佐渡から日本の文化を支える人材を輩出。オンリーワンの教育で伝統文化継承の一助になりたい。
SADO伝統文化と環境福祉の専門学校 / 後藤 唯

2022.05.31 Tue
PROFILE
後藤 唯
SADO伝統文化と環境福祉の専門学校 副校長
佐渡生まれ、新潟市育ち。三重県の大学を卒業後、横浜の大学院に進学し環境情報学を専攻する。卒業後、2009年にNSGグループに入社し、開校2年目のSADO伝統文化と環境福祉の専門学校に赴任。環境マネジメント学科・伝統文化学科の学科長を務める。2013年に統括学科長・就職相談室長、2019年に副校長に就任し、現在に至る。趣味は大好きな佐渡の海での磯釣り。また佐渡の伝統芸能「文弥人形」、「春駒」の保存会にも参加している。現在37歳。
大学院で環境情報学を専攻し、その経験を活かすべく佐渡に帰郷。
開校2年目の専門学校に赴任して、環境マネジメント学科・伝統文化学科の学科長を務める。
試行錯誤の末、独自のカリキュラムを作り上げ指導に励む。
入社10年目に副校長に就任。
学校を俯瞰で見る立場になり、視点が180度変わる。
全国で伝統建築を支える宮大工の輩出に貢献したい。
佐渡の歴史的・文化的な環境を背景にしながら、オンリーワン教育を進める。
そんな後藤さんが描く明日の設計図とは。

開校して間もない専門学校に赴任し、学科長を務める。

運命的な出会いでNSGグループに入社したそうですが

はい。大学院で環境をテーマに研究を進めている時、学会で発表をする場面があり、その時に当校の校長に出会ったことが、すべての始まりでした。当時は環境マネジメント学科があり、その講師を探しておられ、ぜひ担当してほしいとお誘いを受けました。生まれ故郷の佐渡で、環境に関する仕事ができるとは思ってもみなかったので、とてもうれしかったですね。これも何かの縁だと感じて、決断しました。

入社後に取り組んだことは。

はい。教務部の環境マネジメント学科の教務課に赴任し、学科長を任されました。一番苦労したのは、具体的な授業の組み立てです。当然、開校時のカリキュラムはありますが、それをベースにしながら、いかにSADOのカラーを出して行くかを考えました。悩んだ末に「学生自らが考えて、自分で行動する授業」を実践することにしました。受動的に学ぶのではなく、自分で考えて能動的に学生生活を過ごしてほしかったからです。

仕事のやりがいを感じる時はいつですか。

やっぱり学生が卒業する時ですね。技術を身につけて成長し、希望の就職先へと巣立っていく。そんな姿を見ると教員冥利に尽きると感じます。また学生が技能五輪全国大会で入賞した時も自分のことのようにうれしかったですね。努力してきた姿をそばで見ていましたから。このように学生の成長を実感できるのが、この仕事のやりがいですね。

副校長になり視点が180度変わる。

副校長に就任して、新しいやりがいを見つけたそうですが。

それまでは教務部門の職員という立場で、学生への授業や就職指導などがメインで成果が分かりやすかった。しかし副校長になると、学生のことを考えるだけでなく、学校の運営に関わる職員のことも考えないといけない。学校全体を見渡すのが役割。視点が180度変わりました。専門学校では、教務部門と事務局が両輪なので、その間に立ち、うまくバランスをとりながら学校が前に進んで行くように取り組んでいます。とてもやりがいのある仕事です。

佐渡への感謝を、地域貢献という形で返したい。

佐渡に学校がある意義はなんでしょうか。

現在在籍している学生の9割が島外から来てくれています。佐渡で暮らす人が増えることで経済効果がありますし、島内にある能舞台や神社、寺院の修復などを通じて、この島の伝統を後世へ残すお手伝いができるのは意義深いこと。また卒業して島を出たとしても、佐渡のファンとして多くの人を島へ連れてきてくれるとうれしいですね。

将来的に全国で伝統文化を支える宮大工の輩出に貢献したい。

これからチャレンジしたいことはありますか?

まずはこの学校の良さを伸ばして発展させ、在学生の数を増やしたい。全国から若者が佐渡に来ることは、とても意味のあることです。それを達成する為には、当校ならではの独自色を打ち出す必要があります。また伝統建築学科だけに限って言えば、重要文化財や国宝の建築・修復に携わるような卒業生をさらに多く輩出して、「あの棟梁もこの棟梁もみんなNSGの出身だよ。」と言われるようになりたいですね。

学校の独自色を出すための施策はありますか。

開校以来、島に残る豊富な歴史的建造物を生きた教材として授業に取り入れ、本物を実際に修復・再建する、他校では真似のできない実習を継続してきました。今後もそんなSADOでしかできない実習を行い、オンリーワン教育を目指していくことが不可欠です。それをブラッシュアップして行く中で、“佐渡にはユニークな学校がある”ことを広めていきたいですね。

金山の世界遺産への推薦が決まりましたね。

佐渡は金山の世界遺産への推薦が決まり、日本だけではなく、世界からも注目されています。建築とは直接関係はしないですが、今後は金山に関する調査が行われると思います。その調査のために重要文化財を取り扱っている企業が来島すると思うので、そのサポートを通じて学生がノウハウを学ぶ機会を作れないかと考えています。それが学生の成長の機会になると共に、佐渡の魅力を全世界に発信の一助にもなれたらいいなと思っています。

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