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起業を目指す女性を応援。「おしごとステップアカデミー」が生む最初の一歩
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「新潟で、自分の得意や経験を仕事にしたい」——そんな女性たちの挑戦を後押しするプログラムが、CLIP長岡の「おしごとステップアカデミー」です。
本インタビューでは、CLIP長岡 起業・経営アドバイザー(事業企画・都市経営担当)の栗原 里奈さんと、代表室マネージャー(戦略推進担当)兼 拠点運営チームリーダーの松村 美咲さんに、立ち上げの背景や起業相談の現場で見えてきた課題、具体的な支援事例などを伺いました。

松村さん(左)と栗原さん(右)
新潟で「好き」を仕事にする、「おしごとステップアカデミー」を設立。
― 「おしごとステップアカデミー」は、どのような課題意識から立ち上がったのでしょうか。
栗原 新潟県の女性社長の割合は、全国的に見ても高いとは言えず、若い女性の県外転出も続いています。新潟でも、好きなことや得意なことを仕事にする女性が増えれば、「ここで挑戦してもいいんだ」と感じてもらえるはずです。その思いから、このプログラムを始めました。
― 栗原さん自身も、移住後に起業した経験をお持ちだとか。
栗原 千葉出身で、東京でエンジニアとして働いた後、長岡に移住し、フリーランスとして活動を始めました。人脈はありませんでしたが、地域のイベントに足を運び続け、少しずつ人とつながり、仕事の機会をいただけるようになりました。今は2社を経営していますが、特別な才能があったからではありません。きっかけと伴走してくれる人の存在があったから。だから今度は、そのきっかけを他の女性にも届けたいと思いました。
―新潟ならではの環境や文化が、女性の働き方に影響していると感じる場面はありますか。
栗原 東京や千葉と比べると、新潟は保守的だと感じます。「長く勤め上げること」が価値として根付いていて、転職や独立は“特別な選択”と見られがちです。その結果、やりたいことを心の奥にしまい込んでしまう女性も少なくありません。しかし、新潟に挑戦の土壌がないわけではありません。先駆者の姿が『見えにくい』だけです。私たちの役割は、その可能性を“見える形にしていくこと”だと思っています。

学びで終わらせない、長岡発の実践型起業支援プログラム。
― 「おしごとステップアカデミー」ならではの特徴を教えてください。
松村 現役女性経営者がコミュニティをリードし、1本5〜15分程度の動画講座による基礎学習に加え、オンライン相談やチャット相談、お茶会・作業会などを通じて、学びで終わらせない実践型の支援を大切にしています。いきなり大きな起業を目指すのではなく、0から1へ、1から10へと小さく積み重ねていく。家庭や地域活動と両立できる、地に足のついた“続く仕事”を一緒に育てていきたいのです。

お茶会「おしゃべりカフェ」の様子
― 起業相談や交流会では、どのような悩みが多く寄せられますか。
松村 起業相談では、初期段階の疑問が多いです。「何から始めればいいの?」「集客はどうすればいい?」「確定申告の仕方は?」調べても専門用語が多く、かえって不安が増してしまう方もいます。だからこそ、一つずつかみくだいてお伝えし、具体的な行動まで落とし込んでいきます。
栗原 一方、起業を目指す仲間や先輩起業家と交流・実践できる「おしゃべりカフェ」では、もっとプライベートな悩みが出ます。「パートか起業か」「本当はもっと働きたい」など、“家庭とのバランス”は切り離せません。
松村 「もくもく作業会」では、SNS用動画の撮影やチラシ作成、事務作業などを持ち寄り、それぞれのタスクに集中します。必要なときは仲間や講師に気軽に相談できる、安心の環境です。「一人じゃないから続けられる」そんな場になっています。
― 参加された方たちに、どのような変化がありましたか。具体的なエピソードを教えてください。
栗原 ある女性は、アート教室を1回300円のイベント形式で行なっていました。ただ、それでは仕事として成り立たないという悩みを抱えていました。そこで、「やりたいこと」「できること」「市場が求めているもの」——この3つが重なる部分を一緒に整理しました。事業設計を見直したことで行動が一気に加速し、補助金を活用してイベントを構築、集客まで自ら実行。今はアート教室を本格的に展開しています。
松村 転勤で長岡に来た女性がいました。「赤ちゃんがいて外では働けない。でも家で仕事がしたい」という思いを持ってお茶会に参加していました。すると、別の参加者から「SNSを始めたいけれど、やり方が分からない」という声が上がりました。それを聞いた彼女が、「無料でやらせてください」と申し出たのです。数か月のモニター期間を経て正式契約に。今は長岡を離れましたが、そのSNS運用の仕事を続けています。交流の場から、新たな一歩を踏み出す方が生まれた事例です。

女性の挑戦が次の世代を育てる、新潟の未来につながる循環。
― 人口減少が進む中で、女性の活躍はどのような意味があると考えていますか。
栗原 女性が暮らしやすいかどうかは、その地域の未来に直結します。子どもを産み育てる世代が安心して自己実現できる環境がなければ、地域の持続は難しい。女性が前向きに挑戦し、活躍できる地域は、家族にも社会にもよい循環を生みます。
― 女性が地域で働き続けられる環境が広がると、新潟の未来にどのような変化をもたらすでしょうか。
栗原 地方では「自己実現は都会で」というイメージがまだ強い。でも、それは思い込みかもしれません。新潟でも、やりたいことを仕事にして活躍している女性はいます。その姿が増えれば、若い女性がこの地域に残る理由になる。一度東京に出ても「やっぱり新潟がいい」と戻ってくるUターンの受け皿にもなり、次世代のロールモデルにもなるはずです。女性の挑戦が次の女性を生む。そうした循環が、地域を発展させる力になると思います。
起業から経営へ——「続けられる仕事」を地域と共につくる。
― 今後、CLIP長岡は地域の中でどのような役割を担っていきたいと考えていますか。
栗原 事業を立ち上げるよりも、続けることのほうが難しいと感じています。だからこそ、起業支援に加えて経営支援も強化していきたいと考えています。
栗原 計画のブラッシュアップや資金計画、販路設計などの継続的な支援を通じて、地域に根づく、長く続く仕事を一緒に育てていきたいです。
― 最後に、CLIP長岡がこれから目指す姿を教えてください。
松村 新潟県内にはいくつかの起業支援拠点がありますが、私たちは自治体と連携しながら民間の柔軟さを活かした伴走支援を行っている点が特徴です。「思い立ったら相談できる、親しみやすい場所」。その存在自体が、挑戦のハードルを下げると信じています。
栗原 CLIP長岡が目指しているのは、単なる起業支援ではありません。女性が自分らしく働き、その姿が次の女性の背中を押す。そんな挑戦が循環する地域をつくること。『おしごとステップアカデミー』は、今日もその小さな一歩を支えています。
CLIP長岡
CLIP長岡は、NSGグループの一般社団法人新潟県起業支援センターが運営するスタートアップ支援拠点です。これまでに3,000件を超える起業相談に対応し、300件以上の事業立ち上げをサポートしてきました。起業相談や起業スクールの開催に加え、事業計画や資金調達のアドバイス、バーチャルオフィスの提供など、“相談から事業立ち上げまで”を一気通貫で支える体制を整えています。また、長岡市にとどまらず、魚沼市、小千谷市、見附市など新潟県内各地で起業相談会や起業スクールを開催し、地域に根ざした支援を継続しています。
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〒940-0062 新潟県長岡市大手通2-2-6 ながおか市民センター地下1階
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