観光の新しい“足”として期待される 電動キックボードシェアリングサービス。

2024.03.22 Fri

愛宕商事株式会社のビジネスソリューション事業部では、2024年3月25日より新潟市北区で電動キックボードのシェアリングサービスを開始いたします。同社が2023年11月から1か月間テスト運用を行った事業の本運用となり、豊栄駅近郊の観光地への“足”としての活用が期待されています。

どのような経緯で電動キックボードシェアリング事業を始めたのか、今後の課題や可能性、将来のまちづくりとリンクしたニーズなどを、愛宕商事株式会社 ビジネスソリューション事業部 営業一課 課長の宇都宮 誠さんに伺いました。

 

Webサイトを活用して、完全無人化のシェアリングサービスを開始。

― 電動キックボードのシェアリング事業を始めた経緯から教えてください。

宇都宮 新潟市北区の豊栄エリアで事業をスタートしたのですが、以前から北区役所の方とは、当社が運営しているカーシェアリングサービスのご相談等でお付き合いがありました。その流れで北区役所が運営してきた無料レンタサイクル運営の相談をいただきました。自転車の鍵の受け渡しがとある事情で継続が難しくなり、どのように運営を行うか課題を抱えていました。

― それでどのような提案をされたのですか。

宇都宮 最初はレンタサイクルの運営を無人化するWebシステムを提供いたしました。これはカーシェアリングのシステムの転用で、予約から鍵の受け渡し、精算までを利用者がスマートフォン(Webサイト)で簡単に手続を行えるものです。

 

― その後に電動キックボードを提案されたのですか?

宇都宮 はい。その話の延長線上で、レンタサイクルの貸し出し手続き自動化と合わせて、電動キックボードのシェアリングをご提案いたしました。電動キックボードは話題性や利便性もあり、利用者としても選択肢が増えるというメリットも考慮しご提案し、北区役所や地域の皆さまと連携し事業を進めることができました。

 

事業者の責務として、課題の安全運転講習を各所で開催。

― 昨年の11月にテスト運用をされましたが、その結果はいかがでしたか。

宇都宮 電動キックボードのシェアリングは新潟県でも珍しいからか、予想以上の利用があり、目的地までの距離が遠くても苦にならないと好評でした。20代から50代と幅広い年代の方々にお乗りいただきました。これからは全国の地方都市でも、この事業は加速していくと思われます。

 

― 安全面が課題だと思いますが、どのような対策をされていますか。

宇都宮 テスト運用を開始する前に、新潟北警察署で警察官の方々に向けて、電動キックボードの利用ルールなどを共有する講習会を開きました。新潟は自転車のヘルメット着用率が低いこともあり、ヘルメット着用を促進させる取り組みについても意見交換をさせていただき、ヘルメット着用キャンペーンの実施に至りました。また、北区役所主催の様々なイベントで、市民の方々に試乗会とシェアリングサービス開始の告知をいたしました。会場の中だけの試乗では物足りないというお声も多く、皆さまから楽しかったと感想ををいただいたことが印象的でした。

 

― 利用を促進する上でも、引き続き安全運転の周知は必要ですね。

宇都宮 その通りです。16歳以上の方なら免許証がなくても利用できるので尚更です。引き続き講習会や試乗会などの啓発活動を積み重ねていきます。さらにはWebサイトで予約をするシステムなので、ホームページやアプリで運転ルールなどの情報を充実させていきます。またすべての車両が任意保険に加入しています。

 

駅からの観光名所めぐりの足として期待。

― 3月25日(月)から本格始動を予定しているそうですね。

宇都宮 テスト運用のとき電動キックボードは5台でしたが、3月25日からは倍の10台を予定しています。レンタル場所は、豊栄駅、福島潟、DHC酒造の3か所。各所にスタンド兼充電設備を設置。景色を楽しみながら豊栄エリアのいろんな名所を楽しんでほしいですね。

 

―どのような利用が期待されますか?

宇都宮 地域からも観光促進として期待されています。観光の出発点である駅から各所に行く場合、バスの本数が少ない、あるいは路線網が無いという現実があるので、電動キックボードは貴重な二次交通の手段であることは間違いないです。登り坂でも楽に走行できますし、満充電から最長40km走行可能なので名所めぐりには十分だと思います。

 

― 確かに地方都市では公共交通機関の減便が課題ですよね。

宇都宮 これは北区に限ったことではありませんが、観光面の課題だと思います。例えば県外から北区の豊栄駅に訪れた場合、名所として打ち出している福島潟行きのバスがありません。タクシーを利用することも考えられますが、気軽に利用できる電動キックボードは貴重な移動手段の一つです。

 

各地のまちづくりとリンクしてパーソナルモビリティを推奨。

― 電動キックボードシェアリング事業の県外展開も考えているそうですね。

宇都宮 はい。様々なつながりやご縁があり、北区での経験を活かして、当社が運営事業者として参入する計画が他の県内エリア、関東や西日本で進行中です。観光だけでなく、エリアによって日常生活の足としての需要があると見込んでいます。そこで危惧されているのが安全面。北区のように講習会や試乗会などの周知活動を行い、安全性や利便性を体感してもらうことが必要だと考えています。

 

― これからの「まちづくり」と、この事業は親和性がありそうですね。

宇都宮 新潟市をはじめ全国の300を超える都市が、国土交通省の「ウォーカブル指定都市」に指定されており、『居心地がよく歩きたくなるまちなか』づくりが進行しています。これまではマイカーを中心とした道路網が進められてきましたが、これからは歩道整備に力が注がれる。そうなると電動キックボードや自転車などのパーソナルモビリティがますます注目されるのではないでしょうか。少し長いスパンでの計画ですが、将来を見据えて今から実績を重ねていきたいですね。また、個人のマイカー利用が少なくなると脱炭素化にもつながり、街全体でのSDGsへのアプローチも可能です。ひとつひとつの利用だけでは小さな取り組みかもしれませんが、様々な箇所で実績を積み重ねることで、少しでも持続可能な社会形成に寄与できればと考えています。

 

― 最後に当事業の展望についてお聞かせください。

宇都宮 昨年からスタートしたばかりなので、まずは北区での事業が軌道に乗り、他のエリアにも普及できればと考えています。最終的には新潟県内の主要な駅に行くと、「必ず電動キックボードのシェアリングサービスがある」というように広げていくことが目標です。NSGグループの中では、交通関係の領域事業はこれまでにないので良い前例となるようチャレンジしていきます。

 

愛宕商事株式会社

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愛宕商事株式会社は、NSGグループの商事事業部門を担い、物品の販売から始まり、保険代理店、環境事業、旅行代理店、指定管理事業、調剤薬局など、多岐にわたる事業展開で社会のニーズに対応し、人々の幸福と豊かさを目指している商社です。

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