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介護施設に運動と健康を。アップルスポーツカレッジと愛宕福祉会が新たな取り組み。
アップルスポーツカレッジと社会福祉法人愛宕福祉会の連携でスタートした「コラボ体操教室」。この取り組みは、スポーツ分野の仕事を目指す専門学校生と、介護施設の高齢者をオンラインでつなぎ、健康増進と交流の場を創出する新しい試みです。
今回は、プロジェクトの発案者であるアップルスポーツカレッジ 教務部長 鹿間宏海さんと、愛宕福祉会 人事部 部長 馬込正利さんに、企画誕生の経緯や学生・入所者様の反応、今後の展望についてお話を伺いました。
事業創造大学院大学での出会いから生まれた、スポーツと介護のコラボレーション。
― コラボ体操教室を始めた背景と経緯について教えてください。
鹿間 馬込さんとは2019年にNSGグループの事業創造大学院大学の宮島敏郎教授のゼミで出会い、その頃から「スポーツと介護の連携で何か新しいことができないか」と話していました。ただ、仕事の都合やコロナ禍の影響もあり、しばらく具体的なアクションを起こせない期間が続いていました。2023年、コロナの5類移行を機に、馬込さんから「一緒に何か企画しよう」と声がかかり、本格的に動き出しました。
馬込 ゼミでは、社会課題へのアプローチや新しい価値の創出について学び、視座が高まりした。その学びが、このコラボの原点にもなっています。

― お互いの課題感から生まれた企画だとか。
鹿間 はい。私たちはスポーツ人材育成の面で、どうしてもアスリートや一般の方の指導に意識が集中しがちでした。しかし、高齢者施設にいる入所者様にもトレーナーとして指導やサポートが可能ではないかと。また、介護施設の職員の方々が日々忙しい中で、私たちの学生がお手伝いできないかという課題意識を強く持っていました。
馬込 介護現場では、限られた人員の中で、職員が懸命にご利用者様と向き合っていますが、もっと一人ひとりに寄り添う時間があれば、という思いはどの施設にも共通してあります。そうした中で、実習生など若い人たちが施設に来ると、孫を見るように喜ばれます。それを日常的に提供できる仕組みがあればいいなと感じていました。
鹿間 目標は、シニアフィットネストレーナーの育成と、入所者様・ご家族の満足度向上です。このように、お互いの課題が融合してこの企画が形になり、2023年11月に第1回目の体操教室を開催しました。
感染対策と教育効果を両立させた、オンライン指導の取り組み。
― オンライン体操教室を選んだ背景を教えてください。
鹿間 当時はまだコロナ禍で、感染対策を最優先に考えた結果、オンラインが最適でした。また、本校ではオンライン指導のノウハウも蓄積されていたため、学生にとっては絶好の実践の場となりました。
― オンラインでの難しさや工夫したことは何でしょうか。
鹿間 画面越しだと熱意が伝わりづらく、学生も緊張して早口になってしまうことがありました。そこで、運動の難易度を調整し、笑顔でゆっくり話すよう繰り返し指導しました。馬込さんからもフィードバックをいただきながら、改善を重ねています。
― 入所者様はオンラインに抵抗はなかったですか。
馬込 ご自身の居室や休憩所で参加できるので、移動の負担もなく、日常の一部として自然に取り入れていただいています。学生とリアルタイムで交流できることが刺激になっていて、毎回楽しみにされています。
― 具体的にはどのような運動をしていますか。
鹿間 毎週木曜日の午前10時から約20分間、入所者様に合わせて立位や座位でできる運動を提供しています。内容は、関節の可動域を上げる運動、筋力を維持するための運動、脳を活性化させるための運動(じゃんけんなどのゲーム要素の多いもの)を組み込んでいます。
入所者に生まれた笑顔と楽しみ、学生の成長と介護職員の負担軽減。
― 参加した入所者様や学生の反応はいかがですか。
馬込 オンラインでも学生が直接呼びかけてくれるので、入所者様はとても楽しそうです。テレビと違い、画面の向こうにいる学生とのリアルタイムのやり取りが刺激的で、毎回違う学生が指導するのも新鮮なようですね。
鹿間 学生たちからは、「入所者様が笑顔で取り組んでくださることがとても嬉しい」という声が多く聞かれます。また、入所者様やスタッフの笑顔を見て、運動はたくさんの方を笑顔にする、幸せにする力があると実感しているようです。さらに、介護職員の方の負担軽減にも貢献できていることを誇りに感じている様子ですね。
― 健康面以外で、入所者様の気持ちの変化を感じますか。
