日本語教師から外国人支援コーディネーターへ。留学生と日本社会の橋渡し役になりたい。
専門学校 新潟国際自動車大学校 教務部 留学生支援課 / 田村 裕美

2024.03.08 Fri
PROFILE
田村 裕美
専門学校 新潟国際自動車大学校 教務部 留学生支援課 
大学で日本語教師の資格を取得し、2014年にNSGカレッジリーグの国際外語・観光・エアライン専門学校に入社。日本語科の教師として、留学生に日本語を教える。2016年に日本アニメ・マンガ専門学校に異動し教務主任を務め、2019年に国際外語・観光・エアライン専門学校へ戻り教務部長に就任。2023年に新潟国際自動車大学校に異動して現在に至る。
海外出身の方をサポートしたくて日本語教師を目指す。
NSGカレッジリーグの専門学校で留学生に日本語を指導。
卒業後の仕事に結びつくように、挨拶やマナー教育にも力を入れる。
コロナ禍が明け、留学生が多く入学してますます重要な役割を担う。
研修や視察などを通して自己研鑽に努める。
「外国人支援コーディネーター」として、
外国人、留学生と地域社会を支える仕事をしていきたい。
そんな田村さんが歩む道の先にあるものとは。

実社会へつながる日本語の教育を心がける。

今の仕事の内容について教えていただけますか。

新潟国際自動車大学校の留学生支援課に所属し、現在1年生と2年生合わせて18名の留学生に日本語を教えています。その他には東京の日本語学校に出向いての募集活動や入試も担当。入試は面接での日本語能力の判定や筆記試験の添削などを担当しています。

コロナ禍が明けて留学生が多く入学してくるとお聞きしましたが。

2024年度は100名近くが入学の予定です。主な出身国はネパール、スリランカ、ミャンマーなど。自動車整備士の資格を取得して日本で働くという夢を持って入学してくる学生がほとんどで、私は日本語教師として彼らの夢をかなえるお手伝いができればと考えています。

自動車整備士を育成する専門学校での日本語教師という仕事の役割は?

通常の日本語教師は、留学生に日本語を教えてコミュニケーションが取れるようになり、次の「学び」「進学」につながることを目標に指導しますが、当校の場合はその先の卒業後の「仕事」につながることを意識して指導しています。だから語学力だけではなく、挨拶やマナーの指導も徹底しています。私の教育のモットーは、「まず、自分で考えてもらう」こと。何でも手助けするのではなく、学生に考えてもらう時間を設けて、その後に注意や指導をするようにしています。それは自立に欠かせないと考えています。教師にとっても我慢の時間ですが、それで学生の理解が深まったときにはうれしいものです。

急増する留学生への日本語指導は重要な仕事。

日本語教師になろうと思ったきっかけを教えていただけますか。

私が新潟の自動車学校に通ったときに、中国人の女性と一緒に教習を受けることが多く、日本語に不慣れで苦労されている様子を目にしました。そんな姿を見ていると自分にも何か手伝えることがないかと思うようになり、日本語を教えるボランティアを始めたのがこの道に入ったきっかけです。

その後、日本語教師の資格を取得されたのですか?

はい。日本語教師を育成する大学に入学したのですが、先生から「10年後、日本語を学ぶ外国人がもっと増えます。そのときに何ができるか考えられる教師になりなさい」と言われたのが印象に残っています。当時は本当かな?なんて思っていましたが、あれから実際に技能実習生、留学生をはじめとした外国人がこれだけ増え、私たちの役割も一段と重要になったと感じています。

卒業後に専門学校で日本語の教師を務めたわけですが、いかがでしたか。

留学生に日本語を教える夢がかなったので、毎日が充実していました。わからない言葉を、わかりやすいように教えることにやりがいを感じましたし、学生のやる気を刺激してあげることが大切だとわかってきました。どんなに一生懸命教えても、学生本人のやる気に火がつかなかったら上達は難しい。きっかけを作るのも教師の仕事だと思いながら指導にあたっています。

<田村さんの指導風景>

研修や視察を通して自身のスキルアップを図る。

日本語教師に必要なものは何だと感じていますか?

単に日本語を教えるだけではない、ということです。例えば入管法など留学生に関わる諸々のことにアンテナを伸ばして情報をキャッチする。そんな臨機応変な対応が求められます。また特に大切だと思うのが、コミュニケーション能力です。留学生にとって最初に出会う日本人が私たち。それで日本や日本人に対する印象が決まってしまいます。だから、まず明るく挨拶をするように心がけています。人種を問わず、対人関係はそこから始まりますからね。

職業能力を高めるために取り組んでいることはありますか?

以前から外国にルーツを持つ子どもたちの教育に関心がありました。文化庁や入管庁、日本語教育振興会などが行う研修に参加したり、他の学校との勉強会で取り組みを共有し合ったりしています。それは個人の指導の幅を広げるだけではなく、学校にも還元できることです。また2024年度から日本語教師の資格更新に関する制度が変わるので、その対応が必要になります。継続した勉強は欠かせないと思っています。

これからは日本語を教える以外の役割も求められるのでしょうか?

そうだと思います。当然、「仕事は何ですか」と聞かれたら「日本語教師です」と答えますが、『外国人支援コーディネーター』といった役割も求められると思います。日本語を教えることはもちろんですが、法令を理解して支援ができる人になりたい。それは留学生だけではなく、母国から呼び寄せる家族への支援も。ただこれを、「特別な仕事」にしてしまいたくないんですよね。留学生がもっと安心感を持って日本に来れるように、社会を作り替える必要があるんじゃないかと思っていて。そこをまずはNSGグループで醸成していけないかと、漠然とですが考えています。

年代に応じて役割が違う、人生を活かせる仕事。

これから取り組みたいと思っていることはありますか。

当校が所属するNSGカレッジリーグには様々な専門教育を受けられる29の専門学校がありますが、他校にも私と同じように留学生をサポートしている方がいますので、これまでに得た情報やノウハウをシェアできればと考えています。各校によって状況は違うと思いますが、研修会などを通して知見が溜まれば、留学生への支援体制がさらに充実するはずです。そして留学生にとって「新潟は安心して働ける!」と思ってもらえるようにしていけたらと思っています。

日本語教師として目指しているものは何でしょうか。

日本語教師は年代によっての役割があると思います。20代の先生は学生と近い目線で接することができるし、30代・40代は今までの経験を活かしたアドバイスが可能です。留学生のご両親と同じ年齢になれば、温かく見守ることが求められます。このように、一生できる仕事ではないでしょうか。

 

これからのキャリアビジョンを教えてください。

留学生の多くは日本に10年以上滞在します。そうなると結婚したり子どもが生まれたりと、ライフプランが変化します。先ほども話しましたが、『外国人支援コーディネーター』としてサポートしたいですね。『外国人支援コーディネーター』は将来国家資格になると予想されるので、取得できるよう頑張っていきたいです。今後、海外からの移住者がますます増えると思います。そんな社会の変化をビジネスチャンスと捉えながら、“留学生と日本社会の橋渡し役”になりたいですね。

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