アメフトを通じて地域のスポーツ振興に携わりたい。 胎内市の「地域おこし協力隊」として活動中。

2024.04.19 Fri

(一社)日本社会人アメリカンフットボール協会(NFA)のXリーグ(X1AREA)に所属するアメリカンフットボールチーム「胎内DEERS」は、2022年にNSGグループが経営権を取得。そこで、東京都調布市から新潟県胎内市への10年以内での移転を計画し、アメフトを通した胎内市の地域活性化事業に取り組んでいます。その一環として胎内DEERSの選手兼事務局員の小川悠樹さんが、胎内市の「地域おこし協力隊」の隊員として活動しています。

どのような経緯でこの活動に応募したのか、具体的な活動内容や、将来の課題やチャレンジしたいことなどを小川悠樹さんに伺いました。

期待と不安を胸に、東京から胎内市に移住。

ー 胎内市の「地域おこし協力隊」の一員になられた経緯を聞かせてください。

小川 2015年に胎内DEERSに選手として入団して、2018年から選手と事務局のスタッフを兼務しています。胎内DEERSは新潟県胎内市をホームタウンとして活動しています。

胎内市でのDEERS・アメフト・フラッグフットボールの普及ができる人間、胎内市への移住選手第一号としては自分しかいないと思い手を挙げました。

胎内DEERSの活動と地域おこし協力隊を兼ねることになりますが、アメリカンフットボールを通じて、胎内市のスポーツ振興に携わっていきたいですね。

ー 住んだことない地への移住には不安や戸惑いはなかったですか?

小川 2023年の10月に胎内市へ移住し、地域おこし協力隊に着任しましたが、首都圏以外で住むことが初めてだったので、「大丈夫かな」と不安になることもありました。しかし今まで試合などで何度か胎内市に訪れ、市民の皆さんと交流したときに温かく迎えてくれたのが印象に残っていたので、不安より楽しみという気持ちが強かったですね。だから前向きな気持ちで引っ越すことができました。

 

ー 実際に胎内市に住まれてみての印象はいかがでしたか。

小川 住んでみて、あらためて市民の皆さんの温かさを実感しました。例えば商店街で買い物をしていても、「頑張ってくださいね」と声をかけていただくこともあります。地域おこし協力隊の一員としての活動が、少しずつですが浸透しているのかなと思いうれしい気持ちになりました。それに道ですれ違った小・中学生が元気に挨拶をしてくれます。東京ではあまりないことなので、礼儀やマナーを大切にする良い街だなと思いました。

 

フラッグフットボールを通して、市民のスポーツ振興を促進。

ー どのようなスケジュールで活動しているのですか。

小川 週末は東京で胎内DEERSの練習や試合、平日は胎内市での活動と二拠点生活を送っています。地域おこし協力隊に着任してから半年ほど経ちますが、市役所での打ち合わせや、スポーツ施設・団体や地元企業へのご挨拶などでさまざまな所に出向くなど、今はスポーツ振興の企画を練っているところです。具体的な活動実績としては、小学校でのフラッグフットボール教室を行いました。簡単に言えばアメリカンフットボールからタックルをなくした競技で、全国の小学校の約3割で授業に導入されるなど、近年注目が高まっています。

 

ー フラッグフットボール教室を通して、何を感じましたか。

小川 最初の体験で、そのスポーツの印象が決まりますから、指導する立場としてはとても緊張しました。子ども達は体験したことのないので最初は戸惑っていたようですが、慣れてくると楽しそうにプレーしてくれました。これからは胎内市の全小中学校で教室を積み重ね、将来的には胎内DEERSのスクールを開校したいですね。その卒業生が、大人になり選手として入団してくれたら…そんな夢を思い描いています。

―実際にフラッグフットボールを体験した方からはどんな声があがっていますか?

