目指せ!決勝の地、甲子園で全国制覇!! 笑顔で挑戦、開志学園高校女子硬式野球部

2023.07.10 Mon

昨年の全国高等学校女子硬式野球選手権大会で決勝戦まで進んだ女子硬式野球部。

延長タイブレークで惜しくも敗れてしまいましたが、準優勝に輝きました。今年の4月に、公立高校で男子野球部の指導を30年以上経験してきた後藤桂太氏が監督に就任しました。赴任する高校では一からチームを作り上げ、甲子園常連校の私立の強豪校を倒した経験が何度もあるなど、後藤監督は選手のモチベーションを高め、長所を引き出す指導が高く評価されています。

開志学園女子硬式野球部は7月に行われる同大会で、全国制覇を目指しています。大会を直前に控えた後藤監督に、女子野球の特徴や独自の指導法、チームの長所、大会への意気込みなどについて伺いました。

 

選手一人ひとりの個性を引き出し伸ばす指導法を。

― 4月に監督に就任してこれまでどのようにしてチーム作りをしてきましたか?

後藤 選手から意見やアイデアを出してもらい、一緒になってチームを作っています。そして選手一人ひとりの個性や長所を引き出し、それを伸ばしてあげたい。今まで私はそうやってチームを作ってきましたので。しかし女子野球を指導するのは初めての経験なので試行錯誤の連続でした。

 

― 女子と男子の違いはどんなところでしょうか?

後藤 女子は男子と違って、完璧を求める傾向がありますね。「ミスをしたくない」「失敗したところを見られたくない」という思いがあるように感じます。失敗の経験から学ぶことも多いので選手には「ミスを恐れずに挑戦する気持ちを忘れないように」と伝えています。

― 逆に女子の長所はどのようなところにありますか?

後藤 やっぱり楽しそうに野球をすることでしょう。みんな笑顔がキラキラしています。得点を取られて落ち込んでも、すぐまたみんなで盛り上がって頑張れる。不思議ですよね。監督としては、ミスをした後にあまり落ち込まないようにメンタルのサポートができればと思っています。

 

選手との距離を縮めるために、LINEを使ってコミュニケーションを図る。

― LINEを使って選手に意見を伝えているそうですね。

後藤 4月に監督に就任して、まず私が何を考えているかを理解してもらうために、試合後にはLINEで選手にメッセージを送っています。最初はパソコンでまとめたものをプリントアウトして渡していたのですが、LINEの方がいつでも読めて、見返すのにも便利ですからね。内容は試合の感想・修正点、今までの経験から感じた野球をする上で大切なこと、全国大会に向けての思いなどです。

 

― 指導するにあたって大切にしているところは?

後藤 先ほどの話と重なる点もありますが、選手一人ひとりを大事にした指導です。野球はチームプレーですが、個の充実が不可欠です。試合に出ている選手だけが満足するようなチームにはしたくなくて、全員が充実していれば、それがチームに伝播して総合力や団結力がアップする。そのために選手全員と分け隔てなくコミュニケーションを図っています。

 

― 春先からのチーム状態はいかがですか?

後藤 私自身は、最初の2ヶ月は女子野球を指導するのは初めての上、選手の特徴も分からなかったので苦労しました。しかし、毎日が新鮮で楽しくて仕方ないですね。選手は試合を重ねるごとに、「チームに必要なこと」を理解してくれるようになり、試合運びに安定感が出てきました。これからもっと集中力も上がり、打撃も上向いてくると思います。大会へのカウントダウンが始まっていますが、明るいチームなのでどんどん盛り上がっていきますよ。

 

 

チーム一丸となって、気持ちを繋いで勝利を目指す。

― このチームのいちばんの長所はなんですか?

後藤 打撃のチームです。開志学園の伝統でもあります。だから選手も打つ練習は一生懸命やりますね。攻撃は失うものがないので、どんどん前向きにいける。元気で明るいチームカラーにも合っていると思います。しかしそれだけでは全国大会を勝ち抜けないので、もう一つレベルを上げた打撃力が必要ですね。

 

― 逆にここを修正したいという課題はありますか?

