映画祭を学びの現場に。開志専門職大学アニメ・マンガ学部が挑む人材育成。

2026.02.19 Thu

開志専門職大学アニメ・マンガ学部は、「映画祭」とどのように関わっているのでしょうか。同学部の学部長であり、第4回新潟国際アニメーション映画祭(以下、映画祭)の実行委員長を務める成田 兵衛氏に、学部の教育理念と映画祭との連携について伺いました。

階段でたたずむ開志専門職大学アニメ・マンガ学部 学部長の成田 兵衛氏

 

開志専門職大学 アニメ・マンガ学部が掲げる「世界基準」の育成。

― 開志専門職大学 アニメ・マンガ学部は、どのような学部ですか。

成田 一言で言えば、“アニメ・マンガの分野で世界に羽ばたける学生を育てる学部”です。コースは3つ。アニメコース、マンガコース、キャラクターデザインコースに分かれており、基礎的な技術の習得はもとより、専門領域の現場でも活かせる力を育成します。一般教養も学びますが、同時に『大学』として視野を広げながら、『専門職大学』として現場に近づいていきます。

 

― “専門職大学”ならではの特徴や、学部の強みを教えてください。

成田 大きな特徴は、臨地実務実習がカリキュラムに組み込まれていることです。現場で学ぶ経験が一番身になる。だからこそ、学生一人あたり600時間という臨地実務実習を教育の中核に据えています。実習は、同じ企業で原則8週間。企業側の事情で分割するケースもあります。

また、情報学部、事業創造学部、アニメ・マンガ学部の3学部のある「総合専門職大学」なので、学部を超えて学びを行き来できる。そうした広がりも特徴です。

インタビューに応える開志専門職大学アニメ・マンガ学部 学部長の成田 兵衛氏

 

― 入試において絵の提出で見ているのは、画力ではなく何ですか。

成田 本学部では、受験時に3枚の絵を提出してもらうケースが多いのですが、私たちが見たいのは「上手いかどうか」ではありません。“なぜその絵を描いたのか”、そこにあるストーリーです。私はよく、うちの学部の根っこを「物語芸術」という言い方で説明します。マンガもアニメも、結局はストーリーが核にある。イラストだって、見た人の心に何かを起こすなら、そこには物語があります。だから私たちは、技術だけでなく教養や視野も含めて育てたいのです。

 

映画祭と大学が交差する学びの現場――新潟国際アニメーション映画祭との連携。

― 学部は「新潟国際アニメーション映画祭」と、どのように関わっているのでしょうか。

成田 映画祭の大きな柱の一つが人材育成です。その象徴が、映画祭のプログラムでもある「新潟アニメーションキャンプ」です。アジア圏の若い監督・スタッフ、学生たちを対象に実施している次世代育成プログラムです。作品を観るだけでなく、国内外の監督やアニメーター、批評家などと出会い、学び、交流してもらいます。学生は参加者として入る場合もあれば、ボランティアとして運営や裏方に関わることもあり、普段の授業では得がたい経験を得られます。

 

― 映画祭を通して、学生にどう変わってほしいと考えていますか。

成田 とにかく、いろいろなものを見てほしいと思います。例えば、普段は商業作品中心に見ている学生が多いようですが、映画祭には海外の作品やアート寄りの作品、実験的な表現も含め、普段は触れることの少ないアニメーションに触れるチャンスがあります。映画祭は、その入口になります。

映画『ChaO』のワンシーン
ダイナミックなキャラクターアクションを、独自のアニメーション表現へと昇華させる卓越した技術が評価され蕗谷虹児賞を受賞した、アニメーター伊藤秀次氏が作画監督を手掛けた『ChaO』。映画祭でも放映される。

 

― 参加した学生の反応はいかがですか。

成田 毎年参加する学生は確実に増えていて、開催するたびに彼らの引き出しが増え、言葉が変わっていくのが分かります。一度興味を持つと、「こんな体験は他ではできない」と言う学生もいますね。

 

Indie Box部門と新人賞。才能発掘と人材育成への挑戦。

― 第4回映画祭は、新体制での開催になりますね。

成田 第4回は、組織体制を新たに構築した“新体制の第一歩”になります。私が実行委員長に就任したことを機に、ここ新潟から世界へ新しい風を吹かせていきたいと思っています。「コンペティション部門の刷新」「地域連携の深化」「国際的な人材育成」を柱とし、“鑑賞と育成、そして地域との共創”をテーマに、準備を進めています。

