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人と人をつなぐ「地域のインフラ」へ FCジュロンの挑戦
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2004年からシンガポールのプロリーグに参戦してきたアルビレックス新潟シンガポールが、2026/27シーズンから「FCジュロン」として新たな一歩を踏み出しました。地域名を掲げるクラブとして、地域との関係をどう築き、クラブ運営を続けていくのか。名称変更に込めた思いと、地域の暮らしに欠かせないクラブを目指す挑戦について、FCジュロン チェアマン兼NSG Global PTE LTD チェアマンの是永さんに聞きました。

地域名を掲げ、「自分たちのまちのチーム」へ。FCジュロンに込めた決意
-クラブ名をFCジュロンへ変更した理由と、「ジュロン」の名に込めた思いを教えてください。
是永 ローカルクラブとして歩んでいく以上、地域の皆さんに、より身近に感じてもらえる名前にする必要があると考えたことが大きな理由です。以前のクラブ名には「アルビレックス」「新潟」という、日本のクラブや地域を想起させる言葉が入っていました。そのため、シンガポールの方々には「外から来たクラブ」という印象が残っていたのだと思います。
「アルビレックス」という名前には、私自身も愛着がありましたし、大切に思う気持ちは今も変わりません。アルビレックス新潟は、地域と共に歩むクラブのあり方を示してきた存在です。その姿勢を踏まえた上でクラブの将来を考えると、ジュロンのクラブであることを明確にし、地域に対する責任を示す時期に来ていました。
-名称変更後、地域との関係に変化はありましたか。
是永 名称変更後は、地域のみなさんとの距離が少しずつ縮まっていると感じています。私たち自身も、これまで以上に地域の皆さんへ積極的に声をかけるようになりました。
企業名などを含まず、地域名を掲げた「FCジュロン」になったことで、地域のみなさんにも「自分たちの町のクラブチーム」と受け止めていただきやすくなりました。ただ、名前を変えただけで地域に根付けるわけではありません。「ジュロンのクラブ」と呼ばれるにふさわしい活動を積み重ね、地域に目を向けて行動するクラブにしていきたいと思います。

受け継ぐ姿勢と、変えていくスピード
-これまでのクラブから継続するものと、変えていくものを教えてください。
是永 継続するのは、物事に真剣に取り組む姿勢です。クラブとして力を合わせる姿勢は、これからも大切にしていかなければなりません。
クラブ名やエンブレムが変わっても、日々の練習や試合、仕事にどう向き合うかという根本は変わりません。これまで日系クラブとして培ってきた考え方の中には、FCジュロンになっても残すべき価値だと思います。
一方で、変えていかなければならないのは、取り組みのスピードです。クラブが自ら判断し、責任を持って行動できる環境になりました。自由度が高まった分、これまで以上に速く動く必要があります。外部環境が大きく変わるシンガポールで、試合に勝つことはもちろん、クラブを安定して運営できる基盤づくりも欠かせないと感じています。
これまで大切にしてきた姿勢は継続しながら、新たな事業にも挑戦し、クラブを長く続けていける形をつくっていきたいと思います。
-FCジュロンとして迎える最初のシーズンに、本田圭佑選手が加入しました。今回の加入をどのように捉え、どのような役割を期待していますか。
是永 本田選手の加入は、FCジュロンとして始まるシーズンにとって大きな出来事です。
本田選手は、これまでさまざまな国で新しい道を切り開いてきました。本人にも、新たな挑戦をしたいという思いがありました。新しいクラブとして歩み始める私たちの方向性と、本田選手の挑戦する姿勢が重なったのだと思います。もちろん、選手としての活躍を期待しています。それだけでなく、本田選手への注目を、クラブやジュロンという地域を知っていただくきっかけにもしたいと考えています。

女子クラブチームのアジア挑戦と、子どもたちを育てる仕組み
-女子クラブチームのAFC女子チャンピオンズリーグ(AWCL)への挑戦は、クラブにとってどのような意味がありますか。
是永 AWCLのようなアジアのクラブ大会に出場することは、私自身にとっても、長年の目標の一つでした。以前は出場条件と満たさず、挑戦できない環境でしたが、ローカルクラブになったことで、その可能性が開かれました。そして女子クラブチームが2025年シーズン「シンガポール女子プレミアリーグ」で初優勝という結果を残し、実際にアジアの舞台へ進んでくれたことは率直にうれしかったです。
一方で、女子サッカーを取り巻く環境には課題もあります。チームの強化を進めるには継続的な投資が必要ですが、安定したクラブ運営との両立も考えなければなりません。
一度大会に出場することをゴールにするのではなく、どのような形で継続的な運営と選手育成を実現していくのかを考えていく必要があります。
-アカデミーやスクールは、クラブ運営の中でどんな位置付けですか。
是永 アカデミー、サッカースクール、チアスクールを含めて、すべてがFCジュロンを構成する一つのファミリーだと捉えています。
アカデミーからトップチームで活躍する選手も出ているため、その流れはさらに強くしていきたいと思います。
同時に、アカデミーやスクールはクラブを支える大切な事業でもあります。参加する子どもたちが増えれば、育成の裾野が広がるだけでなく、クラブの運営基盤も強くなります。
ホームゲームには多くの子どもたちが来てくれています。子どもが来れば保護者も来る。そうした積み重ねによって、選手、子どもたち、保護者、地域の方々がつながるコミュニティが生まれています。

人と人が出会う、地域のインフラを目指して
-5年後、10年後、FCジュロンを地域にとってどのような存在にしていきたいですか。
是永 地域の人々が生活の一部として関わる「インフラ」にしたいと、思っています。サッカークラブは、電気やガス、水道のような生活必需品ではありません。なくても生活はできます。だからこそ、地域にとってどのような役割を担うのかを、クラブ自身が行動で示さなければなりません。
スタジアムには、子どもも大人も、お医者さんも工場で働く方も集まります。立場や職業、年齢に関係なく、同じ場所で同じチームを応援できる。そういう場所は意外と多くありません。普段なら接点のない人同士が、「ジュロン」という地域やサッカーをきっかけに出会う。そこから新しい会話や文化が生まれていく。私は、サッカークラブがそうした出会いやコミュニケーションを支えるインフラになれると思っています。
NSG GLOBAL PTE. LTD.
シンガポールでFCジュロンの運営やサッカースクール、チアダンススクール事業を展開するほか、ミャンマーでのスクール・CSR活動、スペイン・バルセロナでの留学事業など、スポーツを軸とした海外事業に取り組んでいます。
https://www.fcjurong.com/en/
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