老舗味噌蔵峰村醸造が挑戦!歴史×味噌×スイーツで新たなファンを開拓

2025.01.30 Thu

味噌・味噌漬、甘酒の製造・販売を行う株式会社峰村商店が運営するスイーツ専門店「くらざしきスイーツ」。他では味わうことのできない味噌を使ったプリンやケーキなどを販売し、スイーツファンの注目を浴びています。

どのような経緯で味噌スイーツの開発に挑戦したのか、商品開発で苦労したこと、歴史ある蔵を店舗に改装した思いや、今後の展望などについて、株式会社峰村商店くらざしきスイーツ店長 小林 潤さんに話を伺いました。

 

スイーツを通じて、味噌の新しいイメージを発信。

ー「くらざしきスイーツ」とは、どのようなお店なのでしょうか。

小林 新潟市中央区にある歴史的な建物の「蔵座敷」を改装し、2024年4月20日にオープンしたお店で、峰村醸造の味噌を使ったスイーツを販売しているのが特徴です。

 

ー 味噌スイーツの開発を始めたきっかけや背景についてお聞かせください。

小林 もともと味噌と乳製品の相性が良いことは認識しており、味噌バターラーメンなどの親しまれている組み合わせから着想を得ました。「味噌とミルクを使ってユニークな商品を作れないか」という発想から企画がスタートしました。最初に手がけたのはチーズケーキで、味噌を加えることでキャラメルのような深い味わいが生まれ、お客様にも好評でした。そこから商品ラインナップを広げていきました。また、若い世代に向けて新しい味噌のイメージを発信し、味噌商品の新規顧客を開拓したいという想いもありました。

 

ー 商品化に至るまでの過程を教えてください。

小林 スイーツ作りが得意なスタッフを中心に開発を進めてきました。満足のいく味に仕上げるまでには多くの試作と意見交換が必要でした。スタッフ全員でアイデアを出し合い、試行錯誤を繰り返しながら、手作業で一つひとつ丁寧に商品を作り上げています。手作業だからこそ、スイーツの味わいに温かみが生まれていると思います。

試作中の様子

ー 現在、どのようなスイーツを販売しているのですか?

小林 味噌・糀を使ったプリンやチーズケーキ、ガトーショコラなど、現在では常時8~10種類程のスイーツを販売しています。特にプリンには力を入れており、昨年の秋には新潟市西区の名産「芋ジェンヌ」を使った秋季限定の「やきいもプリン」を発売しました。焼き芋の自然な甘みと味噌の塩味が絶妙にマッチし、多くのお客様にご好評いただいています。

 

ー 味噌をスイーツに使用する際、特に気を付けていることはありますか?

小林 味噌を入れすぎるとしょっぱくなってしまうため、バランスをとることに特に注意しています。スイーツに使用しているのは、隣接する工場で作っている越後味噌です。赤系の味噌・白系の味噌などそれぞれ特徴のある味噌をスイーツに合わせて配合しています。

味噌とスイーツ、意外な組み合わせが話題に。

ー お客さまの反応はいかがですか。

小林 「味噌とスイーツがこんなに合うとは思わなかった」という声を多くいただいています。意外なマリアージュを楽しんでいただけているようです。もともと、若い世代に峰村醸造の味噌を知ってもらうことが目的で始めたので、スイーツをきっかけに味噌料理にも親しんでもらえるとうれしいですね。

 

ー 「くらざしきスイーツ」を通じて、峰村醸造の認知度向上にもつながっているのですね。

小林 その通りです。例えば、中学生のお客様がプリンを買いに来たついでに味噌も購入してくれることがあります。プリンをきっかけに、お家で「味噌屋さんなんだって。じゃあ味噌も食べてみようか」と話題にしてくれたのかもしれません。新しいお客様層が広がりつつあると感じています。

 

ー 現在はどのようなお客さまが多いですか

小林 観光客の方々が多いですね。お店のある沼垂地区は「発酵のまち」としてPRしており、同じNSGグループの今代司酒造株式会社の酒蔵見学の後に当店を訪れる方も多いです。また、日本の食文化に興味を持つ外国人のお客様もいらっしゃいます。

歴史ある蔵を店名や商品パッケージに活用し話題を呼ぶ。

ー 店名や商品パッケージにはどのような思いを込めましたか。

小林 「峰村醸造」という既存の味噌のイメージを一新し、若い世代や観光客にも親しんでもらえる新しいブランドを発信したいという想いがあります。そのため、店舗には「蔵」という歴史的な建物を活用し、観光スポットとしての魅力も取り入れました。店名の「くらざしきスイーツ」は、蔵のイメージを直感的に伝えるとともに、ひらがな表記にすることで親しみやすさを演出しています。また、商品パッケージは蔵の形をモチーフにし、取っ手部分を蔵の屋根に見立てた遊び心のあるデザインに仕上げました。

 

ー 歴史ある蔵を活用する意図について教えてください。

小林 この蔵は、明治から大正期に建てられたもので、かつて遠方から味噌を買いに訪れたお客様が宿泊に利用したこともあったと聞いています。しかし、道路拡張工事の影響で一時は取り壊しの危機に直面しました。歴史的価値を守るため、曳家で現在の場所に移築したのです。以前はカフェとして活用していましたが、コロナ禍で閉店。その後、改めて蔵の魅力を生かす方法を模索しました。

 

ー 味噌蔵の歴史を体験してもらいたいという思いが込められているのですね。

小林 その通りです。当初はスイーツ企画が進んでいたところに、コロナ禍を経て蔵自体にも着目しました。そこで、蔵を店舗として改装し、スイーツと歴史の両方を楽しんでいただける場所を目指しました。この蔵は貴重な建物であり、当店の象徴として話題を呼んでいます。

味噌を使って新潟の魅力を発信したい。

ー 商品の幅を広げる中で、味噌は汎用性が高いものなのでしょうか。

小林 意外にも、味噌は多くの食品と相性が良いことに驚いています。やはり、日本人のDNAに味噌の味が刻まれているのかもしれませんね。

 

ー 今後、どのような展望をお持ちですか?

小林 現在はプリンを主力商品に据え、チーズケーキ等も製造していますが、さらに商品ラインナップを増やしたいと考えています。例えば、映画撮影用に依頼された味噌キャラメルが想像以上に美味しく、スタッフの皆さんにも喜んでいただけました。これを商品化するのも面白いアイデアだと思っています。
また、「発酵の町」として打ち出している沼垂地区の一員として、当店も観光スポットとして地域を盛り上げ、活性化に貢献したいと思っています。
現在は土・日・祝日のみの営業ですが、お客様の要望が増えれば、営業日を拡大することも検討しています。
1月からは黒埼産の「きな粉」を使用したプリンを新発売しました。これからも新潟県産の食材を積極的に活用し、地産地消にこだわりながら、新潟の魅力を発信していきたいです。

峰村商店 くらざしきスイーツ

創業明治38年の味噌・漬物製造業。近年は甘酒、地元農産物を積極に使用した発酵食品の製造、工場直売店、味噌作り体験、産業観光などにも注力。社業の醸造業を通じ地域を元気にする取り組みを行なっています。「峰村醸造 直売店」は、江戸末期に酒蔵として使われていた土蔵。明治38年に味噌蔵として再利用。現在は自社製造の味噌、漬物、甘酒のほか、だし、味噌を使った冷凍惣菜などを提供する工場直売店として運営している。

〒950-008 新潟市中央区明石2-3-44
TEL:025-247-9321 / FAX:025-243-2486
http://www.minemurashouten.com

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