第4回新潟国際アニメーション映画祭のポスター

 

― コンペティション部門では、具体的にどのような新展開がありますか。

成田 長編部門に加えて、新設の「Indie Box部門」を設けました。この部門は15分〜40分未満の中編作品にフォーカスする部門です。ここから次の時代を担う才能が出てくる、そう確信しています。さらに、新人賞として「ゼングレヒトシュターター賞」も新設し、“才能の発掘”をより強く打ち出します。

 

― 人材育成プログラム「新潟アニメーションキャンプ」では、第4回から新しいコースが始まりますね。

成田 従来の「NIAFFネットワーキングコース」に加えて、「アニメーション制作ワークショップコース」を新設します。ネットワーキングコースでは、鑑賞と交流を軸に、世界の監督・スタッフ・批評家によるマスタークラスを受講しながら、国際的な人間関係をつくっていく。ワークショップコースでは、より制作に踏み込み、短期で作品制作と指導を行う。これらは映画祭の「人材育成」を支える土台の一つです。

第3回「新潟アニメーションキャンプ」参加者の集合写真
第3回「新潟アニメーションキャンプ」参加者の集合写真

 

映画祭とともに描く学部の展望―「観る」「考える」「つくる」「発表する」学びの循環。

― アニメ・マンガ学部として、今後は映画祭との連携をどこまで深めていきたいですか。

成田 私は正直、授業の一部に組み込んでもいいと思っています。例えば、学生がつくる卒業制作や各学年の制作物を映画祭に出せる仕組みができれば、「観て学ぶ、描いて考える、創って発表する」。そういう循環が生まれます。将来的には、学生部門や地域住民が選ぶ賞、学生が選ぶ賞なども含めて、“参加の入口”を増やしたい。映画祭は、観るだけの場ではありません。交流が生まれ、才能が育ち、地域とつながっていく場であるべきだと思っています。

 

― この新潟でどんな学生を育てていきたいですか。

成田 どんな業界に行っても、へこたれない人ですね。一つのことを極めるのも素晴らしい。でもそれは、ある意味でリスクもあります。だからこそ、俯瞰して全体像を見られる力、幅広い知識や経験、そして折れない芯を持ってほしい。好きで入学してきたのだから、その世界とつながり続けてほしい。作り手になれなくても、編集、企画、プロデュース、運営、批評、ビジネス……関わり方はいくらでもありますからね。

 

― 学生の進路にも映画祭が与える影響は大きいと思いますが。

成田 その通りです。映画祭がここ新潟にあるということは、学生の可能性を現実に変えていける力がある、ということだと思っています。新潟でつくり、新潟から世界へ。その一歩を、映画祭と大学が一緒に踏み出していけたら嬉しいですね。

ロゴの前でほほえむ開志専門職大学アニメ・マンガ学部 学部長の成田 兵衛氏

 

開志専門職大学

経営学、経済学、商学、マーケティング、商品開発の最先端ビジネスを実践的に学ぶ「事業創造学部」、AI、データサイエンス、IoT、3DCG、サイバーセキュリティ、ロボット、ゲーム、アプリ開発の最先端技術を学ぶ「情報学部」、アニメ、マンガ、キャラクターデザインを制作・研究し、ビジネスへの展開を学ぶ「アニメ・マンガ学部」の3学部を設置。就職に優位となる即戦力、創造力を磨く600時間以上の長期企業内実習で産業界に求められるプロフェッショナルを育成します。

〒950-0914 新潟市中央区紫竹山6-3-5
TEL:025-240-8118 / FAX:025-240-8123
https://kaishi-pu.ac.jp

 

第4回 新潟国際アニメーション映画祭

新潟国際アニメーション映画祭は、開志専門職大学のキャンパスを含む新潟市内7カ所が主な会場。6日間の期間中に、長編アニメーション作品が上映されるほか、シンポジウムなど祭典を盛り上げる多くのイベントが企画されています。

開催:2026年2月20日(金)〜2月25日(水)/6日間
会場:新潟・古町エリア/万代エリア中心
https://niigata-iaff.net