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新潟の酒蔵と文化体験から広げる、日本酒の新たな海外需要
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米・水・麹という原料から生まれる、日本酒の奥深い味わい。その魅力に惹かれた台湾の飲食・酒販業界のプロフェッショナルたちが、本場・新潟の酒蔵を訪れています。愛宕商事株式会社が企画・運営する「日本酒ナビゲーター養成プログラム IN 新潟」は、台湾の日本酒教育機関と連携し、学びと実体験をつなぐ取り組みです。
今年で2回目の開催となり、海外市場との新たな接点づくりとしても注目されています。
プログラムの背景と狙い、今後の展望について、愛宕商事株式会社 旅行事業部のスミス ジェイコブさんに話を聞きました。スミスさんは新潟の日本酒に魅力を感じ、現在はその魅力を海外へ伝える仕事に携わっています。海外市場に向き合う立場だからこそ見えてくる、新潟の日本酒の強みとは何でしょうか。

本場で学びを完結させる、酒蔵体験。
― 「日本酒ナビゲーター養成プログラム IN 新潟」とは、どのような取り組みなのでしょうか。
スミス このプログラムは、台湾での日本酒教育の集大成のような位置づけです。台湾には輸入業者が設立した日本酒の学校があり、現地で体系的に学べる環境が整っています。そこで学んだ生徒さんたちが、卒業のタイミングで「本場・日本で実体験を積む」という流れからこの企画が生まれました。今回は13名が参加し、酒蔵の製造現場を見学し、酒造りに触れていただきました。
― 愛宕商事が進める日本酒輸出と、訪問する酒蔵はどのようにつながっていますか。
スミス 訪問する酒蔵は、弊社が台湾へ輸出している蔵が中心です。参加者の皆さんには、自国で親しまれている日本酒がどのように造られているのかを、現地で体感していただきたいと考えています。また、試飲の場では蔵元と直接意見を交わします。その対話がきっかけとなって、帰国後の新たな発注やビジネスにつながることも少なくありません。
― 一般的な酒蔵見学と、このプログラムの体験はどのように違うのでしょうか。
スミス 一般的な酒蔵見学は、説明を聞くスタイルがほとんどで、見学が中心になることが多いです。一方、このプログラムでは、製造現場を見学するだけでなく、洗米作業への参加など、工程の一部を体験できる機会も用意しています。通常は立ち入れないエリアで現場を感じられることもあり、より深く理解できる体験につながっています。これらは、弊社と酒蔵との信頼関係があってこそ実現するものです。参加者にとっては、日本酒を「知る」だけでなく「体感する」貴重な機会になっています。

地域文化に触れて理解を深める、滞在型ツアー
― 今回のツアーに参加した方は、どのような職業の方ですか。
スミス バーテンダーやレストランスタッフ、酒販関係者など、仕事で日本酒に携わっている方々が参加しています。このプログラムは「日本酒ナビゲーター」の資格取得を目指す方を対象としています。この資格は日本でいう“唎酒師”に近く、料理とのペアリング提案などに必要な知識を備えていることを示す資格です。こうしたプロの方々が新潟で日本酒の理解を深めることで、台湾での提供や販売の質の向上につながると期待しています。
― 海外の方が酒蔵を訪れた際、どのような反応がありますか。
スミス 皆さん、非常に高い関心を持って参加されています。酒蔵では質問が次々と出てきて、製造工程から水質や米の品種まで、積極的に理解を深めようとする姿勢が印象的です。
― 今回のツアーでは、酒蔵訪問に加えて神社参拝やものづくり体験なども組み込まれています。その狙いを教えてください。
スミス 初回は日本酒に特化したプログラムとして実施しましたが、参加者の声を踏まえ、今年は新潟の文化や風土も合わせて体感できる内容へと発展させました。具体的には、弥彦神社の参拝や燕市での純銅タンブラーの鎚目入れ体験、寺泊での海産物文化体験などを取り入れています。日本酒は土地の風土や文化と深く結びついています。地域全体を肌で感じることで、「なぜ新潟でこれほど美味しい酒が生まれるのか」という背景まで、より深く理解していただけると考えています。

甘口とスパークリングが人気。台湾市場で見えてきた嗜好と可能性
― 台湾で日本酒が支持される理由は何だと思われますか。
スミス 「味わいの多様性」と「料理との相性の良さ」が大きな理由だと感じています。台湾ではもともとワイン文化が広がっていましたが、日本酒の浸透によって、料理との新たなペアリングの楽しみ方も広がっています。また、米・水・麹というシンプルな原料から多様な味わいが生まれる点にも、大きな魅力を感じているようです。
― 台湾市場ならではの日本酒の楽しみ方や特徴があれば教えてください。
スミス 台湾では、甘口やスパークリングタイプの日本酒が特に人気です。展示会でも「甘いものはありますか?」といった質問が多く、日本とは異なる嗜好が見られます。一方で、レストランでは料理との相性を重視し、淡麗辛口や酸味のあるタイプが選ばれることもあります。このように、シーンによって求められる味わいが大きく変わるのが特徴です。
― 海外展開における課題についてはどのように感じていますか。
スミス 課題は主に価格と供給量の2点です。海外では輸送費や関税の影響により、日本国内の価格と比べて高くなる傾向があり、高級品という位置づけになります。また、新潟には中小規模の酒蔵が多く、需要の拡大に対応しながら品質を維持していくことも、重要なテーマです。

新たな流通創出と海外展開に向けた今後の展望
― 今後、日本酒と新潟の魅力を海外に広げる取り組みを、どのように発展させていきたいですか。
スミス 現在は台湾を中心に展開していますが、アメリカやシンガポールなどへの拡大も進めています。今後はメキシコやブラジルといった、日本酒の認知度がまだ高くない市場への展開も視野に入れており、将来的な市場成長につながると考えています。あわせて、輸入業者向けプログラムの充実も進めていきます。仕込み体験やプライベートラベルの日本酒造りに加え、花火大会のような新潟ならではの地域イベントと組み合わせたツアーも検討しています。
― スミスさんご自身は、この取り組みのどんなところにやりがいを感じていますか。
スミス 参加者の方が、日本酒への興味をきっかけに、新潟や日本そのものへと関心を広げていく過程に立ち会えることです。酒蔵での体験や地域文化に触れる中で、表情や反応が少しずつ変化していく。その様子を間近で感じられることに、この仕事ならではの魅力を感じています。かつて自分が日本酒に魅了されたように、今度は私が、その魅力を世界の人に伝えていきたいと思っています。
― 最後に、この取り組みの意義をどのように捉えていますか。
スミス このプログラムを通じて、日本酒を「知識」ではなく「体験」として届けられる点に、大きな意義を感じています。日本酒は単なる商品ではなく、その土地の文化や風土と深く結びついた背景があります。だからこそ、実際に新潟を訪れ、体験していただくことに価値があります。日本酒をきっかけに日本を知り、日本を好きになる。そして、その先に新潟への関心が生まれる。この取り組みは、そうしたつながりを世界に広げていく一歩になると考えています。
愛宕商事株式会社
愛宕商事株式会社は、NSGグループの商事事業部門を担い、物品の販売から始まり、保険代理店、環境事業、旅行代理店、指定管理事業、調剤薬局など、多岐にわたる事業展開で社会のニーズに対応し、人々の幸福と豊かさを目指している商社です。
本社/〒951-8065 新潟市中央区東堀通一番町494番地3
TEL:025-228-4888 / FAX:025-228-4885
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