後藤 粘り強さです。試合の流れが悪い時は、負の連鎖で失敗を重ねて失点してしまうケースがあります。そんな時に、いかにみんなで気持ちを強く持って最小失点で食い止めるか。我慢強く、1戦1戦乗り越えていかないと全国では通用しません。選手は「開志学園で野球がやりたくて、全国大会で絶対優勝するぞ!」という思いで入学してきているので、監督として選手を支えながら、甲子園で優勝の目標が達成できるよう、努めていきます。

― 競った試合が続くと思いますが、勝敗を分ける鍵は?

後藤 うちの選手はみんな個性的で、個々の実力はありますが、最後に勝負を分けるのはチームワークです。野球は攻撃も守備も、次へ次へと繋いでいくスポーツ。だからこそ、チーム全員が同じベクトルで、いかに気持ちを繋いでいけるか。チーム一丸となれれば、個々の力はあるので良い結果が出ると信じています。

笑顔で挑戦し、優勝旗を新潟に持って帰りたい。

― チームの全国大会へ向けてのスローガンはありますか?

後藤 「笑顔で挑戦しよう!」です。難関に立ち向かう時に必要なのは、元気と勇気。その原動力となるのが笑顔です。笑顔で挑戦することで、より一層力を発揮することができるし、それを見ている人たちにも元気や勇気を与えることができます。選手には「大会まで1ヶ月を切ったが、笑顔と挑戦を意識して生活していこう」と伝えています。笑顔で勝利を手にできる大会にしたいですね。

 

― 全国大会に向けて、監督としての意気込みを聞かせてください。

後藤 勝ち抜いて決勝の地・甲子園まで進み、昨年成し得なかった全国制覇。もうそれしかないです。春の全国高校女子硬式野球選抜大会で優勝した神戸弘陵学園学園高校を始め、強豪が多いですから、昨年もそうだったように、チームは一戦一戦試合を重ねる中で成長していくと信じています。簡単なことではないと思いますが、何とか粘り強く戦い、新潟に笑顔で優勝旗を持って帰れるように頑張ります。

 

― 優勝を期待されている中でプレッシャーはありませんか?

後藤 それよりも貴重な経験をさせてもらって、本当に感謝しています。確かに責任は感じますが、ものすごく楽しいです。皆さんからの期待が大きければ大きいほど頑張れる。私はプレッシャーとの戦いが、いちばんの大好物なので(笑)。彼女たちが最高の笑顔になれるように、監督としても新しい挑戦を楽しんでいきます。

第27回全国高等学校女子硬式野球選手権大会】

<準決勝まで>
令和5年7月22日(土)~7月29日(土) (予備日:7月30日(日)・7月31日(月))
<決勝戦>
令和5年8月1日(火) 雨天の場合は8月2日(水)◇閉会式は決勝戦終了後に行います。
<開志学園高校1回戦>
7月23日(日)8:30 VS 佐久長聖高校(長野県代表) 会場:ブルーベリースタジアム丹波

開志学園高等学校
〒950-0931 新潟市中央区南長潟21-1
TEL:025-287-3390 / FAX:025-287-3363

開志学園高等学校女子硬式野球部は、2012年に東北・北陸地方で初の高校女子硬式野球部として創部。全国から部員が集まり、全国制覇を目標に挑戦してきた。そして2022年に開催された全国高等学校女子硬式野球選手権大会で初の準優勝に輝く。現在の部員数は54名。7月22日から行われる全国高等学校女子硬式野球選手権大会で初優勝を目指している。

後藤桂太
1966年生まれ、新潟県五泉市出身。新津高では捕手で84年のセンバツに出場。日体大を卒業後、89年から93年に新発田農業高校のコーチで高校野球の指導に携わり始める。94年に津川高校、06年から14年まで五泉高校、14年から22年は新潟高校の監督。五泉高校では12年秋、新潟高校では21年春に北信越大会出場。22年から見附高校の監督を務め23年3月に退職。4月から開志学園高等学校女子硬式野球部監督に就任。新潟医療福祉大健康スポーツ学科教員を兼務。

各種リンク