スポーツをチーム医療で支える!新潟初の女性アスリート外来の開設

2023.03.28 Tue

新潟リハビリテーション病院のスポーツ医学総合診療センターが、スポーツ活動に取り組む女性アスリートの健康面をケアする「女性アスリート外来」を新たに開設しました。

以前より同じNSGグループの新潟医療福祉大学の強化部とアルビレックス各チームのスポーツ選手たちのケガやリハビリはもちろん、食事、睡眠等にいたるまで医学的側面からサポートを行ってきた新潟リハビリ―テーション病院。新潟初の「女性アスリート外来」を開設した意図や意義、どんなサポートが受けられるかを新潟リハビリテーション病院院長の山本智章先生に聞きました。

 

女性アスリート外来でメディカルチェックをスタート。

女性アスリート外来はケガだけを対象としていないとの事ですが他にはどんなことを?

山本 もちろんケガも対象ですが、体の不調を予防するための取り組みもしています。異常が起こる前に見つけたいと、今までしてこなかったメディカルチェックを行うようになりました。メディカルチェックしていくと、栄養素、ビタミンDがかなり不足している選手が多いことや、骨密度の低下やホルモンバランスを少し崩している選手もいることに気づけます。運動によっての病気やケガだけでなく、コンディション不良の選手を把握できるんです。

気になる点や問題がある場合は、外来に来ていただき、血液検査や体組成を見て、詳しい問診表を書いていただき、婦人科系の問題も含め診断していきます。診断後、例えば特定の栄養素を補う事が必要と判断される場合はスポーツ栄養を専門とする管理栄養士の食事改善アドバイスも含めた提案をしながら対応していきます。

現在、アルビレックスの女子選手や新潟医療福祉大学のバスケットボールとサッカー、陸上、水泳などの強化クラブの選手、開志学園高校の女子硬式野球部の選手たち合計100人以上のメディカルチェックをしています。

産婦人科医の診察もあるんですか?

山本 女性アスリートの多くが抱える、競技に支障が生じる一番の悩みは、月経異常などからの貧血、体重減少、食欲低下、エネルギー不足、疲労骨折などの不調です。しかし、思春期の選手の場合はなかなか言い出せないことも多く、問題を抱えたまま体調を崩したり、練習についていけなくなったりしてしまうこともあります。パフォーマンスを落とす可能性に繋がりますし、健康を損ねてしまいかねません。そんな女性アスリートならではの悩みに対して適切な薬剤治療を含めた治療を行い、しっかりケアして、より競技力をあげるためにもスポーツにおいて医学が重要だと考えます。

女性アスリート外来では、新潟市民病院産婦人科医の森川香子先生に月に一度来ていただき、予約診察や指導、治療ができる環境を作りました。森川先生は新潟県のスポーツドクター協会のメンバーで、スポーツ医学にも詳しい先生です。女性アスリート外来をきっかけに、我々が大学と病院との医療連携を深めながら、鍛えるだけじゃなく、選手たちを守り、育てていく環境を作っていきたいと考えています

 

開院以来取り組んできたスポーツ外傷や障害の治療

女性アスリート外来ができたきっかけを教えてください。

山本 病院が2001年に開院して以来、新潟医療福祉大学の選手やアルビレックスのトップアスリートを含めた、スポーツ選手の診療体制や医学的なサポート体制を整えようとスポーツ障害やスポーツ外傷の治療に力を入れてきました。新潟医療福祉大学や新潟大学との連携を持ちながらスポーツ整形の診療体制を充実させるために、2022年には新たにスポーツ医学総合診療センターも立ち上げています。その他にも地域のスポーツ選手に向けた野球肘検診、各大会のサポートや救護、一般社団法人アスリートサポート新潟によるトレーナーの派遣事業なども行ってきました。

近年は、全国大会などでの活躍を目指す女子アスリートも増える中、中高生や大学生の女子選手の怪我や外傷、膝の靱帯損傷などの手術を含めた症例も増えています。スポーツに参加する女性が増えていくのと同時に、今まで対応しきれなかった女性特有のスポーツにおける問題について、しっかりと医学的な管理やケアをしていくべきだと考えるようになってきました。

そんな中、スポーツ医学総合診療センターにも加わってくれている新潟医療福祉大学の健康スポーツ学科の大森豪先生や、理学療法学科の江玉睦明先生などのメンバーを中心に新潟医療福祉大学が令和4年度スポーツ庁委託事業「女性アスリートの課題解決実践型プログラム」に採択されました。女性アスリートをサポートする医療体制を作ろうと取り組んできた大学と病院の連携が評価されたこともあり、新潟リハビリテーション病院で女性アスリート外来を立ち上げたのです。

 

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