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オンライン学習と体験型教育を実現する広域通信制高校、開志創造高等学校の挑戦。
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2025年4月に開校した開志創造高等学校は、新潟市を拠点に全国から生徒を受け入れる広域通信制高校です。オンライン学習とスクーリング、体験型教育を組み合わせ、時間や場所に縛られない学びを提供し、一人ひとりの状況に寄り添ったサポートを実践。生徒が自立し、将来へと踏み出せる力を育んでいます。
今回は開志創造高等学校で主幹教員を務める遠藤 優一さんに、教育理念や学校の特色、そして生徒への思いについてお話を伺いました。
時間や場所を柔軟に選べる学びと人間形成の実践。
― 開志創造高等学校の概要と教育理念を教えてください。
遠藤 開志創造高等学校は、全国から生徒を受け入れる広域通信制高校です。普段の学習は自宅などで進め、年に2回のスクーリングで登校して授業を受けます。新潟市を拠点にしつつ、青森県弘前市、埼玉県熊谷市、熊本県熊本市、新潟県上越市にサポート校を設置しており、今後も日本全国に学べる環境を拡大していきます。場所や時間を柔軟に選べる自由さが大きな特徴で、教育理念は「開志・自律・創造」。志を開き、自らを律しながら、未来を創造していける人間を育てることを目指しています。
― 全日制高校と通信制高校の違いは、どのような点にあるとお考えですか。
遠藤 当然のことですが、全日制高校と通信制高校の一番の違いは、学習スタイルとコミュニケーションの方法にあります。
全日制では、生徒は基本的に毎日登校し、教室で教員と直接対面して授業を受けます。これにより、日常的に多くの対面コミュニケーションの機会が得られます。
一方、通信制高校では、登校の頻度が少なく、学習の中心は自宅などでのオンライン学習になります。対面での交流は限られますが、その分、1対1でじっくりと向き合える機会が多く、特に不登校経験のある生徒などが安心して本音を話せる環境が整っています。大勢の前では言いづらいことも、マンツーマンなら心を開きやすくなります。
このような環境では、教員には言葉で正確に伝える力や、丁寧で思いやりのあるコミュニケーション力が一層求められます。通信制高校は、毎日通学する必要がない分、生徒一人ひとりの状況に合わせた柔軟な対応が可能であり、個別に深く向き合える教育の良さがあると感じています。
個に寄り添いオンラインと体験型で広がる学びの可能性。
― オンライン学習の特徴に関して教えていただけますか。
遠藤 学習は「e-Campus+」というシステムを使い、1科目につき6回分の課題を毎月2回のペースで進めていきます。さらに、オンライン上の「メタバースキャンパス」を活用し、全国の仲間や先生とリアルタイムで交流できる場を設けています。学習相談や面談もこの空間で行うことができます。人とのつながりを感じながら学べる環境が整っており、学びを支える仕組みとなっています。

― 独自のスクーリングの取り組みについて、具体的に教えてください。
遠藤 本校では、独自のスクーリングとして「レインボースクーリング」を実施しています。これは、座学に加えてキャリア体験学習や希望制の職業体験を組み合わせた内容で構成されており、生徒が卒業後の進路について主体的に考える機会を提供することを、特に重視しています。
レインボースクーリングは、前期・後期それぞれに複数の日程を設けており、生徒はその中から前期・後期それぞれ1回ずつ選択して出席します。1回のスクーリングは、職業体験に参加しない場合は4日間、参加する場合は5日間となります。
また、本校では「ナイトスクーリング」も導入しています。これは、午前中の登校が難しい生徒のために、午後から夜にかけて授業を行う仕組みです。通信制の柔軟性を活かし、生徒一人ひとりの生活リズムに合わせた学びを可能にしています。

― 生徒たちの印象や、スクーリングでの様子はいかがですか。
遠藤 さまざまな背景を持つ生徒が多く保護者の方々も心配していましたが、とても真面目でコツコツ学習に励む生徒が目立ちます。自分のペースで日々の学習ができている様子ですね。スクーリングでは最初は緊張していた生徒も、5日間の実施期間の中で打ち解け、LINEグループを作るなど交流が生まれました。それぞれが異なる経験をしてきた分、互いを思いやる姿勢が強く見られます。

