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未来のトップドライバーやメカニックを育てるサーキット「スピードパーク新潟」。
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国内でも有数の規模を誇るJAF公認のカートコース「スピードパーク新潟」。モータースポーツの魅力を地域に広げ、若者の夢を育む場所として着実に歩みを進めてきました。全日本カート選手権の開催をはじめ、教育機関との連携、地元経済への貢献など、その取り組みは多岐にわたります。競技だけでなく、子どもたちのカート体験や企業のテストコースとしても活用され、地域に根差した“学びと挑戦のフィールド”となっています。
今回は、施設設立の背景から今後の展望まで、株式会社スピードパーク新潟 社長 中村 寿和さんにお話を伺いました。

若者の夢を後押しするモータースポーツ教育を展開。
― まず、NSGグループとの出会いについて教えてください。
中村 私は学生時代からモータースポーツに取り組み、その後は自動車業界で働いていました。ご縁があり、NSGグループのNIT新潟工科専門学校で自動車工学科の教員となり、学生たちと一緒にジムカーナ※などを行っていました。当時は夏季のスキー場駐車場などを活用し、限られた環境の中で活動を続けていました。
※ジムカーナ…舗装路面で行われるモータースポーツの一種。
― そこから、モータースポーツ教育に力を入れる流れが生まれたのですね。
中村 はい。NIT新潟工科専門学校の自動車工学科がその後、GIA新潟国際自動車大学校として分離独立しました。そこからモータースポーツに力を入れるようになり、より本格的に競技へ取り組める教育体制が整っていきました。
― その延長線上で、スピードパーク新潟の設立につながったわけですね。
中村 そうです。学生たちがレースで実績を上げ始める中で、「より安全かつ安定して走れる専用コースが必要だ」と強く感じました。そこで2008年、スピードパーク新潟を設立しました。騒音など環境面への配慮から、周囲が森林に囲まれた現在の地を選びました。
― 設立と同時に「アルビレックスレーシングチーム」も立ち上げたのですね。
中村 はい、在校生や卒業生が競技活動を続けられる環境を提供したいという思いから、「アルビレックスレーシングチーム」を立ち上げました。近年では、NSGグループの開志国際高等学校にもモータースポーツ専攻が設けられ、より若い世代に広がりを見せています。
― スピードパーク新潟では、どのような活動を展開しているのでしょうか。
中村 レンタルカート体験はご家族やご友人同士で楽しめる人気のプログラムです。また、小学生向けの交通安全講習も実施しており、モータースポーツを「観る・走る・学ぶ」場として活用しています。さらに、自動車部品やタイヤメーカーのテストコースとしても利用されており、四季のある新潟の気候条件が性能評価に適している点を高く評価していただいています。

全国の選手を魅了した戦略的サーキット環境。
― 今年は「全日本カート選手権」も初めて開催されたそうですね。
中村 はい、当サーキットとして初めての開催で、大きな挑戦でした。準備段階では地元胎内市長や周辺市町村長の方々にご説明を重ね、地域の理解と協力を得ながら進めました。結果として全国から約40名の選手が参加し、1チームあたり3〜4名のスタッフも同行するため、関係者も含めると全体では200〜300名が新潟に集まりました。地域にとっても大きな波及効果があり、今後における重要な一歩となったと考えています。
― 選手たちのコースに対する評価はいかがでしたか。
中村 戦略性に富んだレイアウトがトップドライバーからも「走り応えのあるサーキット」と高い評価をいただきました。コースをどう攻略するか、そうした駆け引きが、選手にとって挑戦しがいのある環境になっているようです。
― 運営には学生たちも関わったそうですね。
中村 はい、GIA新潟国際自動車大学校のモータースポーツ科の学生が運営スタッフとして参加し、レース現場を支える実践的な経験を積むことができました。学生たちはトップレベルの走りを間近で見て目の色が変わり、「自分もあの舞台に立ちたい」と強く意識するようになったと感じています。教室だけでは得られない学びがあり、教育的にも非常に意義深い大会になりました。

トップドライバーへの出発地点となる育成の土台。
― ドライバー育成の拠点としての役割も大きいですね。
中村 そうですね。GIA新潟国際自動車大学校の卒業生たちはすでに、スーパーGTやスーパーフォーミュラといったトップカテゴリーのチームに、メカニックやエンジニアとして加わっています。そしてドライバー育成については、アルビレックスレーシングチームが中心となり、トップカテゴリーに挑戦できる選手を輩出することを目指しています。すでに「全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権」というトップ直下のカテゴリーに到達している選手も現れており、さらなるステップアップが期待されています。
― カートのセッティングは学びの宝庫だと聞きますが。
中村 まさにその通りです。カートはサスペンションを持たないマシンで、ボルト一本の締め具合によって挙動が大きく変わります。何を調整すればどう動きが変わるのか、そうした感覚を掴むことができるのです。この「セッティング力」は、サスペンションを備えたフォーミュラカーなど上位カテゴリーのマシンにも応用できます。カートは単なる入門用ではなく、基礎を徹底的に学べる重要なカテゴリーなのです。
― F1ドライバーも、皆カートから始めていると聞きます。
中村 はい、今F1で活躍している世界のトップドライバーたちも、ほぼ全員がカート出身です。オフシーズンにあえてカートで走り込み、感覚を研ぎ澄ませる選手も少なくありません。それだけ「運転技術の原点」であり、「技術・知識・感覚」の基礎を養う上で欠かせない存在なのです。

新潟から全国へ広げるモータースポーツ文化の発信。
― 今後の展望について教えてください。
中村 まずは、今年に続いて「全日本カート選手権」を継続的に開催し、本物のレースを学生たちが間近で体験できる環境を維持すること。そしてアルビレックスレーシングチームとしても、かつて参戦していたスーパーフォーミュラLightの舞台に再び挑戦したいと考えています。簡単な道ではありませんが、挑戦し続ける価値があると思っています。
― そうした挑戦を支える原動力はなんでしょうか。
中村 私の原動力は「人を育てたい」という気持ちです。もちろん、クルマが好きであることは揺るぎませんが、ただ好きなだけではなく、モータースポーツを志す若者に「先を見据えた育成環境」を作ってあげたいという思いが、活動の中心にあります。学生たちが夢を描き、壁を乗り越え、次のステージへ進んでいく姿を見ることが、私自身の力にもなっています。
― 最後に、今後の目標や課題についてお聞かせください。
中村 モータースポーツの世界では、カートのトップカテゴリーに中学生のドライバーも多く参戦しています。だからこそ、若いうちから基礎をしっかり学べる環境を整えることが重要です。その意味で、開志国際高等学校に設置されたモータースポーツ科の存在は非常に大きいと思います。高校に通いながら本格的なレース活動に取り組める環境があれば、生徒たちは自分の未来をより具体的に描けます。これからも全日本クラスの大会を新潟で開催し続け、地域から全国へ、モータースポーツ文化を発信していきたいと考えています。

株式会社スピードパーク新潟
2008年にオープンしたサーキットで、全長1,049m、最大直線距離170mという、国内でも有数の規模を誇るJAF公認カートコースです。
サーキット運営を主軸に、モータースポーツを通じた地域振興と人材育成に取り組んでいます。また、「アルビレックスレーシングチーム」では、競技レベルの強化とジュニア育成も推進しています。
施設では、一般向け・キッズ向けのカート体験や、タイヤ・部品メーカーによる走行テストの受け入れも行っています。
〒959-2600 新潟県胎内市松波1013番地36
TEL.0254-45-2900 / FAX.0254-45-2910
http://www.speed-p-niigata.jp
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