小川 4月12日に中条高校の新2年生50名が校外遠足の授業で映像によるルール説明と、フラッグフットボール練習、大会形式で実施させていただきました。今回は生徒と一緒に校長先生も参加していただきました。

最初は戸惑いながらもやっていくうちにルールを覚え、徐々に会話や楽しそうなコミュニケーションで盛り上がりました。「毎週体育でやりたい」「部活を作ってほしい」など嬉しい言葉が寄せられました。

後日、参加された学生全員が感想文を書いてくれて、そちらも私のもとに届きました。「こんなスポーツあるなら早く出会いたかった」「試合行きたいです」「応援しています」というありがたい感想文をいただきました。

 

ー 年代を問わず健康促進にもつながるスポーツではないでしょうか。

小川 その通りです。アメリカンフットボールとは違い誰でも安全にプレーできるので、男女・年齢に関係なく楽しめます。一度、大人を対象とした体験会を行ったのですが、70歳代の方も参加されて熱心にプレーしていました。みんなで考えて話し合いながら進めるスポーツなので頭の運動にもなります。また、学校の授業だけではなく企業の新入社員のアイスブレイクなどで活用されることもあり、実際に下越地区スポーツ推進委員協議会の総合研修会にてフラッグフットボール体験のお声がけがありました。
今後は幅広い年代にフラッグフットボールを通じて、運動とコミュニケーションの楽しさをお伝えしたいですね。

調布市と胎内市の商店街をつなぐ企画を構想中。

ー 他の地域おこし協力隊の方との交流する機会はありますか。

小川 他の協力隊の方々とは毎月1回ミーティングをして情報交換をしています。その中の一人が山あいの地域活性化に取り組んでおられ、そのイベントにも参加しました。活動内容はまったく違いますが、胎内市の活性化という目標は同じです。そんな方々との交流を図りながら地域への理解を深めたいと思っています。

 

ー 任期は3年と聞いていますが、今後の活動計画を聞かせてください。

小川 2024年度中に胎内市の全小学校でフラッグフットボール教室を開催したいですね。昨年度、胎内市の各校の校長先生にお会いしてフラッグフットボールのPRをさせていただいたのですが、皆さん「ぜひやりましょう」と前向きでした。クリアしなければいけないハードルはありますが、実現に向けてアピールを続けていきたいですね。

 

ー その他に考えていることはありますか。

小川 胎内DEERSのホームタウンは胎内市ですが、東京都調布市は30年以上活動している練習の拠点。そこの商店街の方々は、地元のチームだと思って応援してくださっています。今後は調布市と胎内市の商店街をつなぐ活動ができないか構想中です。お互い違う魅力を持っているので、それぞれの特産品の販売やコラボ商品の開発ができれば話題になると思いますね。

 

5月の胎内市でのホームゲームでチームのファンを増やしたい。

ー 5月に胎内市で行われるホームゲームの企画を進めているそうですね。

小川 はい。今年は観客1,500名のご来場を目標に、アメリカンフットボールの試合以外にも楽しめるイベントを考えています。現時点では15社以上のキッチンカーや出展ブースが集結する予定です。この依頼は地域おこし協力隊の活動で出会った方が手伝ってくれました。胎内市に暮らすことで人脈が広がってきたと思っています。

 

ー その他には、どのような催し物を企画しているのですか。

小川 飲食の他にもチームのトレーニングコーチによる「足が速くなる教室」やチアリーダーによるダンス教室などを行います。これらのイベントは調布市で行われているファンフェスタでも大好評です。また子どもたちに人気の遊具も準備していますし、試合後には選手との撮影会やサイン会などの交流の機会も予定しています。

 

ー 将来的には胎内市に拠点を移す予定ですから、市民との交流は大切なことですね。

小川 はい。試合などを通じてアメフトと胎内DEERSのことを知ってもらい、活動を応援してもらうことが大きなテーマです。そしてチームとしては徐々に胎内市に住む選手を増やしていき、10年後には練習場所もこちらに移したいと考えています。そのためにも地域おこし協力隊の役割が重要です。私はチームの一番手としてベストを尽くしますが、その後も選手・スタッフがこの任務を受け継いでもらいたいですね。

 

株式会社 DEERS FOOTBALL CLUB

新潟県胎内市つつじが丘下315-302ファミールハウス-201号

[東京オフィス]東京都調布市菊野台2-4-2 メイングリーン小川103号室

TEL:042-444-8145/FAX:042-444-8301

1989年に設立され、これまで日本一を2回達成している伝統のあるチームです。そしてアメリカンフットボールを通じて社会に積極的に貢献する人間を輩出する、という理念で活動し、フィールド内に留まらず、社会人としても活躍する人材を多く輩出。NSGグループの経営権取得に伴い、チーム名称を「胎内DEERS」と変更。10年以内を目安にした胎内市完全移行構想を含む、 「アメリカンフットボールを通じた胎内市活性化」 に取り組んでいます。

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