テクノロジー機器を導入し、職場環境の改善と利用者の満足度の向上へ。

2024.05.16 Thu

社会福祉法人愛宕福祉会が運営する特別養護老人ホーム「新潟東愛宕の園」では、テクノロジー機器を導入することで、支援業務におけるオペレーションの効率化を図ることができました。

「新潟東愛宕の園」はどのような手順で機器を導入し、オペレーションと合わせて日々の業務を改善していったのか、またサービスの質の向上のために、今後取り組んでいきたいことなどについて、社会福祉法人愛宕福祉会 新潟東愛宕の園 生活相談員課長 北 周太さんに話を伺いました。

人手不足による職員の負担と、オペレーションの改善が課題に。

― テクノロジー機器導入前の課題と作業状況はいかがでしたか。

北 当時は職員の退職等に伴って、時間外勤務が常態化していました。また入居者の移乗支援などの際は2人で対応していたのですが、介助者の身体的な負担が重なり腰痛を患うこともありました。さらには支援に際して、2人目の職員を探す、呼ぶ、待つなどの時間のロスも発生し、“ムリ・ムダ・ムラ”のあるオペレーションの改善が課題となっていました。

 

― 導入に至った経緯を教えてください。

北 今後、生産年齢人口の減少でますます採用困難が見込まれる中、少ない職員数でも入居者様の生活の質の維持・向上を実現するためには、仕組み、オペレーションの構築が必須となり、テクノロジー機器の導入に踏み切りました。また職員の負担が少ない環境を作り、その分、各人の専門性をより発揮する時間を作りたかったのです。結果的には、導入と合わせてオペレーションを改善し、時間外勤務に関しては大幅に削減できました。

 

― 具体的にはどのような機器を導入したのですか。

北 「眠りスキャン」という見守り機器を導入しました。これは室内やベッドに設置したセンサーで、室内の状況や睡眠状態、脈拍、呼吸数などを職員のタブレットやスマートフォンに通知してくれるもので、特に夜間の見回りなどの業務時間を軽減し、効率化を図ることができました。また、床走行リフトや入浴リフトなどの介護ロボットを導入して、職員が1人で移乗支援をできるように。さらにインカムを使用することで、職員間のコミュニケーションが円滑になり、“ムリ・ムダ・ムラ”が解消され、少人数でもより効率的で質の高い支援が可能となりました。


※一人で支援が出来る床走行リフト

※お部屋での様子が数値でも分かる見守り機器

※利用者の方が座ったままで、安心・安全に移動・入浴できる入浴リフト

 

導入意義や使用前後の比較データを伝え、職員に安心を。

― 導入前に職員間でどのようなことに取り組みましたか。

北 それぞれの課題を解決できそうな機器を選定し、施設に業者を招いて説明会等を行い、その後、有効に使えそうな機器を借り、デモ運用を行って使用感を確認しました。そして一つの部署にモデルケースとして導入し、定量評価を行い成果の見える化を行いました。導入前後を比較したデータを職員間で共有し、その効果に納得してもらうことを心がけました。

 

― オペレーションが変わることへの職員の不安をどのように払拭したのですか。

北 機器を操作することで変わる業務の流れを文章にまとめるなどして、共通理解を図りました。そして、不安を和らげ背中を押すような、「まずやってみよう」などの声かけを実施。職員の負担軽減も同時に調整しながら進めていきました。それでも今までと違う仕事の進め方なので、どうしても最初は慣れずに業務効率が下がるものです。そうなると「前の方が良かった」という声が出ましたが、「使用することで、今後はこういう利点がある」ことを個別に理解を図りながら、定着に向けて前向きに進めていきました。

 

― 現在、どのような機器が稼働しているのでしょうか。

北 ベッドに設置する見守り機器「眠りスキャン」は70台、全室の7割に導入しています。介護ロボットに関しては、床走行リフトは計6台、入浴リフトは5台を使用しています。いずれも導入から2〜4か月で使用率が上がっていき、現場に馴染むことができました。

 

機器の導入で利用者の方・職員ともにメリットを感じる。

― 利用者の皆さんへはどのような効果がありましたか。

北 職員1名で効率よく見守りできるようになったことで、「職員が入居者様の隣で過ごす時間を作れるようになった」。また利用者の方からは、「入浴リフトの導入で、怖い思いや痛い思いをすることなく、気持ちよく入浴できる」との感想をいただきました。テクノロジー機器を活用することで、確実に入居生活の質の向上が図られたと思います。


― それを可能にした要因は何だと考えますか。

北 少人数でも支援の質を落とさないオペレーションを作り上げたことが大きな要因です。テクノロジー機器の導入とオペレーションの改善は、車椅子で言えば両輪。同時に動かさないと目指す方向には進めません。このように機器の導入だけが目的にならないように努めました。

 

― 職員の業務に対する意識も変わったのでしょうか。

北 職員の意識調査を年1回実施していますが、「業務に関して満足度が向上した」という結果が得られました。機器の導入以前は、自分の部署の業務で手一杯でしたが、現在は隣接する部署と連携し、急な欠員にも対応できるようになりました。さらに改善によって生まれた時間を活用して、ケアプラン関連書類の作成が業務時間内で可能になりました。また動画視聴型の研修もこのような時間を活用して受講できるので、業務効率は着実に上がっていると感じますね。

先進施設のモデルケースとして法人内から高い評価を受ける。

― 今後の課題や新たな取り組みに関してはどのように考えていますか。

北 機器の使用スキルに関しては一定レベルには達したと思いますが、再度チェックしてさらなるレベルアップを図ります。また以前と比べると利用者様と寄り添う時間が増えた分、コミュニケーションを深める中で色々なヒントを得ることができたので、それを活かした新しい取り組みを積極的に進めようと職員間で話をしているところです。今回の機器の導入は管理部門主導で始まりましたが、今後は現場の職員から改善点が提案されることで、さらに質の高い支援が可能になると期待しています。

 

― テクノロジー機器は介護業界では進みつつあるのですか。

北 全国的に見れば、当施設より先行して活用しているところはありますが、新潟県内で見れば比較的進んでいると思います。それを実現できた背景には、“チャレンジを推奨する”という愛宕福祉会のポリシーがあったからです。例えば課題があったとき、「解決するためのチャレンジであれば、失敗して一旦後退してしまってもそれは問題としない。しかし『現状を維持する』だけでは前進できないので、常に挑戦する気持ちを大切にしてほしい」と当法人の代表から言われています。

 

― 先進的な施設として法人内からも注目されていると思いますが。

北 今回のテクノロジー機器を活用した業務効率化に関しては、当法人の「愛宕チャレンジイノベーション」という各施設の取り組みなどを発表する会にて、昨年2023年度の最優秀賞を受賞しました。今後、当法人は機器の導入を水平展開する予定なので、アドバイスを求められたり、見学者が来たりすることもあります。その意味で、当施設がモデルケースになっていると感じています。今後も利用者様・職員の満足度を高めるために、業務の改善にチャレンジし続けていきたいですね。

社会福祉法人 愛宕福祉会

安心して老いることのできる社会・ノーマライゼーション理念の実現・豊かな人間性の育成を目指し、高齢福祉事業、障がい福祉事業、児童福祉事業を展開。利用者一人ひとりのかけがえのない笑顔と思いを大切に、安心した生活が送れるよう支援を行い、家族・地域の方々から信頼される社会福祉法人を目指します。

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