フードドライブで地域を支える。愛宕福祉会が続ける5年間の歩み

2026.08.20 Thu

家庭などで使い切れない未使用食品を持ち寄り、必要とする人や団体へ届けるフードドライブ。社会福祉法人愛宕福祉会が取り組むこの活動は、今年で5年目を迎えます。
物価高など社会情勢が変化する中で、活動をどのように続け、法人内へ広げてきたのか。フードドライブに込めた思いや継続の工夫について、SDGs推進室 副室長の倉島さんにお話を伺いました。

インタビューを受ける倉島さん

地域支援の第一歩として、始まったフードドライブ活動

―フードドライブは、どのような経緯で始まったのでしょうか。

倉島 きっかけは、2022年にSDGs推進室を設置し、法人として「地域に対して何ができるか」を考え始めたことでした。当時、新潟市社会福祉協議会が実施していた、ひとり親世帯への家庭支援事業に協力する話がありました。加えて、コロナ禍で困窮している県内大学の学生に対しても、食を通じた支援ができないかという思いがありました。
社会福祉法人には、地域における公益的な取り組みが求められています。私たちも、高齢福祉、障がい福祉、児童福祉に関わる法人として、地域とどうつながり、どのような役割を果たせるのかを考える必要がありました。
その中で、家庭にある未使用の食品などを持ち寄り、必要としている方に届けるフードドライブは、地域支援の第一歩として比較的取り組みやすい活動だったのです。

―愛宕福祉会では、フードドライブをどのような活動として、位置付けていますか?

倉島 私は、フードドライブは社会福祉法人として取り組むべき活動の一つだと捉えています。特別なことをしているというより、福祉に関わる法人として地域の中でできる支援を形にした活動だと思っています。
社会福祉法人だからこそ考えなければならないこと― 地域との関係をどうつくるのか。必要としている方に、どのような支援を届けられるのか。フードドライブは、その一つの形だと感じています。

フードドライブの様子

 

続けてきたからこそ、地域との接点が広がってきた

ー5年間フードドライブを続ける中で、地域との関係にどのような変化がありましたか。

 倉島 活動を始めた当初は、社会福祉協議会を通じて食品などを届ける形が中心でした。継続する中で、支援を必要としている団体や活動と直接つながる機会が少しずつ増えています。北区で行っているひとり親世帯への支援では、5年間で延べ約500世帯に食品などを届けてきました。これはフードドライブ活動全体の一部ですが、継続してきた活動が地域の支援につながっていることを示す一つの実績だと捉えています。
また、地域の生活状況も変わってきています。コロナ禍の影響に加え、最近では物価高や米不足の影響も大きいと感じています。特にお米については、必要としている方の声が届く場面がありました。身近な食材だからこそ、生活への影響も大きいのだと思います。

―寄付として集まるものや、必要とされる支援にも変化がありましたか。

倉島 以前は、お中元やお歳暮などでいただいた食品が家庭に残っていて、それを寄付するという形もありました。ただ、そうした機会自体が少なくなってきています。
一方で、食品だけでなく、洗剤などの日用品が集まることもあります。フードドライブは本来、家庭で余っているもの、使い切れないものを持ち寄る活動です。必要とされているからといって、職員の負担が大きくなる形になってしまうと、活動の趣旨から離れてしまいます。日々の暮らしの中で持ち寄れるものを生かしながら、継続できる形にしていくことが大切だと思います。

インタビューを受ける倉島さん

 

一人ひとりが参加しやすい、継続できる仕組みへ

―フードドライブを継続するうえで、工夫してきたことはありますか。

倉島 活動を続ける中で、実施回数や方法を見直してきました。以前は年に複数回実施していましたが、現在は年1回の実施にしています。

活動を広げることも大切ですが、職員に過度な負担がかからないようにすることも同じくらい大切です。地域支援を継続していくには、思いだけでなく、日々の業務と両立できる仕組みが必要だと感じています。

フードドライブは、職員一人ひとりの理解と協力によって支えられています。だからこそ、強制するのではなく、それぞれが無理なく参加でき、その協力を継続につなげられる形を大切にしています。活動を一時的なものにせず、法人全体で長く取り組んでいける仕組みに整えることが重要だと考えています。

フードドライブの様子

 

フードドライブをきっかけに、各事業所へ広がる地域貢献の取り組み

―職員の意識や各事業所の取り組みに変化はありましたか。

倉島 フードドライブに限らず、各事業所では「地域とどうやって関わるか」「地域に対して何ができるか」を考える機会が増えていると感じます。
例えば、地域の方への支援、認知症に関する取り組み、利用者の方の趣味活動を地域とつなげる取り組みなど、それぞれの事業所で工夫が生まれています。
活動報告の場などを通じて、以前は一つ程度だった取り組みが、二つ、三つと増えてきた報告もあります。職員の中にも、「自分たちでもできることがある」という意識が、少しずつ広がっているのだと思います。

―フードドライブが、地域貢献を考えるきっかけにもなっているのでしょうか

倉島 そう思います。フードドライブは、職員が地域との関わりや、社会福祉法人としてできることを考えるきっかけの一つになっていると思います。
各事業所では、フードドライブ以外にも、地域貢献やボランティア活動にそれぞれ取り組んでいます。ただ、どの事業所がどのような活動を行っているのか、法人全体では十分に共有されていないこともあります。
だからこそ、それぞれの実践を見える形にし、法人内で共有することが大切だと考えています。活動の内容や工夫を共有することで、他の事業所が「自分たちにもできることがある」と気づくきっかけになります。活動を実施して終わりにするのではなく、実践事例を共有し、次の取り組みにつなげていくことも大切だと考えています。

 

持続可能なフードドライブへ、運営体制を整える。

―活動を続けていくうえで、運営面ではどのような工夫が必要ですか。

倉島 活動が広がると、集まる食品や日用品の量も増えます。多くの方にご協力いたあだけることはありがたい一方で、保管場所や回収体制もあわせて考える必要があります。
例えば、物品がたくさん集まると、倉庫がすぐにいっぱいになることもあります。そうなると、誰が回収するのか、どこに保管するのかという課題が出てきます。
「よい活動だから広げる」というだけでは、継続は難しくなります。活動の広がりに合わせて無理なく運営できる体制も一緒に考えなければいけない。そこが大切だと思います。

―今後、フードドライブ活動をどのような形で続けていきたいですか。

倉島 まずは、職員が参加しやすく、活動を継続できる仕組みを整えていくことです。そのうえで、フードドライブが社会福祉法人として取り組む地域支援の一つであることを、職員一人ひとりに伝えていきたいと考えています。
フードドライブは、食品や日用品を集めて届けるだけの活動ではありません。地域とのつながりをつくり、職員が地域に対して何ができるのかを考える機会にもなります。実際に参加した職員が活動の意義を知ることで、各事業所でも新たな取り組みを考えるきっかけになればと思います。
今年も12月に実施を予定しています。ここれまで積み重ねてきた仕組みを生かしながら、地域支援の一つとして継続して取り組んでいきたいと思います。

 

社会福祉法人 愛宕福祉会

新潟県内や首都圏等で高齢、障がい、児童福祉などの事業を100以上展開する社会福祉法人です。1998年に設立され、特別養護老人ホームやこども園、障がい者支援施設などを運営しています
新潟市東区大山二丁目13番34号
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