「答えはお客様の中にある」対話で組織づくりを支える伴走型コンサルティング

一般社団法人 キャリア支援機構 / 一条 紀子
2026.08.27 Thu
PROFILE
一条 紀子
一般社団法人 キャリア支援機構  人材確保支援課 人事コンサルティングチーム リーダー
管理栄養士として病院勤務を経験した後、ブライダル業界へ転身。ウェディングプランナーや支配人としてキャリアを積み、その後、一般社団法人キャリア支援機構の前身となる組織へ入職。以来17年間、公共事業や就職支援事業に携わり、現在は民間企業向けの伴走型コンサルティング事業に従事。現在は、人事評価制度の設計、研修、組織づくりなどを通じて企業の成長を支援している。
人事評価制度の設計や組織づくりを通じて、企業の強みを引き出す。
対話を重ね、その企業に合った支援を一緒に考える。
県外企業への支援にも取り組み、一社ずつ関係を築いてきた。
培ってきた経験を、次の世代へつないでいく。
AIが急速に進化する時代に、人との対話だからこそ担える支援とは。

公共事業から民間事業へ。対話から始まる組織支援

現在の仕事内容について教えてください。

私が所属するキャリア支援機構は、福島県を拠点に、企業の人材確保や職場づくり、キャリア形成などを支援している組織です。  入職後は学生と企業のマッチングイベントの運営や、震災後の就職支援事業など、主に公共事業を担当してきました。 ここ2〜3年は民間事業が中心です。 人事評価制度の設計支援をはじめ、研修の企画運営や講師、従業員面談、経営者との相談対応など、人と組織に関わる幅広い支援を行っています。 

公共事業と民間事業は、入口から大きく違います。公共事業は仕様書があり、決められたゴールに向かって進めていきます。一方で民間事業は、経営者の方のお話を聞くところから始まります。 「社内でこんなことが起きている」「組織をもっと良くしたい」 。そうした思いを伺いながら、その企業に合った支援内容を一緒に設計していきます。外部の立場ではありますが、組織の一員のように相談していただけることもあります。 

答えを提示するのではなく、一緒に見つけていく

一条さんが大切にしている支援の考え方を教えてください。

私が支援の土台としているのは、「課題解決や企業の未来を決める答えは、お客様の中にある」という考え方です。私が正解を提示するのではなく、対話を重ねながら答えを見つけていただけるように支援しています。 話しているうちに、「そういうことだったのか」と考えが整理できたり、進むべき方向が見えてきたりする。その瞬間に立ち会えることが、一番うれしいですね。 

人事評価制度の支援も同じです。制度をつくること自体がゴールではありません。会社として何を大切にするのか。どんな組織を目指すのか。 そうした考え方を整理しながら制度に落とし込んでいく。そして最終的には、私たちがいなくても企業が制度を運用し、自走できる状態になることを目指しています。 

支援する際に、大切にしていることはありますか。

課題だけを追うのではなく、その企業の強みに目を向けるようにしています。企業の皆さんにとっては当たり前になっていることでも、外から見ると、その企業ならではの強みに気付くことがたくさんあります。 

「この会社にはこんな魅力がある」「この社員さんにはこんな可能性がある」 そういう部分を見つけてお伝えするのも私たちの役割だと思っています。 組織は多くの人の集合体ですから、誰かにとって良いことが、別の誰かにとって課題になる場合があります。だからこそ、課題だけを追い続けるのではなく、その企業らしい強みを伸ばしていくことを大切にしています。 

 

AIが進化する時代において、人が支援する意味をどのように考えていますか。

経営者の方から「最近はAIに相談している」と聞くこともありますし、私自身もアイデア出しなどで活用しています。AIは優秀ですし、前向きな提案もしてくれます。一方、人との対話では、話すうちに自分の考えを整理でき、納得できる考えを見つけることがあります。 私が正解を提示するのではなく、お客様と対話を重ねながら、その方自身が納得できる答えを見つける過程をサポートしています。 

実際に「定期的に一条さんと話したい」と言ってくださる経営者の方もいます。 AIが複数の案を出す一方で、相手と向き合いながら、一緒に考えることが、私たちが担う役割だと思っています。 

県外展開への挑戦。踏み出した先に見えた可能性

福島を拠点にしながら、県外企業への支援にも取り組まれていますね。

正直に言うと、最初は県外への支援は難しいと思っていました。福島県内でもまだ試行錯誤している段階だったので、県外まで広げることは想像もしていなかったからです。でも組織から役割を任され、新潟県でセミナーを開催し、お客様と一社ずつ関係性を築いていきました。すると、少しずつ成果が出てきて、「新潟でもできるんだ」と手応えを感じるようになりました。 

現在は、新潟県に加え、茨城県の企業ともお付き合いがあります。振り返ると、自分一人では踏み出せなかったと思います。会社から挑戦する機会をもらい、一歩踏み出せた経験が、今につながっています。

若手の挑戦を支え、経験を次の世代へつなぐ

キャリア支援機構の魅力を教えてください。

若手とベテランがお互いに刺激を受けながら働けるところです。最近は20代のスタッフも増え、これまでは数年経験を積んでから担当していた仕事を、若手が任されることもあります。 若手が挑戦する姿を見ると、私たちも刺激を受けますし、新しい考え方や工夫を学ぶこともあります。世代に関係なく、互いに学びながら成長していこうという雰囲気がありますね。 

今後の目標を教えてください。

一つは、これまで以上にお客様の役に立てる存在になることです。もう一つは、自分の経験を次世代へ残すことです。 これまでの経験を踏まえ、今後のキャリアの中で何を組織に残せるのかを考えるようになりました。特に人事評価制度の支援は専門性が高く、現在は限られたメンバーで担当しています。 だからこそ、仕組み化したり、若手と一緒に経験を積んだりしながら、このノウハウを組織の財産として残したいと考えています。 

人事評価制度の支援を私たちの世代だけで終わらせるのではなく、キャリア支援機構の柱として次世代につないでいきたいですね。