食と農で地域とつながる、新潟食料農業大学「橙和祭」―学生が実践した企画・運営

2026.10.16 Fri

地域の企業や農家などと連携し、食と農をテーマに開催された新潟食料農業大学の第9回「橙和祭」。その運営を担った約30人の学生実行委員と、学生の判断を尊重しながら活動を支えた職員。大学祭をつくる過程で直面した課題や工夫について、実行委員の皆さんと学生課の担当者に聞きました。

学園祭の様子

 

食を通じて地域とつながり、大学の特色を生かした交流の輪を広げる

―橙和祭は、どのような大学祭ですか。

長谷川(学生課職員) 橙和祭は、新潟食料農業大学の胎内キャンパスで開催する大学祭です。学生による模擬店のほか、地域や企業の皆さまによる出店、体験企画、ステージイベントなどがあります。学生だけでなく、地域の方や子どもたちにも楽しんでもらい、食を通じて多くの方とつながることを目指しています。

第9回橙和祭は、2026年10月4日に開催されました。テーマは「豊作の彩(いろどり)、笑顔ひろがる秋まつり」です。

 

―開催を終えて、来場者の反応をどのように捉えていますか。

長谷川 当日は、地域の方をはじめ、幅広い世代の皆さまにお越しいただき、会場の各所で企画を楽しんでいただきました。

企画内容に加え、今回は米の配布や新聞折込チラシ、SNS、ポスターなどによる事前告知にも力を入れました。こうした取り組みも、多くの方に足を運んでいただくきっかけの一つではないかと捉えています。

特に印象に残ったのは、これまで大学を訪れたことのない地域の方が多かったことです。廊下に掲示している研究内容をご覧になる姿もあり、大学の教育や研究を知っていただく良い機会になったと感じています。

インタビューに応える長谷川さん

 

学生が主体となり、話し合いながら大学祭をつくり上げる

―実行委員会は、どのような体制で準備を進めましたか。

青木(実行委員長) 実行委員は約30人で、外部、企画、出店、広報の4部門に分かれています。私は各部門の進捗を確認し、準備が円滑に進むよう全体を調整しました。

実行委員長だからといって、私一人で物事を決めるわけではありません。各部門の意見を聞き、みんなで話し合うことを大切にしてきました。

―テーマや企画、運営方法は、学生同士でどのように決めましたか。

青木 学生自身が考え、意見を出し合い、責任を持って最後まで行動することを大切にしました。テーマや企画、運営方法も学生同士で話し合って決めました。教職員の方に相談し、支援していただくことはありますが、中心となって大学祭をつくるのは学生です。

―学生主体の運営を支えるうえで、職員として大切にしてきたことは何ですか。

長谷川 基本的には、学生が自分たちで考え、運営することを大切にしました。教職員の役割は、すぐに答えを示すことではなく、学生が課題を整理し、自分たちで解決策を考えられるよう支えることだと考えています。

今年は、青木さんを中心に、一人のリーダーが引っ張るのではなく、実行委員同士で意見を出し合いながら準備を進めていました。相談を受けた際も、まずは学生の考えを聞き、学生だけでは対応が難しい場面で助言や補助をするよう意識しました。

― 準備や当日の連携では、どのような体制をつくりましたか。

青木 2年生を中心に準備を進め、誰かがその場にいなくても、ほかのメンバーが仕事を引き継げる体制をつくることができました。

折込チラシを手に来場する方も多く、事前告知の手応えを感じられたことをうれしく思います。一方、学生による参加や出店が少なかったことは課題です。第10回に向けて学生が参加しやすい運営方法を検討したいです。

実行委員のみなさん

 

試行錯誤を重ね、学生主体の運営体制を築く

―前年から仕事を引き継ぐ中で、どのような課題がありましたか。

石川(外部部門) 前年は先輩についていくことが多く、仕事の全体像を十分に把握できていませんでした。そこで前年の担当者に、仕事内容や進め方を詳しく聞きました。分からないままにせず、自分から聞くことが最初の一歩になりました。

