地域No.1を目指す介護施設へ。社長としての新たなる挑戦。

株式会社はあとふるあたご / 成田 洋子
2025.09.08 Mon
PROFILE
成田  洋子
株式会社はあとふるあたご 代表取締役
新潟市出身。専門学校と県外大学でのWスクールを経て、社会福祉法人に勤務。デイサービスや特別養護老人ホームにて相談員・介護職を経験。2005年、株式会社での介護事業に関心を持ち、株式会社はあとふるあたごへ転職。入社後、複数の事業所の立ち上げを担当し、事業推進本部長に就任。2024年より、代表取締役に。
大学では社会福祉学と教職課程を学ぶ。
卒業後は、地域福祉の現場で経験を積む。
2005年、はあとふるあたごに転職。
現場職から管理職へとステップアップ。
新規事業所の立ち上げなどを多数経験。
「人を一番大切にする」理念を軸に実践。
2024年、代表取締役に就任。
そんな成田さんが、今、大切にしている想いとは。

代表取締役就任に向き合う覚悟。

昨年、代表取締役に就任されたときのお気持ちは。

前任の代表からは以前より「いずれは後任に」と声をかけていただいていたのですが、そのたびに「私ではなく、もっと適任の方がいるのでは」とお伝えしてきました。「代表でなくても、現場でやるべきことは変わらない」という思いがあったからです。それでも、「成田体制で進めたい」という言葉を何度もいただきました。そして「チャレンジする姿勢は、はあとふるあたごに限らず、NSGグループ全体で大切にしていること」と背中を押され、「それならやってみよう」と思えるようになりました。

どのような点が評価され、社長に抜擢されたのでしょうか。

入社から15年以上、さまざまな事業所で経験を積んできたことが理由の一つかと思います。多くの社員と関わる中で、当社が展開する幅広い地域についても理解を深めることができました。また、「分からないことは素直に“分からない”と言えること」も、私の特徴の一つだそうです。自分にない知識や経験については、他の専門職の力を借りるようにしています。その姿勢が人を巻き込み、チーム力を高めることにもつながっているようです。

働きやすさとやりがいを追求する経営姿勢。

代表として、特に力を入れていることはありますか。

当社の基本理念は「人を一番大切にします」です。この“人”には、お客様やそのご家族、社員とその家族、地域の皆さま、関係業者の方々もすべて含まれます。この理念は、社員には入社時からしっかりと伝えています。例えば、お客様へのケアを考えるとき、社員自身が楽しみながら「どうすればこの方が在宅生活を続けられるか」「どうすれば喜んでもらえるか」を、広い視野で考えることが大切です。その考え方が根づくよう、職員一人ひとりに丁寧に説明をしています。

「人を大切にする」ために、社員の方にはどのようなことを伝えていますか。

「大切にされたいなら、まずは自分が相手を大切にすること」。これは私が常に伝えていることです。周囲の同僚や上司に対して、どんな思いで接し、どんな言葉をかけ、どう関わるか。そういった日々の積み重ねが、「この人は私を大切にしてくれている」と相手に伝わるのだと思います。相手を思いやる言動があってこそ、自分自身も大切にされる。そんな空気を職場全体に広げていきたいと思っています。

経営における価値判断の軸として、大切にしていることはありますか。

最も大切にしているのは、「社員が働きやすく、やりがいを感じられる環境をつくること」です。風通しがよく、互いに声をかけ合える職場づくりはもちろん、採用や役割分担でも、一人ひとりの成長を第一に考えています。介護の仕事は、人が中心。機械にすべて任せられる仕事ではないからこそ、社員が安心して成長できる仕組みづくりが、経営における最大のポイントだと思っています。

地域に根づく施設づくりの挑戦と責任。

チャレンジされた中で、特に印象に残っている出来事は何でしょうか。

これまで、デイサービスや小規模多機能型居宅介護など、3つの新規施設の立ち上げを任せていただきました。準備期間はおよそ半年。市場調査から組織設計、人材採用まで多岐にわたり、自分自身にとって非常に大きな学びとなりました。単に建物を用意するだけでなく、どんなメンバーで、どんなチームを築くか。その構想を描き、短期間で形にしていく過程は、やりがいと共に強い責任感も伴いました。立ち上げた施設が地域に根づき、信頼を得ていく様子を見届けられたことは、今でも忘れられない経験です。

はあとふるあたごの特徴について教えてください。

幅広い在宅サービスを通じて、「住み慣れた地域での暮らし」を支援しています。近年では介護付き有料老人ホームの運営もスタートしました。さらに、グループホームや小規模多機能型居宅介護といった、「訪問」「通い」「泊まり」が組み合わさった柔軟なサービスも提供しています。一人ひとりのライフステージに合わせた支援が、一つの地域で完結できる。この“トータルケアの仕組み”こそが、当社の強みです。

NSGグループ内での連携もあるのでしょうか。

もちろんです。例えば、特別養護老人ホームは同じグループ内の愛宕福祉会と、医療面では愛広会と連携 するなど、グループの強みを活かした運営を行っています。

変化への柔軟な対応で目指す地域のナンバーワン施設へ。

事業を展開する上で大切にしていることはありますか。

私は常々、すべての事業所が「地域で一番の人気施設」になってほしいと社員に伝えています。それは単に売上や規模を指すものではなく、「ここに通いたい」「ここに預けたい」と思ってもらえる施設になるということです。そのためには、サービスの質だけでなく、職員一人ひとりが「おもてなしの心」を持ち、相手を思いやる気持ちで仕事に取り組むことが大切です。

高齢者が増えていく中で、これからの方針を教えてください。

これから団塊の世代の方々が高齢期を迎えるにあたって、介護のニーズはますます多様化・高度化していきます。そうした変化に柔軟に対応できなければ、地域の“ナンバーワン”にはなれないと考えています。だからこそ、常に挑戦し続けることが大切だと思っています。特に近年、介護業界では制度改定や経営難により、事業継続が困難な事業者も出てきています。そうした地域で“介護難民”が生まれないよう、私たちができることを探し、協力・支援していくことも大きな使命だと感じています。

女性ならではの視点を生かす幹部育成。

組織運営において特に取り組んでいきたいことはありますか。

私以外、現在の経営幹部は全員男性です。しかし、介護の現場には女性が多く活躍していますし、女性ならではの視点は非常に重要です。当社には産休・育休を経てキャリアを積み上げている女性社員もたくさんいます。今後は、そうした方々や学生さんたちの目標となれるような女性幹部を、意識的に増やしていきたいと考えています。これは私一人の思いではなく、他の幹部とも共通の目標として掲げていることです。

若い方々へ、起業やトップを目指す人へのメッセージをお願いします。

私自身、常に「仕事を楽しみたい」という思いを持って働いてきました。管理職になったばかりの頃は、社員の気持ちをつかめないこともあり、ぶつかることも多かったのですが、それでも「ワクワクしながら準備する」ことを忘れないようにしてきました。どんな挑戦も、“楽しんで取り組む”ことが大切です。そうすれば、周りも自然と動いてくれるし、チームとしての成果も大きくなります。

周囲との連携も重要だということですね。

はい、楽しい気持ちは伝染します。それを周りに共有して、一緒に挑戦していくことで、大きな成果が生まれると信じています。成果を上司だけに報告するのではなく、日々共に歩んでくれる仲間と分かち合うこと。その人たちがどんな表情で働き、どんな気持ちで取り組んでいるかを見つめながら進むことが大切です。

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