大学・病院と連携してアンダーカテゴリーからアルビレックス新潟の強化・発展に取り組む

2023.02.13 Mon

新潟医療福祉大学・アスリートサポート研究センターの研究機能と、新潟リハビリテーション病院・スポーツ医学総合診療センターの医学的管理機能を融合し、アルビレックス新潟選手の怪我防止、フィジカル強化を目的に連携事業が始まり、その成果が見え始めました。

どのような経緯で、どのようなことに取り組んできたかを、新潟医療福祉大学 アスリートサポート研究センター稲葉 洋美さん(健康栄養学科 教授)、新潟リハビリテーション病院 医学総合診療センター 中西 裕子さん(管理栄養士)、アルビレックス新潟 総務部 津野 謙一さんに伺いました。

大学・病院が連携してアスリートを医学的にサポート

― どのような目的で連携協定を結んだのでしょうか?

津野 当クラブに所属する選手の怪我防止の課題に取り組む中で、怪我をしない体づくりのためには食事や睡眠の改善も必要だということになりました。そこでNSGグループの新潟医療福祉大学と新潟リハビリテーション病院と2021年3月に連携協定を締結。医学的側面から選手の食事・睡眠等のサポートをすることを目的に活動をスタートさせました。

― 具体的な活動内容を教えてください。

稲葉 アルビレックス新潟のトップチームの選手からアカデミー(U-12・U-15・U-18)選手を対象に、「食事・睡眠満足度調査」を実施しました。トップチームには食事を写真に撮って送ってもらい、それを大学で解析しフィードバックしました。U-18の選手には食事と・睡眠の調査を対面で実施し、栄養セミナーを実施しました。栄養セミナーにはU-15とU-12の選手とその保護者にも参加してもらいました。毎年、新しい選手が加わり新しい課題が見つりますので、その度にどのようなサポートができるのか検討していこうと思います。

新潟医療福祉大学 アスリートサポート研究センター稲葉さん

 

食事メニューの改善でコンディションが向上

―食事面でどのようなことを行ったのですか?

中西 トップチームの選手で貧血の選手がいましたので、新潟リハビリテーション病院を受診してもらい、食事の取り方のアドバイスをさせていただきました。トップチームの昼食と、U-18の朝昼晩の食事の提供をクラブハウス「オレンジカフェ」で行なっているのですが、食事のメニューにレバーを組み込んでもらい、タンパク質の多い主菜や野菜、乳製品、ビタミン豊富なフルーツなどの量を増やしてもらいました。昼食はバイキング形式なのでどうしても量が個人の裁量で変わります。そこで、盛り付けの見本を用意したり、惣菜のおすすめの組み合わせをポップで出したりすることで、実際に食べてもらえる量も増やすことができました。それを3ヶ月間継続し、その後の血液検査では改善がみられ、選手の自覚としても「練習での疲労感が無くなった」との言葉をもらっています。
また体重を増加させたいという希望があった際には、食事の写真をメールで送ってもらいその内容を確認して、メニューの改善を提案しました。これらの情報は月に1回の定例会議で連携協定メンバーに共有しています。

新潟リハビリテーション病院 医学総合診療センター 中西さん

 

津野 稲葉さん、中西さんからのアドバイスを、「オレンジカフェ」で食事を提供する業者さんに伝え、日々提供する食事の改善を心掛けています。選手もアドバイスを忠実に聞いて努力しているので、フィジカル強化の結果としてプレイで成果が現れるのが楽しみですね。

 

専門知識の修得で、地域スポーツの発展に貢献

― これらの指導は、トップチームの強化だけに留まりませんね。

津野 アカデミーの選手を強化することで近い将来のトップチームの選手強化にも繋がっていきます。それだけでなく、食事・睡眠指導で得た知識は、トップチームの選手にならなかったとしても、あるいはその先の進路がサッカー選手以外だったとしても生かすことができるため、地域スポーツ発展の一助にもなれると思います。
また、食事や睡眠の調査では、データの解析に新潟医療福祉大学の学生にも協力してもらいました。今後も研究や調査、指導に学生が携われるようになれば、教育的な意義も増してくると考えています。

アルビレックス新潟 総務部 津野さん

 

― これから取り組んでいきたいことは?

稲葉 U-18の選手の調査をした結果、エネルギー摂取量の不足、睡眠状態が良くないなど、気になる選手が6名いました。今後は個別に面談をしながら、栄養サポートに入って行きたいと思っています。

津野 U-18選手は他のチームに比べると体格が小さく当たり負けするケースが見られました。当たり負けしない身体づくりをするベースになるのが食事や睡眠なので、これらの指導によってどのように解決できるか注視しているところです。またこれを継続していくことで身体的な成長がみられ、怪我防止やフィジカル向上にもつながると期待しています。

 

新潟医療福祉大学 アスリートサポート研究センター
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新潟医療福祉大学 アスリートサポート研究センターの目的は、新潟医療福祉大学で活動するスポーツ選手に対する医科学を中心としたサポート活動の推進、外傷・障害予防と運動機能向上に寄与する各種研究の実施の2点です。現在、強化クラブにおける外傷、障害発生状況の調査を行い、センターの活動のデータベース構築を開始しています。今後、この調査結果を基に各種の研究活動を行う予定です。

 

医療法人愛広会 新潟リハビリテーション病院 スポーツ医学総合医療センター
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新潟リハビリテーション病院は2001年開院以来、スポーツ外来、手術、リハビリテーションを軸にした診療とともにスポーツ医学研修会や各種大会の救護活動など、地域のスポーツを医療面からサポートしてきました。そして2022年、本センターはトッププロアスリート(全アルビレックスチーム)から大学競技スポーツ選手、成長期スポーツ選手、さらに中高年のスポーツ愛好家まで幅広い世代におけるスポーツ傷害治療と地域の健康スポーツ啓発・普及のために開設されました。

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