全国でも希少!アクアリウム・海洋生物・爬虫類・両生類特化の専門学校を新設。

2025.08.22 Fri

WaN国際ペットワールド専門学校から海洋生物・自然環境学科(4年制)、水族館・アクアリウム学科(3年制)、水族館・ドルフィン学科(2年制)、ネイチャーアクアリウム学科(2年制)、爬虫類・両生類ビジネス学科(2年制)、そして動物飼育・ケア学科(1年制)が分離独立し、専門学校 「国際アクアリウム・海洋生物大学校(以下AQUA)」が2026年4月に開校することが決まりました。ネイチャーアクアリウムや海洋生物、爬虫類・両生類までを扱う、全国的に希少な専門学校です。

今回は、そんな注目される新設校AQUAについて、その設立の背景や特色あるカリキュラム、地域との連携、そして今後のビジョンなどを中心に、開校準備を担当してきたWaN国際ペットワールド専門学校 教務部 海洋系準備室室長の若林 耕治さんに話を伺いました。

WaN国際ペットワールド専門学校 教務部 海洋系準備室室長の若林 耕治氏

 

他に類を見ない多様な専門領域を網羅する学科構成。

― 新しく開校される学校には、どのような学科が設置されているのでしょうか。

若林 当校の学科は、多彩なラインナップになっています。具体的には、海洋生物・自然環境学科(4年制)、水族館・アクアリウム学科(3年制)、水族館・ドルフィン学科(2年制)、ネイチャーアクアリウム学科(2年制)、爬虫類・両生類ビジネス学科(2年制)、そして動物飼育・ケア学科(1年制)です。ペット分野に限らず、水族館運営や環境保全まで、幅広い実践教育を展開しています。

 

― 特に注目されている学科はありますでしょうか。

若林 それは、「ネイチャーアクアリウム学科」です。水草を用いて水槽の中に自然の風景を再現する、水中の芸術ともいえる分野で、高いデザイン性と生体への理解が求められます。この分野を牽引しているのが、新潟発祥の企業(株)アクアデザインアマノ(ADA)様であり、創業者の天野 尚さんは世界的に著名な方です。WaNは同社と教育提携しており、講師にはADAの現役スタッフとして活躍している卒業生も多くいます。また、この学科には韓国や沖縄などから学生が入学しており、県外出身者の割合が高いのも特徴です。

専門学校 AQUA国際アクアリウム・海洋生物大学校の授業で扱う水槽

 

― そのほかにもユニークな学びがあるそうですが、具体的に教えてください。

若林 「水族館・ドルフィン学科」にはイルカのトレーナーを目指す学生が多くいます。ただし、校内でのイルカ飼育はできないため、その代わりとして、大型の魚を対象にトレーニングの基礎理論を学ぶ実習を行っています。魚にジャンプやトリックを教える“フィッシュショー”を通して、トレーナーに求められる観察力や行動分析力を実践的に身につけているのです。加えて、水族館「マリンピア日本海」の元館長を講師として迎え、水族館そのものを教室とした授業も日常的に実施しています。

 

― 爬虫類・両生類ビジネス学科も珍しい学科ですね。

若林 爬虫類分野については、近年注目が高まっていることを受け、輸出入やケージ設計、管理手法など、ビジネス面からの実践的な学びを取り入れています。さらに、立体的な飼育空間をデザインするビバリウム、パルダリウムの構築技術も習得できます。

専門学校 AQUA国際アクアリウム・海洋生物大学校の授業で扱う爬虫類の水槽

 

専門分野を極めるための独立構想と開校準備。

― 今回、独立開校するに至った経緯について教えてください。

若林 もともとWaN国際ペットワールド専門学校で、アクアリウムや海洋生物、爬虫類・両生類に関する “ここでしか学べない”教育環境を提供してきたことから、専門性に特化した独立校の構想が検討されてきました。

 

 ― 実際に独立校としての準備に踏み切った、きっかけは何だったのでしょうか。

林 一番の理由は、海洋生物が愛玩動物(ペット)と異なることです。この分野は野生生物や自然環境を取り扱う領域であり、スクーバダイビングやフィッシングなどの海洋レジャー、養殖業、水産業なども含めると、私たちの学科がペットの枠に収まらないということが大きいです。

また、WaN国際ペットワールド専門学校の学生数が年々増加してきています。特に動物看護師が国家資格となり、この分野を志望する学生が急増しました。従来の校舎の外部に教室を増設し対応してきましたが、やはり限界があります。学びたいという意思のある学生に対して、適切な環境を提供するということが第一です。