馬込 入所者様から「今日は体操の日?」と聞かれることがあり、曜日感覚を保つためにも、待つ楽しみが生まれるという意味でも、入所者様にとって良い刺激になっているなと思います。
― 今期は時間帯や対象が変わるそうですね。
馬込 今年度は木曜日の午後2時に変更し、デイサービス利用者様も対象とすることにしました。午前は入浴時間に重なっていたため、午後になることでより多くの方が無理なく参加できるようになります。
鹿間 対象が広がったことで、立位での下半身強化など、より幅広い運動プログラムを提供しなければと気持ちを新たにしました。こうした運動プログラムが、生活機能の維持・向上を支える基盤になると考えています。その基盤を支えることで、日々の生活の質そのものを高められればと思いますね。
社会課題解決を通じた学生の視野拡大と、将来への実践的学び。
― 学生の学びや気づきについてはいかがですか。
鹿間 こうした日常生活をより良くするための運動指導の経験は、スポーツ人材として必要な資質や技術の育成につながっています。また学生は、高齢者の健康寿命の延伸、生きがいづくり、介護職員の負担軽減など社会課題の解決につながるものと、その意義を感じながら取り組んでいる様子が伺えます。
― 介護福祉に興味を持つ学生も増えてきそうですね。
鹿間 これまでプロスポーツやフィットネス業界を志望する学生が中心でしたが、近年は高齢者や障がい者を対象にする業界を希望する学生も増えています。社会の多様なニーズに応えられる人材育成に力を入れていきたいですね。
馬込 福祉業界では、「予防」が重要視されており、寝たきりを防ぐために早期から運動支援が求められます。そういった面でも、この活動はとても助かっています。
― 学生の将来の仕事にも役立つ経験となるでしょうか。
鹿間 この経験は、将来的にパーソナルトレーナーとして独立する際にも役立つと思います。アスリートから高齢者まで、幅広いクライアントに対応できる運動指導の経験は、社会課題の解決につながり、将来的にはスポーツ人材の社会的地位向上にも貢献できると考えています。
NSGグループ全体への展開と、異分野融合による新たな価値創造。
― コラボ体操教室の今後の展望は?
馬込 現在は愛宕福祉会の利用者様が中心ですが、NSGグループ内の「はあとふるあたご」や「上越愛宕福祉会」の利用者様にも参加のお声がけをしております。今後は法人を超えてさらに広め、グループ全体での取り組みに発展すれば、より大きな可能性が広がると感じています。
鹿間 対象が広がれば、学生にもより責任感や緊張感が生まれ、さらなる成長が期待できます。多くの現場に関わることで、トレーナーとしての実践力も高まると考えています。
― どうしたら、このようなコラボがNSGグループで広がっていくと思いますか。
鹿間 NSGグループには、熱意を持って取り組んでいる人たちが本当にたくさんいます。だからこそ、組織の枠を超えてつながることで、これまでにないアイデアや可能性が広がっていくと思います。目の前の業務に向き合う中で、「他社とコラボすることで、互いにもっと良くなるかもしれない」と考える事を習慣化していきたいですね。
馬込 それぞれの組織が単独で課題の解決策を探すだけではなく、グループ全体で協力していくことが重要です。お互いの強みを活かして連携し合うことで、個々の組織では気づけなかった新しい取り組みや価値が生まれると感じています。グループ内での協力が広がれば、さらに素晴らしい取り組みが増えると思います。
鹿間 「コラボ体操教室」が刺激となり、グループ内でコラボが広がれば嬉しいですね。
アップルスポーツカレッジ
プロチーム・アルビレックスとの連携による最大700時間の実習など、実践重視のカリキュラムで即戦力を育成。取得可能な資格も多く、合格率は全国トップレベル。16年連続就職率100%、スポーツ業界への専門就職率は91.8%(2024年3月)と、圧倒的な就職実績を誇ります。
〒950-0932 新潟市中央区長潟2-2-8
TEL:0120-466-771 / FAX:025-286-5192
https://www.applesports.jp
社会福祉法人 愛宕福祉会
安心して老いることのできる社会・ノーマライゼーションの理念の実現・豊かな人間性の育成を目指し、高齢福祉事業、障がい福祉事業、児童福祉事業を展開。利用者一人ひとりのかけがえのない笑顔と思いを大切に、安心した生活が送れるよう支援を行い、家族・地域の方々から信頼される社会福祉法人を目指します。
〒950-0067 新潟市東区大山2-13-34
TEL.025-384-8567 / FAX.025-384-8774
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