廃棄米をアップサイクルした食器を活用。持続可能性を追求。

2025.05.13 Tue

株式会社古町糀製造所は、米と米糀を原料とした甘酒の製造・販売を行っています。直営店では、糀ドリンク(米糀の甘酒)をベースにした各種飲料を提供しています。温かいドリンクの提供にあたって、再利用可能な容器を探す中、2025年1月末から店内提供の専用食器として、食用に適さない米を原料の一部に使用した、ライスレジンⓇのマグカップを導入しました。米を原料の一部に使用したマグカップを導入した経緯や、お客様の反応、今後の活動などについて、株式会社古町糀製造所 代表取締役 小畑宏樹さんに伺いました。


環境面に加え、お米の新しい可能性をお客様に伝えられる点にも期待。

— お米のマグカップを導入した経緯について教えてください。

小畑 実は、お米のマグカップの導入は、偶然の出会いがきっかけでした。昨年11月に新潟市の朱鷺メッセで開催された「食の国際総合見本市 フードメッセinにいがた2024」で、新潟県三条市にある清水商事株式会社がライスレジンを使用した食器商品群「ほわり」をPRしていました。最初に目にしたときの第一印象は、「お米由来の糀甘酒を提供している私たちのお店にぴったりだな」という感想でした。
清水商事さんに詳しい話を伺うと、オリジナル仕様での生産が可能であり、さらに低コストで導入できることがわかりました。それならば、ぜひ導入してみたいと思い、すぐに具体的な話を進めました。


— 導入の狙いは何でしたか。

小畑 温かいドリンクをお客様に提供するにあたって、環境面を考えるとリユースできるお米のマグカップの導入は意義のある取り組みだと考えました。さらに本商品は、単に食器としての意味のみならず、環境保全の観点から3点の意義を有しています。1つ目は、二酸化炭素の排出量の削減に寄与することです。2つ目は、古米や破砕米、くず米など食用に適さず廃棄されてしまう米をアップサイクルすることで、フードロスの削減と生産者の収入維持に寄与することです。3つ目は、生産者が生産活動を継続することに貢献し、耕作放棄地の拡大防止に寄与することです。


お客様から「かわいい」「エコなカップ」と好評。

— 従来と比べてコスト面でもメリットがあると伺いました。

小畑 イニシャルコストはお米のマグカップの方が高いですが、繰り返し使えるため早期にイニシャルコストの回収が可能です。従来の容器はテイクアウト用として使用し、お米のマグカップは今年の1月末から店内で利用を開始していますが、やはり環境への配慮という面に加えて、経済合理性や話題性という点においても、導入の意義は大きいと捉えています。


— お客様の反応はいかがですか。

小畑 「かわいい!」という声が圧倒的に多いですね。マグカップのフォルムは少し丸みを帯びています。原料にお米が30%含まれていて、ナチュラルな色合いもあり、お米由来のやさしい雰囲気が感じられるデザインになっています。また、自然な風合いで手触りもよいと好評です。さらに、スタッフが、「実はお米でできているんですよ」と伝えると、「すごくエコですね」と驚かれることが多いですね。


日々の事業活動の中でサステナビリティを意識した選択を重ねる。

— 企業として、環境への配慮やサステナビリティについてどのように考えていますか。

小畑 当社は創業当初から米と米糀から成る甘酒飲料を広めることを目的としてきました。単に商品として甘酒を提供することにとどまらず、その背景にある米産業や醸造産業の価値をお客様にお伝えすることを理念としています。例えば以前より、環境保護・脱プラスチックを目的に、「お米から作られたストロー」を使用しています。


— 消費者の環境に関する意識はどのように捉えていますか。

小畑 近年、消費者の環境に対する意識が高まり、商品選びの重要な要素になっています。以前と比べると、環境への配慮は企業として当然の姿勢となり、今ではより身近で日常的なテーマとして社会に浸透しているように感じます。
お米のストローに続き、リユース可能なお米のマグカップを今回導入しましたが、ずっと環境に優しいお米由来の食器を探していたことが早期の導入につながったと思います。持続可能な社会の実現に向けて貢献できる取り組みを、引き続き模索していきたいですね。


ライスレジンのかき氷用の器や冷たいドリンク用のタンブラーも導入予定。

— 今後、ライスレジンを使った新たな展開は考えていますか。

小畑 現在、ライスレジンの「かき氷用の器とスプーン」を導入しようと準備を進めています。器はお米のマグカップと同じカラー、スプーンはカラフルな6色を用意していて、今夏の利用開始を予定しています。さらに、冷たいドリンク用にライスレジンのタンブラーも準備を進めていまして、5月中の導入を予定しています。
ほかにも、構想段階ではありますが、「日本酒の製造過程で廃棄されている米粉を活用して、甘酒造りができないか」という試みを検討しています。


— 最後に、今後の抱負についてお聞かせください。

小畑 お米のマグカップを導入したことで、お客様にも「お米にはこんな活用法があるのだ」と気づいてもらえたことは大きな成果です。今後も米の新たな可能性を探り、それらを世の中に広げていけるような商品やサービスを考えていきたいですね。その第一歩として、ライスレジン製品を活用しながら米の利用機会を拡大し、フードロスを削減し、環境に配慮した米の新たな価値を伝える商品づくりやサービスをこれからも続けていきます。

 

株式会社古町糀製造所

2009年創業の糀甘酒の専門店です。各種商品の企画開発・販売を通して、米・糀・発酵・醸造の魅力をお客様に伝えています。米産業と醸造産業を背景に持つ甘酒という飲料をお届けするべく事業活動を続けています。

新潟市中央区古町通二番町533番地
TEL:025-228-6570 / FAX:025-228-6571
https://www.furumachi-kouji.com

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