生像を教えてください。

木村 基本的な入試区分は他学科と変わりませんが、エンジニア的な要素を重視するため、一部の入試区分では数学的な基礎力を測る試験も用意しています。求める学生像としては、データの力で新しい価値を生み出したいという探究心と行動力を持つ方に来てほしいですね。
実践から学ぶ、これからのデータサイエンス教育。

 

― オープンキャンパスでは、どのような反響がありましたか。

木村 県外からの参加も多く、宮城、長野、富山など近県からの来場者が目立ちました。特に「スポーツ×データ」というテーマに関心を寄せる高校生が多く、また、こちらが想定していた以上に女子高校生の反応が強かったのが印象的です。部活動などを通してスポーツに親しんできた学生ほど、データを使ってパフォーマンスを可視化するという考え方に共感しやすいようで、説明会後も積極的に質問をしてくれる姿が多く見られました。

新潟医療福祉大学で2026年4月に開設される健康データサイエンス学科のオープンキャンパスの様子
オープンキャンパスの様子

 

― 体験ブースでは、どんな取り組みを行われたのですか。

木村 オープンキャンパスでは、スポーツをはじめ、医療や福祉の分野でもデータサイエンスを体験できるブースを設けました。医療分野では、AIを用いた肺炎予測シミュレーションを体験し、医師の勘や問診に頼らず、データ分析によって診断の精度を高める重要性を学びました。また、福祉分野では「健康寿命を延ばすための生活データ分析」を実施。コミュニティ活動の参加頻度や運動習慣など、日常のデータが健康とどう関係しているかを体感できる内容でした。“データで社会を良くできる”という手応えを感じてもらえたのではないかと思います。

新潟医療福祉大学で2026年4月に開設される健康データサイエンス学科のオープンキャンパスの様子
オープンキャンパスの様子

 

― 外部企業との連携や、今後のインターンシップの構想について教えてください。

木村 オープンキャンパスでは、データスタジアム株式会社様と連携し、実際のプロ野球球団のデータを使って打順をシミュレーションして、勝率の変化を分析するプログラムを実施しました。高校生たちも、自分の手でデータを操作しながら「勝てるチームづくり」を体験できることに興奮している様子でしたね。開設後は、NSGグループ内外の企業と協力し、学生が現場でデータを活用できるインターンシップを展開していきます。「企業や組織の課題をデータでどう解決するか」を学べる実践的なプログラムにしていきたいと考えています。

 

データが導く、新時代のキャリアフィールド。

― 学生の皆さんは、卒業後どのような分野で活躍することを想定されていますか。

木村 将来は、データサイエンティストやシステムエンジニア、プログラマーなど、IT分野での活躍が期待されます。また、医療・福祉・スポーツという“人々の健康に関わる分野”への輩出も見込んでいます。これらの領域でも、近年はデータ分析が欠かせないものになりつつあります。例えば、病院での診療支援システム、介護現場での利用者データ分析、そしてスポーツの現場では選手のパフォーマンス向上やケガの予防まで、データの活用範囲は広がっています。こうした現場で信頼される“データの専門家”を育てていきたいですね。

 

― 特にスポーツ分野では、どのような仕事の可能性が広がるのでしょうか。

木村 今やスポーツの世界では、データ分析が戦略の要です。そうした現場で中心的な役割を果たしているのが「スポーツアナリスト」と呼ばれる職種です。この仕事は、選手の動きや戦術をデータで分析し、監督やコーチが次の戦略を立てる際の判断材料を提供するもの。まさにデータサイエンスの力が直接“勝利”に結びつく仕事です。健康データサイエンス学科では、スポーツ分析の実践的な授業も用意しており、学生たちが将来こうした分野で活躍できるようにサポートしていきます。

 

― 今後5年、10年先を見据えて、どのような学科に育てていきたいと考えていますか。

木村 教育の質をさらに高めることはもちろんですが、この学科を「地域や社会とつながる拠点」にしていきたいと考えています。例えば、地域の企業や自治体が抱える課題を学生たちがデータ分析で解決に導く、そんな連携プロジェクトを展開していく予定です。学びを地域に還元し、大学と社会の架け橋となる仕組みを築いていきたい。この新しい学科が、その一翼を担えればうれしいですね。

 

新潟医療福祉大学

全国でも数少ない、看護・医療・リハビリ・栄養・スポーツ・福祉・医療・ITを学ぶ6学部16学科を有する医療系総合大学です。これら16学科すべてがワンキャンパスに集結しているという、全国でも類を見ない環境を活かし、学部・学科の垣根を越えた連携教育を実現しています。この唯一無二の学びの場では、医療現場で求められる「チーム医療」を実践的に学ぶことができ、学生同士の相互理解と協働力を育むことが可能です。
さらに、全学を挙げて組織的な資格取得支援体制と就職支援体制を構築しており、全国トップクラスの国家試験合格率や高い就職実績を誇っています。また、スポーツ系学科を有する本学ならではの環境を活かし、「スポーツ」×「医療・リハビリ・栄養」など、スポーツと融合した学びも展開しています。

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