将来を見据えた多彩な実践的学びと専門教育環境。
― キャリア体験学習や職業体験ではどのような経験ができますか。
遠藤 キャリア体験学習では、NSGグループの専門学校や大学を訪問し、ホテル・観光、医療・福祉、食・農業など、さまざまな分野の専門的な授業や実習を体験することができます。実際の設備や現場に近い環境で学ぶことで、将来の進路や職業について具体的にイメージする力が養われます。
また、職業体験では、NSGグループ各社の協力のもと、実際の仕事の一部を体験することができます。先日はその一例として、農業法人(株)ベジ・アビオでの体験を行い、農業の現場での作業に取り組む中で、「働くこと」の意義ややりがいを実感する貴重な経験となりました。

― 貴校ならではの「専攻活動」について教えてください。
遠藤 普段の学習に加えて、将来を見据えて自分の興味のある分野の知識をより深く学ぶことができる、希望制の活動です。現在はアニメ・マンガ、eスポーツ、海外留学など8つの専攻があります。その中でも特徴的なのが「職業探求専攻」です。将来の進路や目標がまだ明確でない生徒に向けて、さまざまな職業や分野について幅広く学びながら、自分に合った方向性を見つけていくことを目的とした専攻です。今後も専攻は増やしていく予定です。
― 講師陣の特徴や強みについて、お話いただけますか。
遠藤 本校の大きな強みは、NSGグループのネットワークを最大限に活かせる点です。教育、医療、スポーツ、アート、観光など幅広い分野に専門学校や大学、関連企業があるので、その分野のプロから直接学べます。例えば、アニメ・マンガ専攻では現役のクリエイターや講師の方から直接指導を受けることができますし、医療や福祉、食や農業分野についても同様で、教科書では学べない“現場のリアル”を伝えられるのは大きな魅力だと思います。

― このような実践的な教育を行っている学校はありますか。
遠藤 通信制高校でここまで実践的な学びを提供できる体制は、全国的にも珍しいのではないでしょうか。生徒が、自分の好きなことへの理解を深めながら、将来を見据えた具体的な知識や経験に触れられる。これこそが、本校の教育の大きな特色です。
生徒の自立と進路を支える、通信制高校の社会的役割。
― 開校からこれまでの成果や手応えについて、どのように実感されていますか。
遠藤 不登校経験のある生徒が多い中でも、5月~7月に実施した前期スクーリングには9割以上が出席しました。これは「柔軟に選べる学びのスタイル」が成果につながったと考えています。保護者の方からも「安心できた」という声が寄せられ、生徒自身も自分のペースで学習を進められるようになってきました。また、開校して半年ほどですが、地域での認知度や信頼も着実に高まり、オープンスクールの参加者数も前年の倍以上に増えています。
― 一方で、現時点で課題だと感じている点はありますか。
遠藤 生徒一人ひとりに応じた“支援のバランス”です。積極的に発信できる生徒もいれば、こちらから働きかけが必要な生徒もいます。手厚すぎても自立の妨げになり、逆に支援が薄すぎても不安を感じさせてしまうことがあります。だからこそ、生徒の個性や成長の段階に応じて、ちょうどよい距離感と関わり方を見極めながら支えていくことが大切だと考えています。
― 今後のビジョンはどのようにお考えでしょうか。
遠藤 生徒が在学中に成長し、社会へ巣立てるよう導くことが最も重要です。ルールを守りつつ温かいサポートで、生徒が自立できるよう後押ししていきます。そして、「信頼される人間」になってほしいと願っています。派手さよりも、自分らしい輝きを見つけてほしい。そのためにも、「約束を守る・責任を果たす」といった基本を身につけてくれればと思います。
― 通信制高校として果たすべき社会的役割についてお聞かせいただけますか。
遠藤 通信制高校の社会的役割についても大きな変化を感じています。コロナ禍を経て、「新しい学びの形」として注目されるようになりました。ただし、全国の通信制高校の平均では卒業後の進路決定率が3~4割と低いのが課題です。だからこそ本校では、キャリア体験学習や職業体験を重視し、進路未決定率ゼロを目標に、卒業後も次のステージへと進めるよう、生徒をしっかり送り出せる学校を目指していきます。
開志創造高等学校
新潟市中央区紫⽵⼭6-3-5 開志専⾨職⼤学紫⽵⼭キャンパス4F
TEL:025-250-0662 FAX:025-250-0812
https://kaishi-souzou.ed.jp
108法人1万2,000名以上を擁するNSGグループの一翼を担う開志創造高等学校は、グループの4大学、34校の専門学校、2つの高校のノウハウと教育実績をベースにした広域通信制高校。充実したサポート体制に加え、キャリア教育を徹底し、柔軟な学びの環境を提供することで進路未決定者0%を目指しています。
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