そこで、専門性の高いこの学科を分離独立し、新たな教育環境を整備するという判断に至りました。

 

― 実習環境の整備という意味でも、やはりスペースの確保は重要だったわけですね。

若林 まさにその点が重要でした。特にアクアリウムや海洋系の学科では、水槽の設置や水の管理など通常の教室とはまったく違う設備が必要です。それらを整えるには、専用のスペースが不可欠でした。今回、新校舎の場所として選んだのが新潟市の古町エリアです。ここは海や川にも近く、さらに新潟市水族館「マリンピア日本海」という日本海側屈指の規模を誇る水族館にもアクセスしやすいので、フィールドワークや実習に最適な立地です。

専門学校 AQUA国際アクアリウム・海洋生物大学校の授業で扱う水槽が並んだ部屋

 

地域とつながる実践教育で、未来を担う人材を育成。

― 開校に先立ち、WaNの当該学科の学生には2025年4月から新校舎に移ってもらったそうですが、反応やメリットはいかがですか。

若林 学生たちにはとても好評です。ある学生は「古町に来てからは、実際に魚に囲まれている感覚が高まり、登校が楽しみになった」と話していました。水槽の数も増え、機材もさらに充実し、授業のほとんどが校内で行えるようになりました。また、「海岸やマリンピア日本海へのアクセスも改善され、実習の移動がスムーズになった」という感想もありました。晴れた日は海(日和山浜)で生物採集し、気象条件の悪い日は水族館内で課題に取り組むなど、実習の柔軟性が高まりました。

 

― 校舎がガラス張りで、中の様子が見える設計が特徴的ですね。

若林 はい。校舎は人通りの多い古町モールにあり、ガラス張りの外観から、水槽や実習風景が自然と目に入る設計です。イベントで校舎を開放した際は、2日間で1,000人以上が来場し、学生たちも成果を見てもらえることに大きなやりがいを感じていました。

専門学校 AQUA国際アクアリウム・海洋生物大学校の外観

 

― 今後、この新しい学校を通して、どのような人材を育てていきたいですか。

若林 これまでは就職先がペット関連中心になっていましたが、今後は幅広い現場で活躍できる人材を育て、各分野へ送り出していきたいですね。具体的には、漁業や養殖、水産加工からマリンレジャー業界まで様々な分野が想定されます。新潟は海に面した地理的な特性があり、こうした分野への就職機会も豊富です。県外から学生を呼び込み、新潟で学び・働いてもらうことで、水産業や観光、自然環境保全など地域の未来を担う人材を育成します。

WaN国際ペットワールド専門学校 教務部 海洋系準備室室長の若林 耕治氏

 

地域と連携し、専門性と国際性を備えた新設校の挑戦。

― 地域連携の取り組みについてもお聞かせください。

若林 校舎がある古町は、長い歴史を持つ商店街の一角に位置しています。今後は、学生が設置・管理する水槽を展示させてもらい、商店街全体を“アクアリウムストリート”に演出する計画です。地域にアクアリウムの魅力を発信しながら、学生の実践力を育むのがその意図です。また、新潟は(株)アクアデザインアマノ(ADA)や錦鯉といった、世界的に知られるアクアリウム文化の発信地でもあります。こうした地域資源を活かし、「アクアリウムといえば新潟」と認識されるよう、今後は積極的に情報発信していきます。

 

― 今後のビジョンや5年後・10年後を見据えた展望はどのようにお考えですか。

若林 近年では、SDGsや環境教育の浸透によって、高校生の間でも海洋に関する仕事への関心が高まってきました。しかしながら、海や水生生物に特化した専門学校は全国的にも数が少なく、当校は海洋に関する仕事を目指す方の受け皿として独自のカリキュラムをさらに磨いていきます。そして、新潟県内はもちろんのこと、国内外から「ここで学びたい」と学生が集まる、魅力ある学校づくりを目指します。

WaN国際ペットワールド専門学校 教務部 海洋系準備室室長の若林 耕治氏

 

専門学校 AQUA国際アクアリウム・海洋生物大学校

新潟・古町を拠点にアクアリウムや海洋分野などに特化した専門教育を行っています。実習重視のカリキュラムに加え、地域連携や国際展開にも力を入れており、「ここでしか学べない」環境が整っています。ネイチャーアクアリウムや爬虫類・両生類など多彩な学びを通じて、未来の水辺環境の担い手を育てます。

〒951-8063 新潟市中央区古町通5番町626
TEL.025-374-7533 / FAX.025-374-7544
https://www.wan-c.jp/2022_marine/

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