阿部(ゆ)(出店部門) 出店者から必要な回答を期日までにいただけないことがあり、調整に苦労しました。途中から加わったメンバーへの仕事の割り振りも手探りでした。一人で抱え込まず、前年の担当者に相談し、仕事の分け方や伝え方を見直しました。

高橋(企画部門) 前年の反省を踏まえ、どのような企画なら来場者にさらに楽しんでもらえるかを考えました。実行委員に「自分がお客さまだったら、どのような企画があれば楽しいか」とアンケートを行い、進捗を共有するためのスケジュール表も作りました。

阿部(夏)(広報部門) 初めは活動の全体像が分からず、前年の担当者に話を聞いて、タスクリストとスケジュールを作るところから始めました。一人で仕事を抱え込むこともありましたが、一年生から声をかけてもらったことをきっかけに、仕事を任せて分担するようになりました。

―各部門が課題に直面する中で、職員としてどのように進捗を把握し、学生を支えましたか。

長谷川 準備は月2回ほどの会議から始まり、開催が近づいてからは毎週、各部門の進捗を確認しました。学生から相談を受けたときも、職員がすぐに解決するのではなく、まず状況と学生自身の考えを確認するようにしました。

一方で、学生だけでは判断が難しいことについては、必要な確認や助言を行いました。各部門の準備状況を把握しながら、学生が自分たちで次の行動を決められるよう支えることを意識しました。

―各部門では、準備の進み具合をどのように共有しましたか。

阿部(ゆ) テントや備品は前年より増えましたが、各部門の実行委員や出店者の皆さまの協力により、準備を円滑に進めることができました。当日は無線機で他部門と連絡を取り合い、一年生や先輩にも協力してもらったことで、小さな問題にも速やかに対応できました。

阿部(夏) 広報部門は当日の受付も担当しました。会場案内や企画の紹介を通じて来場者の方と直接話し、感想を聞くことができました。チラシを持参している方もいて、発信した情報が来場につながったことを実感するとともに、正確な情報を届ける責任も感じました。

学園祭の様子

 

地域や企業とつくる、食と農の体験型企画

―地域や企業とは、どのように連携しましたか。

石川 地域の飲食店や企業、農家の方に出店や協賛をお願いするほか、ゲストやステージイベントの調整も担当しました。企業から企画をご提案いただいた際は、それを受け取るだけでなく、「さらに何ができるか」を学生側で考え、内容を組み立てました。

―企画部門が特に力を入れた取り組みを教えてください。

高橋 体験型企画の充実に力を入れました。中でも、地元企業にご協力いただいた「親子で楽しく学ぼう!漬物体験講座」では、会社を訪問して打ち合わせを行い、安全面や衛生面に配慮しながら内容を検討しました。

このほか、収穫体験、草刈機の試乗体験、地元農家による野菜販売など、食と農を学ぶ大学の特色を生かした企画も行いました。

―最後に、当日の反応と、次年度へ引き継ぎたいことを教えてください。

石川 準備中は無事に開催できるか不安になることもありましたが、当日は多くの方が会場のさまざまな場所で楽しむ様子を見ることができました。準備してきたことが形になり、取り組んできてよかったと感じました。

分からないことは経験者に聞き、課題があれば相談し、部門を越えて連携する。周囲の力を借りながら自分たちで考え、一つの行事を最後まで運営した経験は、第10回の橙和祭へ引き継いでいきたいです。

 

長谷川 来場者が増えたことで、案内方法や安全管理、各企画の受け入れ体制については、改めて検討する必要があると感じました。多くの方を迎えながら、学生が主体となって円滑に運営・サポートできる体制をどのようにつくるかが、職員としての次年度に向けた課題です。

今回は2年生の実行委員が中心となり、来年度も実行委員として活動を続ける学生が多い予定です。今回の成果や課題を学生と一緒に振り返り、第10回の企画や運営に生かせるよう支えていきたいです。また、新たに加わる学生にも準備の進め方を共有し、実行委員会全体の経験として積み重ねていけるようにしたいと考えています。

 

新潟食料農業大学
「食」「農」「ビジネス」を一体的に学ぶ食の総合大学です。農作物の生産から加工、流通、販売までを横断的に学び、地域や企業と連携した実践的な教育にも取り組んでいます。

https://nafu.ac.jp/